自転車の走行環境整備を目指す国のモデル地区事業で、車道の左端を白線で区切って専用通行帯とする自転車レーンの設置により、自転車事故が36%減ったことが分かった。事故防止の有効性が示された形で、今後の整備の参考になりそうだ。【北村和巳】
事業は、国土交通省と警察庁が08年1月、全国98カ所のモデル地区を指定して進めている。両省庁は21日、整備状況や効果、課題などをまとめ発表した。
自転車レーンは今年3月までに、計画の81%の29・6キロが整備された。うち22・3キロで整備前後各1年間の自転車事故発生件数を比べると、1キロ当たり平均件数は3・7件から2・4件に減少した。
縁石や柵で車道、歩道と分ける自転車道は計画の64%の30・7キロを整備。うち17・1キロで同様に事故発生を比較すると3・8件から2・8件に26%減った。
これに対し、自転車も通行できる歩道の自転車歩行者道は213・4キロを整備したが、事故減少率は11%。自転車歩行者道のうち104・8キロは自転車の通行部分をカラー舗装で明示したものの事故減少率は14%だった。
この事業で、自転車レーンや自転車道のように、歩行者との明確な分離が事故減少に大きな効果があることが鮮明になった。特に自転車レーンは自転車道より費用がかからず、必要幅も少ないため整備しやすいが、事故減少効果も高かった。
一方、自転車の利用率を調べたところ、自転車レーンは平均53%にとどまり、46%は並行する歩道を通行していた。自転車道は84%、歩道上の通行部分明示は69%が利用しているのと比べ低い。自転車レーンは路上駐車でふさがれたり、車との距離が近いことから通行を敬遠する利用者がいるとみられ、駐車対策や安全啓発が普及の課題だ。
毎日新聞 2011年7月22日 東京夕刊