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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】「泊」営業運転 原発再稼働の一歩とせよ
北海道電力の泊(とまり)原子力発電所3号機が営業運転を再開した。高橋はるみ道知事の容認判断を受けたもので、3月11日に東日本大震災が発生して以来、原発の営業運転再開は初めてとなる。電力の安定供給に向けた大きな一歩と位置付けたい。
菅直人首相の迷走する原発政策によって、定期検査で停止した国内の原発は再稼働が困難な状況にある。その菅内閣は月内にも退陣する方向だ。泊原発3号機の営業運転再開を契機に、次期政権は停止中の他原発についても早期再稼働に方針を転換し、日本経済を支える電力の確保に全力をあげねばならない。
泊原発3号機は、大震災発生時には定期検査の最終段階にあたる調整運転に入っていた。通常は1カ月程度で営業運転に移行するが、震災の影響で手続きが宙に浮いていた。調整運転のまま営業運転と実質的に変わらぬフル稼働が5カ月以上も続いた異常事態は、今回の措置でようやく解消されたことになる。
ただ、今回は再稼働後の調整運転からの移行であり、定期検査で停止した原発の再稼働とは事情が異なるのも事実だ。再稼働の手続きに入っていた九州電力玄海原発2、3号機は、菅政権がすべての原発にストレステスト(耐性検査)を実施する方針を急に示したことで、現時点では再稼働への道筋は不透明なままである。
国内に54基ある原発は、13カ月に1度の定期検査や大震災の影響で相次いで停止しており、現在稼働しているのは15基だけだ。定期検査が済んでも再稼働できなければ、来春にはすべての原発が停止する事態となる。
厳しい暑さが続く中で電力不足は全国規模に広がっている。電力供給の約3割をまかなう原発の再稼働は、震災からの復興にとっても喫緊の課題だ。
高橋知事は泊原発の営業運転再開にあたり、「原発立地地域の信頼を損なわないように丁寧な対応を求める」と語った。道と経済産業省の意思疎通に問題があったことも、知事判断に時間を費やした理由だ。反省が必要である。
菅首相の無責任とも言える「脱原発」宣言で、これまで協力してきた原発立地先も、国の原発政策に不信感を強めている。菅氏に代わる新首相は、電力安定供給の観点からも原発再稼働に向けた確固たる指導力を発揮すべきだ。
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