大韓航空機爆破事件から24年、金元死刑囚が語る(3/5)
-「国情院過去史委員会」が、大韓航空機爆破事件をめぐる再調査に入った。あなたは一度も調査に応じていない。並みの度胸ではない。
「ありていの脅迫や懐柔はあったが、根本を壊し、別の目的を持った調査には応じられなかった。大韓航空機爆破事件の全ての資料は国情院に保管されている。私がこれ以上補うことはない。初動捜査のとき、急いで行ったので少し間違いがあったが、後で訂正・確認された。彼らは細かい幾つかの間違いを取り上げて言いがかりをつけ、政治的に利用した。それでも事実は変えられなかった。過去史委でも、北朝鮮の政権の仕業だという結論を下した(2007年10月)。そんな結論を下しても、北朝鮮の政権に対する批判や、謝罪せよという勧告は一言もなかった」
-前政権はなぜそうしたと思うか。
「この事件をひっくり返せば、以前の軍部や右派勢力が道徳的に打撃を受ける。政治構造を自分たちに有利にするため、そうしたのだと思う。大韓航空機爆破事件の直後、米国は北朝鮮を“テロ国家”に指定した。盧武鉉大統領は、そのリストから(北を)外してほしいと言ったと聞いた(2008年10月に解除)」
-前政権で直面した苦難は、あなたが犯した罪に対する報いだという思いはないか。
「これは、私個人の苦痛の問題ではない。115人が亡くなったテロ事件を政治的に利用する国がどこにあるのか。亡くなられた方の霊魂を抹殺し、遺族をだます、犯罪行為だ」
-前政権の国情院がそうだったのであって、今の国情院がそうしたのではないが…。
「当時の工作に加担した人々は、処罰されずに昇進した。国家観も安全保障観もない。これがきちんとした社会なのか。大韓航空機爆破事件は、李明博(イ・ミョンバク)大統領とも関係がある。当時、犠牲になった労働者の中には、現代建設の社員が60人以上いた。李大統領は現代建設の会長だった。にもかかわらず、事件の真実をひっくり返そうとする犯罪に対し、手をこまねいて見ているのでは、情けないのではないか」
-あなたは自分を殺人犯だと見ているのか、それとも体制のスケープゴートと見ているのか。
「私は北朝鮮政権のロボット、道具になっていた。自動的に命令を遂行したわけだ。そんな存在だったが、遺族の悲嘆と苦痛を見た。以前は想像もしなかった状況だった。私はなぜこんなことをしたのか。本当に間違っていたと感じた。私をこんな道具にした金日成(キム・イルソン)、金正日が無性に憎かった。労働者たちが犠牲になり、私もそうだし、私の家族も犠牲になった」
-やるせない話だが、当時も事件の本質よりはあなたの美貌の方が話題になった。テレビに登場したあなたの姿を見た瞬間、世間では「助けてやるべき」という同情論が起こった。
「そんな話が出たというのが驚きだ。北朝鮮なら、皆が私に石を投げただろうに…」
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