水洗いとふるい分けを組み合わせることで、放射能汚染された土壌から放射性セシウムを効率的に取り除く仕組みを京都大の豊原治彦准教授らが開発した。住宅や公園の表土など粘土の少ない土では有効という。9月に長崎市で開かれる日本水産学会で発表する。
豊原准教授は、1キロあたり3千〜5千ベクレルの放射性セシウムを含む福島県郡山市の公園の土で実験した。細かい粘土が重さで土全体の4%と、粘土の少ない土。
まず、汚染土壌をざるの上でたわしでこすって水洗いすると、水にセシウムの約88%が移った。洗浄水にあるセシウムは、薬剤を使って100%集めて沈殿させることができた。
さらに、洗浄した土をふるい分けして、細かい粘土を取り除いたところ、残った土は約99%のセシウムが除去された。洗浄水から取り除いた分と粘土を合わせた汚染部分の重さは、元の土の5%に減らすことができた。
セシウムは、粒の大きな砂に付いている分は水洗いで取れやすく、粒の細かい粘土とは強く結びついて離れないと考えられる。
豊原准教授は土壌改良ベンチャー企業アース(仙台市)と共同で、この仕組みを応用した汚染浄化システムを開発した。洗浄水を浄化して繰り返し使うことで、プラントの大きさを10メートル四方と小さくした。プラントの価格は1億〜3億円。同社は市町村と協力して実証試験を進めたいという。
もともとこの洗浄法は、六価クロム、鉛、カドミウムなどの金属による土壌汚染対策に使われてきた。農地など粘土が多い土からはセシウムを取り除くのは難しいという欠点はあるが、住宅地の表層、砂場、砂浜などの粘土が少ない土では効果的という。(鍛治信太郎)