いつ会っても笑顔を絶やさない女性がいます。
彼女はメイクアップアーティストで
メイク派遣の会社も経営している
「社長」さんでもあります。
年は57歳です。
が彼女は経営だけに専念しているというワケではありません。
9人の女性のメイクさんを社員として雇用して
「現場」に派遣しながら、自分もまたお声がかかると
「現場」でのメイクの仕事をしています。
「現場」とはAVに限ったことではありません。
映画やテレビドラマ、ファッションショー等多岐に渡っています。
彼女との付き合いはもう25年ほどにもなりますが、
その人生は波乱に富んだものでした。
彼女は37歳のとき、
小学校一年生だった一人息子を交通事故で亡くしています。
公園からの帰り道、青信号の横断歩道を渡っている時に
暴走してきたトラックに撥ねられて死んだのです。
事故は彼女の2メートル前で起きました。
道路の上に横たわった息子の耳から血が流れ出ていました。
が顔にはカスリ傷一つありませんでした。
息子は彼女の顔を見て「ママ」と弱く小さな声で言うと
そのまま目を閉じて逝ってしまいました。
息子の目頭から流れてアスファルトを濡らした一筋の涙を、
彼女は20年経った今でも忘れることができず
昨日のことのようにハッキリと覚えています。
息子は元気一杯でヤンチャな子でした。
道路を歩くときもジッとしておらず、
彼女の廻りをグルグルと歩き廻っては、飛び跳ねていました。
「何故あのとき横断歩道を一緒に手をつないで渡らなかったのか」
と、そのことを悔やんでも悔やみきれず頭から何年も離れませんでした。
42歳のとき、ご亭主と離婚しました。
離婚の直接の原因はご亭主の浮気でしたが、
いつまでも息子の死を受け入れることができず
嘆き悲しんでいる彼女にご亭主は
アイソをつかして他の女に走ったからでした。
離婚して一年後、
今度は彼女の体が「ガン」に蝕まれていることが発覚しました。
「子宮ガン」でした。
手術をして一ヶ月後には彼女は職場に復帰して働き出ました。
仕事だけが生きがいとなり全てを忘れさせてくれました。
が又しても彼女を不幸が襲います。
たった一人の兄弟であった弟が事業に失敗して多額の借金を作り、
それを苦にして妻と小学二年と幼稚園児の幼い二人の女の子供を道連れに
「自殺」をしたのです。
深夜家族4人を乗せた車が
港の埠頭を疾走してそのまま海にダイブしました。
両親も弟が死んでから二年のうちに相次いで亡くなりました。
父親は83歳、母親は80歳でしたが、
父親の死は彼女と同じ「ガン」が原因でした。「肺ガン」です。
母親は最愛の息子と夫を短期間の間に亡くしたことでショックを受け
精神に相当まいった結果の後追い「自殺」のようなものでした。
ある日、母親が「今日からは私は何も喰べない」
と彼女に宣言して布団の上に横になりました。
それから、一日茶碗一杯の水以外頑として何も受け付けずに
一週間後に逝ったのです。
この間、32歳のときに立ち上げたメイクの派遣会社は
順調に発展しましたが二度の危機がありました。
一度目は
信頼していた女性の経理担当者に会社の金を持ち逃げされたことです。
金額は一千万円弱と大した金ではありませんでしたが、
持ち逃げした経理の担当者は彼女の高校時代からの「親友」でしたので、
彼女が受けたショックには相当のものがありました。
二度目は会社が乗っ取りにあったことです。
これも右腕と信じていた女性スタッフの裏切りでした。
その右腕の女性スタッフをはじめとして当時6人ほどいたスタッフが全員、
ある日を境に会社に出社して来なくなりました。
調べてみるとチャッカリと右腕の女性は隣のビルに事務所を構えて
その日のうちから「営業」を始めていました。
顧客はそれまで彼女の会社で付き合いのあった先を
全部持っていっていました。
得意先には「税務上の問題で節税のために別の会社を立ち上げました」
誤魔化して伝えていました。
彼女は独立していった右腕だった女性や彼女に着いて行ったスタッフを
恨む気持ちにはなりませんでした。
全部自分がまいた種から起きたことと猛省したのです。
何故自分がスタッフから嫌われてしまったのだろう、
と考えてみると直ぐ答えが見つかりました。
