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きょうのコラム「時鐘」 2011年8月18日
旧ソ連が崩壊する前年、1990年に加賀友禅や九谷焼の作家が国内の芸術家と「文化使節団」を結成してモスクワを訪れたことがある
日本の工芸を展示してペレストロイカ政策で人気絶大だったゴルバチョフ大統領と交流を図る一大イベントだった。が、展示会場に現れたのは大統領ではなく、ソ連のナンバー2・ルキヤノフ最高会議議長だった 友禅や九谷焼の説明にうなずきながら鑑賞していた議長を取材した記憶をよみがえらせたのは、昨日の本紙連載「ソ連崩壊20年」だ。記事にその元議長が登場した。クーデター未遂で失脚し歴史の彼方に消えたと思っていた人物は81歳で、今も健在。少数政党に転落したロシア共産党幹部だった 元議長を案内した北陸の関係者もこの記事には驚いただろう。世界共産党史に記録されるクレムリン中枢の人物が自分の体験とつながったのだ。無縁と思っている世界史と地域史の糸が何かの拍子で絡むことがある。歴史の面白さだ 連載は、チェルノブイリ原発事故を背景に崩壊していく政権の姿を描いている。ここにも世界史と日本の現代史がつながって見えないか。 |