あえてストーリーモードを収録せずに、マルチプレイの楽しさを追求することにのみ特化した『シャドウラン』。オンラインプレイに相当の自信を持っているだろうことは、以前北米マイクロソフトのスタッフに話を聞いたときに「ゲームバランスに3年をかけました」と語ったことからもうかがわれるとおり。となると、「これは『シャドウラン』の魅力を理解するには、実際にオンラインプレイを体験してみるしかないかも!」と思うのが人情というもの。そんな編集の切なる願いを聞き届けたのか、マイクロソフトさんが『シャドウラン』のオンラインプレイを体験させてくれることになった。しかも、Windows Vista版とXbox 360版のクロスプラットフォーム対戦という形で!
そして対戦当日――。PCと家庭用ゲーム機という、異なる文化に身を置くものどうしによる血で血を洗う、異種格闘技ともいうべき戦いの幕が明けた!
で、各自1時間ほどトレーニングモードをプレイしてからおもむろに対戦プレイへ。まずリードしたのがWindows Vistaチーム。日ごろいっしょに遊ぶことの多いWindows Vistaチームに対して、Xbox 360チームは今回初めていっしょにプレイするメンバーがほとんど。とくにXbox 360チームでは、トロールで守りに入るハズの古屋555が、我慢し切れずに攻撃に打って出て玉砕するなど、ちぐはぐさが目立った。逆に「射撃は苦手なんですよね……じつは」というWindows Vistaチームのミル☆吉村は、同じトロールを使用しながらもミニガンを装備して正面からの打ち合いに持ち込むなど、"役割をわきまえた戦い"に終始した。そして、Xboxチームを震え上がらせたのが、ドワーフを駆る吉田せめんとによるカタナの攻撃。『八つ墓村』(古っ!)にも似たカタナの攻撃に、Xbox 360チームのメンバーはなすすべもなく屠られていった……。
10戦して10敗といった状況のなかで、Xbox 360チームの活路を開いたのが、見た目に似合わず繊細なマンモス丸谷。対戦に際しては、逐一ひとつひとつのアイテムを試すという、ライター気質の職業病にも似たプレイを披露していた彼は、モンスターを召喚するサモンに活路を見出し、徐々に形成を逆転していったのだ。召喚することでつぎつぎに敵を倒していってくれる、シューティング下手にはこのうえなくありがたいサモンは、さらにもうひとつありがたい属性を持っていた。カタナ攻撃への耐性が強いようなのだ。「カタナはモンスターにはあまり通用しないみたいっすよ!」と丸谷はうれしそうに囁いた(ボイスチャットで)。こうなると、Xbox 360チームで孤軍奮闘していたジャスト永山の独壇場! 『カウンターストライク』の台北チャンピオンチームに所属していたという、輝かしい経歴(?)を誇るジャスト永山は、モンスターという援軍を得て、的確なヘッドショットで対戦相手を次々と倒していった。その顔付きは、麻雀で一発ツモを決めたときに見せるときにも似た、愉悦にきらめいていたことを、ここで告白しておこう。
はてさて、このままXbox 360チームが押し切るか……という状況の中で、さらに逆転打を放ったのがWindows Vistaチームのするめ平野。かつては手練れのFPSユーザーでありながらも、少ないお小遣いのために最近ではゲームソフトを買うのもままならないするめ平野は、ふとしたことから魔法を吸収するアンチマジック ジェネレーターを使用。要所でマンモス丸谷が召喚したモンスターを吸収し出した。精気を吸い取られるように小さくなっていくモンスターに、マンモス丸谷が悲鳴を上げた。「アンチマジック ジェネレーターは使いづらいけど、ハマれば気持ちいいですよ、ムフフフフ」とは、ゲーム後のするめ平野の感想である。
と、一方のチームが強力なアイテムを使えば、もう一方のチームがそれに打ち勝つアイテムを考え出し、それに対してさらにまた相手のチームが対抗策を見つけ……と戦いは一進一退。そして、最後は異種格闘技戦らしく引き分けに……となると話は美しくまとまるのだが、現実はそんなことにもならず、最終的にはWindows Vistaチームがちょっとだけ勝ち越した。勝因は端的に言うと、やっぱりチームワークの差。『シャドウラン』ではコミュニケーションを密にとって、しっかり連繋を図るのが勝利への近道。その点で、Windows Vistaチームには一日の長があったようだ。いずれにせよ、8人とも戦いを満喫。最後はお互いの健闘をたたえ合って、再戦を約束したのだった……。 |