彼女はいつもイライラとしていたのです。
スタッフが間違いを起こすと、何でそんなことが分からないの、
と大声を上げて厳しく叱り飛ばしました。
自分は頑張っているんだから、
皆んなも頑張るのが当り前という考えに凝り固まっていました。
自分の考えを分かるのはあなた達の役割よ、私はこんなに忙しいのよ
私一人がこんなに苦労しているのよ、といった風に、
彼女は独善に陥っていったのです。
「私は自分が幸福になりたい」と思うばかりで
スタッフたちの幸福のことなど少しも考えていなかった事に
彼女は気づきました。
あんな強欲で独善的な経営者に誰もついていく筈がない、
と自分のことながら呆れる思いでした。
「スタッフの幸福が自分の幸福になるように考えて生きる」ことを
彼女は信条として生きることを決意しました。
その日から彼女は笑顔を絶やさないように、と心掛けたのです。
新しく雇ったスタッフがどんな失敗をしでかしても
以前のように大声を上げて叱ることをしないで、
笑いながら優しく教え諭すようになりました。
「相手の幸福を自分の幸福とする」との考えが
彼女を自然とそんな態度をとらせるようになっていたのです。
彼女の顔から笑顔が消えなくなってから
会社の経営は以前より順調となりました。
スタッフの定着率が格段に良くなったのです。
前の会社のときは就職したスタッフのうち
約半数が一年以内に辞めて行きましたが、
彼女が「笑顔の人」に変身してからは
ほとんどのスタッフが辞めなくなりました。
一時は独立して裏切られた右腕だった女性に
得意先を全部持って行かれてしまいましたが、
徐々にそのお得意先たちも戻りはじめました。
右腕の女性は以前の彼女を見習うかのようにいつもピリピリしていました。
いつも険しい表情をしている、
のがデキる女の態度と勘違いをしていたのです。
そんな上司を見習ってか、スタッフも皆一様に無愛想なのでした。
しかし「笑顔の人」に生まれ変わった新しい彼女の会社のスタッフは
社長である彼女を見習って皆「笑顔の人」となりました。
メイクという仕事は
単にメイクの技術によって成り立っている仕事ではありません。
メイクをするモデルさんとの人間関係が一番優先されるお仕事です。
モデルにとっては自分のことを分かってくれて
その美しさを上手に引き出してくれる
メイクアップアーティストの存在は重要なものです。
それと同時に緊張を和らげ会話をしながらストレスを発散させてくれる
抱擁力と人間的魅力を持ったメイクさんの存在はかけがえのないものです。
心と顔のメイクアップがあって初めてモデルは
その実力を最高の水準に出せるのです。
「笑顔の人」揃いの彼女の経営する会社のメイクさんたちは、
派遣先で好評価をいただき、依頼が引きもきらずになりました。
彼女を裏切った右腕の女性が起こした会社は
一年も経たないうちに倒産しスタッフも露散しました。
彼女の会社に得意先が戻ってしまい、立ち行きがいかなくなったのです。
彼女の廻りにはいつも人が集まってきます。
どんな時でも明るい笑顔を絶やさない彼女の笑顔の魅力に魅せられて、
集った人達の顔にも自然と笑顔が伝染して
笑顔笑顔の集団になっているのです。
彼女は仲の良い友達やスタッフにいつもこんなことを話しています。
「笑顔は幸福になった時は誰でもできるものだわ。
でも不幸だから笑顔を見せられない、
と言ったら増々不幸になって行くだけだと思うの。
人間は誰でも笑顔が大好きなのよ。
だから笑顔の人のもとに自然と人が集まってくる。
人生のチャンスは人との出会いからしか始まらないわ。
不幸だからと仏頂面をしていると幸運が逃げていってしまうのよ。
不幸な時ほど無理やり笑顔を作って見せていなければならないの。
世の中の人気者を見てご覧なさい。いい男、いい女だから人気者じゃないわ。
人気者は全員、笑顔がステキだから人気者なのよ。
これまでの人生で誰もが人気者だった時代がある筈だわ。
どうして自分が人気者だったか思い出してみたらどうかしら。
きっとその時はいつも明るい笑顔をしていた筈よ。
笑顔って、どうしたら作れると思う。
相手が幸福だったら自分も幸福になれる、と思うと笑顔がでてくるのよ。
自分が不幸な顔をしていたら相手にその不幸が移ってしまい、
