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'11/8/17

海保ヘリ墜落、18日で1年



 香川県多度津町沖に海上保安庁広島航空基地(三原市)のヘリコプター「あきづる」が墜落し乗員5人が死亡した事故は18日、発生から1年を迎える。事故原因は依然、特定できていない。第6管区海上保安本部(広島市南区)は、鉄塔や送・配電線の位置の情報共有などで再発防止を図るが、安全対策は手探りが続いている。

 ■事故原因

 「何の目的で低空飛行したのか。いまだに理解に苦しむ」。6管幹部は打ち明ける。6管が復元した飛行データによると、ヘリは墜落の約10秒前、高度72・7メートルの低空を通常速度の時速約160キロでほぼ水平飛行。そのまま島の間に架かる高度77〜76メートルの配電線に接触して墜落したとみられている。

 低空飛行の理由とともに、焦点となっているのは、なぜ配電線に気付かなかったかだ。

 配電線の両鉄塔には操縦者に注意を促す航空障害灯(フラッシュ)がある。にもかかわらず配電線に接触した理由について、6管の三木基実本部長は濃い霧の中や夜間訓練などで起きることがある空間識失調(バーティゴ)の可能性を指摘する。あきづるが墜落前、廃船調査のために旋回を続けていた点を挙げ「バーティゴで平衡感覚が分からなくなったのかもしれない」とみる。

 原因調査をする国土交通省運輸安全委員会はそれらをどう認定するか―。安全委は7月、事故の報告書案の審議を開始。年内の公表を目指すという。ただ事故原因の早期解明は遺族ら関係者にとって最大の関心事のはず。公表まで1年以上を要することについて安全委は「5人全員が亡くなっており、時間がかかっている」と説明している。

 ■安全対策

 航空法は高さ60メートルを超える送・配電線に原則、ボール状の標識を45メートル間隔で設置するよう規定している。ただ鉄塔の強度不足など構造的、技術的に困難な場合、送・配電線そのものでなく、鉄塔へのフラッシュ設置も代替措置として認める。

 国交省によると、対象の送・配電線は全国に667カ所あるが、うち球形標識をつけているのは22カ所。島が多い瀬戸内海・宇和海の55カ所の対象中、標識はゼロだ。事故後も変わっていない。

 また6管は事故後、ヘリと航空基地の無線交信時、障害物の有無などの情報共有をする取り組みを始めた。鉄塔や送・配電線、橋など計119カ所の位置を示した乗員用マップも作り、注意を促す。

 しかし航空評論家の鍛治壮一氏は「運航方法の検証や見直しだけでなく、標識の設置などハード面の整備を含む抜本的な対策が急務」と強調する。

 ■広報改善

 事故をめぐる報道機関への説明が二転三転し、批判された6管。前本部長の更迭を受けて就任した三木本部長は「広報マインドの醸成」を訴え、広報会議の定期開催や、非常時の広報職員の増員などを打ち出している。

 現場の職員からは「どこまで広報すればいいのか分からない」と戸惑う声も聞かれる。マインド醸成は道半ばだ。




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