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米がベトナム代表を招待して超大型空母を誇示―中国けん制か


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 【空母ジョージ・ワシントン艦上】米国は、かつての敵で、今では南シナ海の領有権を声高に主張する中国に神経をとがらせるアジア諸国の一つ、ベトナムに超大型原子力空母「ジョージ・ワシントン」を誇示した。中国が初の空母試験航行を始めてから1週間とたっていない。

Associated Press

ベトナム沖の原子力空母「ジョージ・ワシントン」の飛行甲板に駐機するF/A-18Fスーパーホーネット戦闘機

 米国は13日、ベトナムの軍、政府関係者を同国南部海上の同空母に招いた。ベトナム代表が同空母を訪れたのは2回目で、かつての敵が今では温かな軍事的関係を持っていることの象徴といえる。しかし、今回の米側の招待は、中国とアジア諸国との緊張が高まる中で行われた。ベトナムと中国との関係は、南シナ海での領有権をめぐる数週間の論争で冷めている。同空母は沿岸から225キロメートル離れて南シナ海を航行した。

 中国は10日、同国初の空母の試験航行を開始した。旧ソ連製の「ワリャーグ」で、中国はこれを10年にわたって改修していた。同国はこれを研究と訓練用に使い、いずれ国産空母の建造につなげたい考えだ。

 米国政府は、その軍事面での拡大についてもっと透明性を持たせるよう中国に要求しているが、ジョージ・ワシントンのロースマン艦長は、空母は豊富な経験と技術力のある乗組員の存在がなければ何もないのと同じだと指摘した。

 同艦長は長さ333メートルの発着甲板を一望しながら、「艦上では通常、1日に100回の離着艦が行われている」とし、「われわれはこれを毎日こなす。毎日毎日だ。訓練のたまものだ。これが空母であり、単に浮いている大型船というわけではない」と強調した。

 米国は11の空母打撃群を展開し、イラク、アフガニスタン戦争の分を除いて約5500億ドル(42兆円)を軍事支出をしている。中国の軍事費は着実に増加し、昨年は915億ドルと米国に次ぐ世界2位となった。

 中国は南シナ海を「中核的利益」の一つとしている。これを守るためには戦争も辞さないという意味だ。アジア諸国は既に中国の軍事力の拡大に警戒しているが、同国初の空母航行はその増大する軍事力を示す新たなメッセージだ。ベトナム外務省の広報担当者は先週、中国の空母についての質問に、「中国が大国として同地域および世界の平和と安定の維持に前向きかつ責任をもって寄与することを期待する」と答えた。

 中国は南シナ海をのほとんど全域について領有権を主張。一方で米国は航海の自由の確保は国家的利益だとしている。ベトナム、フィリピン、その他のいくつかのアジア諸国も、豊富な天然資源があると見られる同海域で全てないし部分的領有権を主張している。ベトナムとフィリピンは、最近の石油探査をめぐる中国との対立後に米国への期待を高めている。中国は石油探査に干渉したことはないと否定しているが、ベトナムとフィリピンは中国が越権行為をしたと非難している。

 特にベトナムの反発は激しく、同海域で実弾射撃訓練を行うとともに、国内では2カ月以上にわたって反中国デモの実施を認めている。共産党一党独裁のベトナムは普通はデモをすぐに蹴散らしてしまうが、14日にはハノイ中心部で約200人が「中国打倒」などと叫びながらデモ行進をするのを許容した。

(AP通信)

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