自分もまた不幸になってしまうと考えると、
無理矢理でも笑顔を作れるようになるのよ。
損得で考えたって全然構わないわ。笑顔でいると幸運がやってくる。
お金儲けが出来る、ステキな恋人が現われる、笑顔でいれば
いいことばかりで損することなんか一つもないのよ。
世の中で百発百中得することがあるとすればそれは「笑顔」。
それしか考えられないわ。
笑顔は3億円の宝クジに当るよりも、
もっと大きなラッキーを運んでくれるのよ。よく考えてご覧なさい、
笑顔でいれない理由なんて一つもありはしないじゃないの」
世の中には商売上手な人達がゴマンとおりますが、
その中でもエロ商売に従事している「商売上手」の
その熱心さには一目置かれるものがあります。
そしてそれはまた日本に限らず万国共通のことでございます。
好き者はそうした商売上手のエロ事師たちと丁々発止とやり合い
ウマイ汁に有りつこうとするのでございますが、
相手の方は一枚も二枚も上で、挙句の果てには苦汁を飲まされて後悔をする、
といった事も度々でございます。
これから書きますことは手前どもの経験ではございません。
手前どもの友人の経験でございます。誤解の無きようにお願い致します。
一昔前でございます。
重ねて申し上げますが手前どもの友人が韓国美女を求めて、
勇躍一人成田空港から旅立ちました。
友人はホテルにチェックインしてソウルの街に飛び出しました。
が街の看板はハングル文字で埋められていて、
探し求めている「風俗店」がどれであるのかサッパリ分かりません。
歩き疲れて一休みしようと入った所が
韓国随一を誇るロッテデパートでございました。
ロッテデパートは韓国一を誇るだけあってその店内は
眩いばかりの豪華なインテリアで飾られております。
一階は日本と同じく
多くの一流ブランドの化粧品メーカーのブースが並んでおります。
友人はそれぞれのブースの中にいる化粧部員の女性を見て感動しました。
それぞれがまるで韓流ドラマの主人公の女性のように
美しく輝いていたのからございます。
それはとても日本の銀座のデパートや新宿の伊勢丹でも見ることの出来ない
超一流の美しさを誇っていたのでございます。
友人はこれだけ粒揃いの美人を見れただけで韓国に来たかいがあった、
と満足しました。
すると突然傍に寄り添う人の気配がしました。
男でした。男は50前後の年をしています。
一流ブランドものの背広をビシッと着こなして一部のスキも無い紳士です。
男はハンチング帽を被っています。
頭の毛だけに問題をかかえておられる様子でしたが、
ハンチング帽が紳士に親近感を感じさせる効果をもたらしていました。
紳士は友人に向かい
「日本からいらっしゃいましたか?」と日本語で語りかけました。
その口調は韓国人特有のナマリを感じられましたが完璧に近い日本語でした。
紳士は友人に向かって自分のことを
「私はこのデパートの万引き防止の監視の責任者をしています。
このデパートの中で現在私の部下が20名ほど
監視の仕事をして働いているんです。
私は監視の仕事のお勉強をするために
5年前日本に行って6ヶ月間いました。
その時から日本語と日本が大好きになりました。
仕事の最中ですが、あなたを見て一目で日本人と分かりました。
それで懐かしく思い声をかけたのです」
途中、たどたどしいところもありますが、
ハンチング帽の紳士を概ねこのようなことを話したのです。
そして紳士はこう友人に告げました。
「どうです、韓国の女性は、
特にこのロッテデパートの化粧品売り場の女性は美人揃いで可愛いでしょう。
それもその筈です。
このデパートの化粧品売り場には韓国中の美人が集められている、
と韓国の人でもそう思っているのですから。
あなたはこの化粧品売り場の女の娘に興味がありますか?」
思いがけない質問に戸惑いましたが
友人は「勿論興味があります」と答えました。
するとハンチング帽の紳士は
「それではこの化粧品売り場であなたが一番好きな女性を教えて下さい。
私がお力になってその女性をあなたに今夜紹介させていただきます」
思いがけない提案です。信じられぬ思いで
「本当ですか!?」と聞き返すとハンチング帽の紳士は憮然として
「本当です。この化粧品売り場にあなたのお気に入りの女性が居なければ、
