大阪府茨木市で工場跡地に次世代型の環境都市や学術都市の開発が相次いでいる。東芝が工場跡地に環境配慮型都市「スマートコミュニティー」を建設するほか、サッポロビールの工場跡地には立命館大学が新キャンパスを開く。フジテック本社跡地にはJR新駅を設置し、駅と一体となった効率的で防災力も備えた新しい都市をつくる。大阪と京都に挟まれた高い利便性を生かし、新しい街づくりを進めている。
東芝は約18万5000平方メートルの敷地内に太陽光発電を備えた住宅や商業施設、病院、学校などを整備する。2013年度に着工し、16年度をめどに整備を終える見込み。敷地内に500戸程度の住宅を建て、電力やエネルギーの需給を効率よく制御するスマートグリッド(次世代送電網)を導入する。総事業費は500億円前後とみられる。
東芝は08年に工場を閉鎖。跡地の開発を巡り物流センターや商業施設の進出計画が持ち上がったが、条件面で折り合わず開発が滞っていた。スマートコミュニティー関連事業の拡大を目指す同社のモデルケースとなる。
フジテックの旧本社跡地は06年に大京が大半の土地を取得。隣接する土地に西日本旅客鉄道(JR西日本)が18年春に新駅「総持寺駅」(仮称)を設ける予定で、分譲マンションと一体になった周辺開発を進める。大京は新築10階以上のマンションに自家発電設備を導入する方針を示しているほか、太陽光発電の導入にも積極的。環境・防災力を備えた新しい開発モデルにする見込みだ。
JR茨木駅から徒歩5分にあるサッポロビールの工場跡地には15年4月に立命館大学が新キャンパスを開設する。京都の大学として初めて、大阪に本格進出する。設置する学部構成などは未定だが、「社会科学系を強化したい」(川口清史学長)との意向だ。
社会科学系学部の学術・研究拠点として確立できれば、距離も近く、産業界が強い大阪などと連携を強化する考え。市もインフラ整備を支援するなどで後押しする。
また、新しく開発した都市間の連携を深めるため、電気を動力とするEVバスなど環境配慮型の自動車を巡回させる構想なども浮上している。
国内では工場の海外移転や生産集約などで、工場を閉鎖する動きが相次いでいる。関西でもアサヒビールが西宮工場(兵庫県西宮市)を来年8月に閉じるほか、ハウス食品や森永製菓、雪印メグミルクなども工場の閉鎖を発表済み。従来は大型スーパーやショッピングセンター(SC)を核にした商業開発が多かったが、厳しい経営環境の中で、新たな進出を見込みにくい。
関西には太陽電池のシャープ、京セラや、太陽電池とリチウムイオン電池の双方を成長戦略の柱に位置付けるパナソニックグループなど、環境技術を持つ企業が集積。また、大学も多く、技術・研究開発も盛んだ。
茨木市は利便性を生かして、工場跡地をいち早く次世代型の都市開発につなげたが、この試みが成功すれば、各自治体の新しい街づくりのモデルになりそうだ。
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