韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が15日の演説で、日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)に言及しなかったことについて、日本政府は「抑制的な内容で、日韓関係への大統領の配慮が感じられる」(政府高官)と評価している。秋には李大統領の国賓での来日が予定されており、両政府とも沈静化に努めている。
竹島問題を巡っては、同島近くの鬱陵島を視察しようとした自民党議員3人が韓国に入国を拒否され、韓国の与野党代表らも竹島訪問を計画するなど摩擦が過熱している。15日は韓国では、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」。韓国は来年に総選挙と大統領選を控え、「大統領は演説で竹島に触れざるを得ない」(韓国政府筋)との見方もあった。しかし、大統領は、韓国では竹島も歴史問題の一つと認識されていることを念頭に、日本に「正しい歴史教育」を求めるにとどめた。
日本政府も両国のあつれきの拡大を憂慮。菅直人首相は10日に国会で、韓国側の動きを「極めて遺憾」と述べたが、「冷静に大局的観点で対応したい」とも強調した。松本剛明外相は先月の記者会見で「日韓の国会議員には、両国関係に資する行動を積み重ねてもらうとありがたい」と自制を呼びかけた。【犬飼直幸、ソウル澤田克己】
毎日新聞 2011年8月15日 21時28分