このロッテデパートの中の全部の女性から選んでいただいても構いません。
私はこのデパートでは特別な立場にあります。
私の命令に逆らえば彼女たちは明日から
このデパートで働くことが出来なくなってしまう運命にあるのですから、
何も心配いりません」
友人は本当にこんなことが起こるのだろうか、
と内心では疑いを持ちましたが、
その疑う心をたちどころにスケベ心が飲み込みました。
ここは日本ではなくて韓国だ、
韓国には韓国の文化がありシキタリがあるに違いないのだから、
なにも心配しないでこのハンチング帽の紳士の言葉に甘えて行動しよう、
と決めたのです。
「さあ、捜して下さい。
大丈夫、私が一緒に後から付いて行きますから、
気に入った女の娘がいたら鼻を指でかいて、
その指で選んだ女の娘を差して下さい」
それから一時間余りハンチング帽の紳士のご好意に甘えて
ロッテデパートの化粧品売り場を歩き廻りました。
いずれも甲乙つけがたいほどに美人揃いでしたが
スキ者とは罰当たりなものでございまして、化粧品売り場にあきたらず
二階三階四階へと足をのばしたのでございます。
さすがに四階までフロアを廻るとドッと疲れてが出ました。
ヤッパリ化粧品売り場の女性の水準が一番高いことに思い至り
再び化粧品売り場に戻り選ぶ作業に没頭ました。
そして、もうこの女の娘しかいない、
という化粧部員の女性を選び鼻の頭を指でかき
その指先を彼女の方に向けてハンチング帽の紳士に知らせました。
彼女は若い頃の女優の佐久間良子にウリ二つのトビッキリの美女でした。
紳士はさもありなんといった風に満足な表情を見せて
大きくうなずいて見せたものでございます。
一時間も飽きずに同行して付き合うとは
何とも人の良い人物が韓国に居たものだ、
と友人は心の中で紳士の親切に感謝しました。
デパートの玄関口まで来ると紳士は
「どこのホテルにお泊りですか?」と聞いてきました。
「新羅ホテルです」と友人。
「新羅ホテル」はソウルではナンバーワンの
格式あるホテルとして知られています。
友人はフンパツしてこのホテルを選び宿泊先に決めていたのですが、
あの佐久間良子を迎えるこんな事があるのなら正解だった、
と誇らしい気持ちになっていました。
呼応するかのようにハンチング帽の紳士も
「あのホテルなら彼女も安心して来る筈です。
やはりこのデパートの女の娘にはプライドがあります。
いくら命令だといっても、三流ホテルには行きたがりません」
そして「彼女を夜の10時にはあなたの室まで連れて行きます。
お室番号を教えて下さい」とフトコロからおもむろに手帳を出してきました。
室番号を伝えると紳士は手帳に書き移しながら
「それと彼女にお小遣いを渡さなければなりません。
こうした一流ホテルに働いている女性ですから
彼女たちにはプライドがあります。
いくら私からの命令であっても、タダという訳にはいきません。
日本円で5万円のお金が必要ですが構いませんか?」
友人はあの佐久間良子を一晩自由にできるなら10万円でも安い位だ、
と思っていましたので即座に「OKです」と言いました。
「分かりました。それでは前金で3万円を今私に預けて下さい。
私から彼女に渡して行かせます。
残金は後で彼女がホテルの室に行ったとき払って下さい」
ハンチング帽の紳士に言われた通りその場で3万円を渡し別れました。
夜10時キッカリに室のチャイムが鳴りました。
ドアを開けるとそこに昼間のハンチング帽の紳士が立っていました。
紳士は夜、こんな時間にも室内であるにも関わらず依然として
ハンチング帽を被ったままでした。
紳士は昼間の表情とはうって変わって深刻な表情をしていました。
「あなたが昼間選んだ女の娘、今日はメンスだというんです。
私は怒りました。メンスでも構わないから一緒に行かねばならない、
と命令しましたがあの娘は韓国人女性として
メンスの姿を日本人に見せるのはどうしても嫌だ、
次回は必ず行くから許して欲しい、と泣いて謝りました。
そこで仕方なく彼女の妹分を連れて来ました。
彼女はとても優しい性格の女の娘です」
紳士はそう言って体を右に一歩体をズラしました。
すると紳士がそれまで立っていた位置に女の娘の姿がありました。
