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貨物時刻表、乗れなくても売れる 見て撮ってファン満足

2010年5月25日

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写真JR貨物時刻表写真JR貨物時刻表のあるページ。大阪を通って東京と九州を結ぶ長距離貨物列車が掲載されている写真早朝に新大阪駅付近を走るコンテナ専用の高速貨物列車。機関車は子どもに人気のEF210「桃太郎」=大阪市淀川区、宮崎写す

 一般客が利用できない貨物列車の時刻表が人気を集めている。ダイヤ改定にあわせて毎年発売される「JR貨物時刻表」で、3月に発行された創刊30周年記念号の約2万部は、6月にも売り切れる勢いという。背景には、小学生や若い女性にも広がる「貨物列車ファン」の根強い支持があるようだ。

 時刻表は、貨物輸送の調査研究などをする「社団法人・鉄道貨物協会」が1980年から、運送業者の便宜を図るために発行。91年に一般向けにも発売を始め、2004年ごろから鉄道ファンを中心に、口コミやネットで人気に火がついた。発行部数は当初5千部だったが、今年は2万500部に。全国19カ所の大型書店のほか、昨年からはネット販売も始めた。

 大阪府内で唯一、店頭に置いている旭屋書店本店(大阪市北区)では、3月以降に約1200部が売れ、同月の販売ランキングで1位を記録。4月も3位に入った。同店の担当者は「発売時には、いつも問い合わせが殺到する。鉄道関連の書籍ではダントツの売り上げです」という。

 価格は税込み2400円と、一般の時刻表よりやや割高。1日約400本の列車運行表のほか、貨物駅や路線の地図、機関車・貨車の形式、読者が撮影した貨物列車の写真も掲載されている。

 どんな目的で使うのか。貨物時刻表を毎年買う団体職員・熊博毅さん(54)=大阪府吹田市=に聞いてみた。付録の線で書かれた運行表「ダイヤグラム」を見て、停車時間や通過時刻を確認。カメラを手に全国を巡り、お目当ての貨物列車を撮影するという。「20両を超す長大編成の迫力はすごい。客を乗せる列車で味わうことができない」

 鉄道貨物協会によると、最近は成人男性の鉄道ファンだけでなく、小学生や20〜30代の女性からの申し込みや問い合わせも増えているという。特に、貨物車両を牽引(けんいん)する電気機関車には「桃太郎」(EF210)や「金太郎」(EH500)といった愛称があり、子どもらの人気を集めている。

 同協会調査部の町田茂夫課長は「機関車が好きな子どもに見せるために買うお母さんも多い」と説明。貨物時刻表を買った母親らがブログなどに「通過時間が分かる」「子どもをつれて、貨物列車を見に行きたい」といった書き込みをする例もあるという。

 貨物鉄道は近年、トラックなどに比べて「環境にやさしい物流手段」として注目されている。JR貨物のコンテナ輸送量は、09年度で会社発足当初(87年)の約1.5倍、2035万トンに増えている。(宮崎勇作)

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