紳士の体の後ろに隠れていたのです。
その女の娘の顔を見てガックリきました。
女の娘は三木のり平を若造りにした顔をしていたのです。
この娘のどこをどうすればあの佐久間良子の妹分となるというのでしょうか。
「この娘はあのロッテデパートで経理の仕事をしています。
今まで一度もお金の計算の間違いをしたことがありません。
正直な娘です。それにお給料の半分を故郷の両親の元へ仕送りをしている、
親孝行の娘です。それにお料理がとても上手です。それと・・・」
ハンチング帽の紳士は
それから陶々と彼女の人間的魅力について語り続けたのでありましたが、
友人は頭の中では「買うべきか、買わざるべきか」
それだけを考えていました。
「買わない」と言えば
昼渡した3万円は戻ってくることはなくなります。
3万円を惜しんで「買う」と言えば、後2万円を支払わなければなりません。
友人は出した金が流れて無駄になってしまうことが残念でなりませんでした。
この際「毒喰わば皿まで」と三木のり平を喰べることにしました。
残りの2万円を受け取ると、
ハンチング帽の紳士は小走りに立ち去って行きました。
三木のり平の結果は、
今度は友人が小走りに室から立ち去りたいと思うほどに
苦汁に満ちたものであったのでございました。
翌日の夕刻時、
友人は早い晩飯をホテルのレストランで一人で摂っていました。
すると隣の席にいた恰幅の良い男が話しかけてきました。
男は昨日のポン引きのハンチング帽の紳士と比べて
格段に日本語が上手でした。
男は60歳近くの老境に入りかけの風貌をしていました。
男は自分は青年時代に早稲田大学に留学した経験があり、
大学の界隈の鶴巻町の下宿に住んでいた、と往事を懐かしそうに話しました。
男は坂上二郎さんのように親しみやすい容貌をしていて
互いに話が弾み男同士の話しの帰結は定石通りに
いつか「女の話」になっていきました。
坂上二郎さんが言いました。
「あなたが韓国にせっかく来られたんですから、女性を紹介したいんですが。
私はサッパリそちらの方が分からないんです。ご免なさい」
二郎さんはさも申し訳なさそうに頭をペコリと下げました。
昨日のハンチング帽の紳士のことがあって
心の隅で警戒していた友人でしたが、
二郎さんの「私はサッパリそちらの方が分からないんです」
と頭を下げた姿に好感を持ちました。
「私が、もし紹介できるとしても素人だけで、
それも女子大生の学生だけなんです。
つまらないでしょ、素人の女の娘では」
それでいいんです。素人で、実はその素人を捜していたんです。
との言葉がノドまで出かかりましたが友人は
グッとこらえて言葉を飲み込みました。
なにせ昨日のことがありましたので、友人は用心深くなっていました。
「素人の女子大生って、どんな娘なんです?」
興味なさそうな風を装いながら友人が尋ねると二郎さんは
「苦学生ですよ。貧乏人の子供です。家が貧乏でも頭が良い女の娘がいてね、
ソウルの下町で下宿をしながら一人で頑張っているんです。
その下宿の女主人が私の友人でして、
その彼女から前に誰か彼女のスポンサーになってくれる男の人がいないか、
って頼まれたことを思い出したんです。
それも同じ韓国人だと後々色んな問題が起きて面倒だから、
日本人がいい、という話でした。あなたは彼女に興味ありますか。
興味があるのでしたら今から彼女の下宿に電話して
どんな娘だかもう少し聞いてみましょうか?」というのです。
興味が有るも無いも友人は宝探しに来て
宝を掘り当てた気分となっておりました。
がやっぱり昨日のことが頭に引っかかっていましたので
冷静を装い「聞いてみて下さい」と二郎さんに頼みました。
二郎さんは電話をかけに席を立ち10分ほどで戻ってきました。
「いま彼女は下宿に居て大学の宿題の勉強中だということです。
下宿の女主人を通してあなたのことを話ししたら、
彼女はあなたさえ良ければかまいません、という話です。
下宿の女主人によれば女子大生は色白で背は少し小さく、
細い体をしているそうですが、胸は反対に随分と大きい、とのことでした。
顔のことも色々下宿の女主人に訊きましたら
日本人でいうと私が留学している時に
よく映画を見に行っていた有名な女優の
吉永小百合に似ている様子です」
この時点でズボンの中でボッキした友人のペニスの先から
先走り液が流れはじめていました。
善は急げとばかりに友人は
早速二郎さんと一緒にホテルの前からタクシーに乗り込み
その「下宿」へと向かいました。
タクシーの中で二郎さんが話しかけてきました。
「彼女は素人ですからお金は直接受け取りません。
後で下宿の主人がコッソリと渡します。
前もって私がそのお金をお預かりしておきますが
お小遣いはいくら上げるか、あなたが決めて下さい」
友人は昨日と同じ金額の
「五万円ではどうでしょう」と言うと二郎さんは
「いや、それは多いでしょう。日本円で五万円といえば韓国では大金です。
相手は素人の学生です。将来のある娘です。
一度の経験でそんな大金を上げてしまうと、
彼女のためにも決してよくありません。
三万円、でどうでしょうか」
財布から三万円を抜き出して二郎さんに渡しました。
そして別に一万円を添えて二郎さんに「これは私からの気持です」
と渡すと二郎さんは「いや、これは困ります。
私はこんなつもりでご紹介をしたのではありませんから」
と意外にも受け取りを拒否したのでした。
こんな律儀で親切な韓国人がいるのか、
と改めて友人は感動したのであります。
タクシーはネオン街の一角に停まりました。
辺りは風俗店を思わせる妖しいネオンが灯っています。
苦学生の安い下宿ともなると
こんなイカガワシイ場所になってしまうのか知らん、
と未だ見ぬ韓国の小百合さまの身に思いを馳せて不憫な気持ちになりました。
友人は彼女が大学を卒業するまで「足長おじさん」の役割をしてもいい、
とさえ思い始めていたのです。
二郎さんはタクシーの停まった場所から20メートルほど歩くと
立ち止まり、道路の反対にある小さなビルを指で差し示しました。
「あのビルに入って階段を昇ったところに彼女がいる下宿があります。
彼女はあなたの来るのを今か、今かと首を長くして待っています。
さあ、どうぞ急いで行って下さい」
二郎さんと固い握手を交わして友人はビルの中に入りました。
幾分いつもより胸を張った歩き方になっていました。
目の前に階段があります。二郎さんに教えられた通りに
階段を昇って行くと上の階からにぎやかな音楽が流れてきました。
二階に上がって扉を開くと
「いらっしゃいませ」と日本語の言葉の女達の声を浴びました。
そこに四、五人の若い女たちがいました。
女達は濃い化粧をしていました。
見るからに売春婦であることがハッキリ分かりました。
そこは日本人専用の売春の館のようでした。
「騙された!!」と階段を駆け下りて外に出ました。
が男の姿はもうどこにもありませんでした。
翌日の夜、友人はクラブにいました。
ヘタなヨタ話にウツツを抜かすことなく、
実利的に韓国人の女性との「交歓の夜」を過ごそうと思っていました。
日本語のガイドブックを開いて
日本語が話せる女の娘が沢山居る安心して遊べる店、
としてこの店が紹介されていたのでやって来たのです。
ここは気楽に日本語を話せる女の娘が最善と考えていました。
クラブには女の娘が20人ほど居てママは50歳近くの年増女でした。
ママは流暢に日本語を話して、東京の赤坂でも7年ほど店を経営ていて
ママとして働いていたことがある、とのことでした。
クラブの女の娘は生憎友人の好みからはズレていました。
揃いも揃ってありえないようなパッチリマナコとピノキオのような鼻、
同じ表情のままの整形顔に辟易しました。
そんな友人の様子を察してかママがそばに座り友人に話しかけました。
「ここの隣の店の喫茶店のコーヒーは韓国で美味しいって有名ですよ。
ソウルに来た記念に私が御馳走しますから一度飲んでみて下さい。
いま注文しましたから、すぐ持って来ます」
二、三分ほどしてウエイトレスの制服を着た若い娘が
コーヒーをトレンチの上に乗せて運んできました。
テーブルの上に置かれたコーヒーから
美味しそうなコーヒーの臭いが漂いました。
ウエイトレスの若い娘が立ち去ろうとすると
ママが何か彼女に話しかけました。
するとウエイトレスの若い娘は困惑した表情を見せながら
その場に立ちつくしました。
「お客さん、あのコーヒーを運んできた娘はどうですか?
あの娘は処女ですよ。それにあの娘は可愛いでしょう」
ママは店の女の娘に気に入った娘がいなければ、
サービスで私が斡旋するから今しがたコーヒーを運んでやってきた
ウエイトレスの処女の女の娘を抱いてみないか、と持ちかけて来たのです。
いくら韓国といえども、そんなことがあるのかと驚きの提案でしたが、
好き者は懲りない奴でございます。
この際、処女と出来ることなら是非お願いしたいものと、
俄然やる気が湧いてきました。
ママは友人の表情からそのヤリタイ本心を汲み取ると、
艶然と笑んで立ちすくんでいるウエイトレスの傍に行きました。
そして何やら一言二言その耳元に話しかけたのです。
女の娘はビックリした表情を浮かべて、嫌です、
とばかりに頭を横に振りました。
しかしママはあきらめることなく尚も彼女に話しかけ続けました。
女の娘は黙ったまま下を向いてママの話しを聞いています。
ママは突然女の娘の髪をワシずかみにしてその顔をタテに振りました。
分かりました、言うことをききます、と力ずくで強引に言わしめたのでした。
何と悪魔のようなムゴイことを、との思いが頭をかすめましたが、
友人また一方で完全に悪魔の応援団長に化身していました。
女の娘は顔を両手で覆い逃げるように店の外へと去って行きました。
後味の悪い一幕を目撃しましたが、
友人はそれまでに無いほどのタギルものを覚えていました。
ママはあの娘は処女だから10万円かかるけどいいか?と聞いてきました。
10万円の中にはあの娘の働いている喫茶店の経営者に渡す
みかじめ料のようなモノが含まれている、との話です。
それに当然自分の店の取り分も上乗せされているのでありましょう。
「韓国人女性の処女」の値段としては10万円は安い買い物、
との判断しました。喜んで、と10万円をママに渡してホテルに戻り、
彼女が来るのを持ちました。
深夜近く、
予告されていた時間から一時ほど遅れて例の娘がやって来ました。
娘は室に入ると黙ってシャワー室に向かいました。しばらくして、
シャワー室からはシャワーの水の音と歌声が聞こえてきました。
歌声が聞こえてきたときは、空耳では、と自分の耳を疑いましたが
間違いなく彼女の歌う歌声に違いありませでした。
処女なのに、初めての経験を前に、どうして歌を歌う気分になるのだろう、
と不思議な気がしました。
しかし疑問はたちまちのうちにベットの上で氷解したのです。
彼女は処女ではありませんでした。
処女でないばかりか太平洋の持主で、その上に不感症なのでした。
処女であることばかりに気がとられていて、
彼女の顔をよく見ることを疎かにしていました。
改めてベットの上で見るとブスでした。
体も胸はペチャンコでそのクセ下半身は象のように巨大でした。
友人はコーヒーのサービスから髪をワシずかみにしたまでの行為も
全て仕組まれた芝居であったことを悟りました。
しかし今から店に怒鳴り込んでいってもあの年増のママは
「そんなことは知らなかった、何と言う悪い女だ」
と娘に全部罪をなすりつけてシラを切るのは見えています。
友人は女の娘を室から送り出すとベットの上でセンズリをかきました。
頭の中にはあのロッテデパートの化粧品売り場で選んだ
佐久間良子似の女性の顔が浮かんでいました。
絶頂が来て、射精した瞬間、
友人の頭の中を占めていたのはあのハンチング帽の紳士の顔でした。
友人は思わず「なぜだ!!」と叫んだ、とのことでございます・・・。





〜〜最新映像作品のご紹介〜〜
THE真正中出しショータイム4
主演:浜崎りお
監督:村西とおる
奇跡のコラボ「村西とおる×モブスターズ」
下記画像を【クリック】してモブスターズでご覧ください。

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