3月の大津波の際、半数以上の人が車を使って避難していたというアンケート調査がまとまり、地震や津波の対策を検討している国の専門調査会は、車での適切な避難のルールについて検討していくことになりました。
この調査は、内閣府が岩手と宮城、福島の3つの県で合わせて870人を対象に面接で行ったもので、16日、地震や津波の対策を検討している国の専門調査会の会合で報告されました。それによりますと、津波から避難した際に「車を使った」という人は57%と半数を超えました。その理由を複数回答で尋ねたところ、「車でないと間に合わないと思った」が34%、「家族で避難しようと思った」が32%、「安全な場所が遠かったから」が20%などとなっています。一方、車で避難したという人のうち34%は「渋滞にあった」と答え、渋滞に巻き込まれ、危険にさらされた人も多かったことが分かりました。津波からの避難について、これまで国は「車の使用は渋滞や事故などを招くおそれがあることから、徒歩を原則とする」という考え方を自治体などに提示していました。会合では、委員の専門家から「車で避難した人が多かった事実は無視できない」などの意見が出され、今後、車での適切な避難のルールについて検討していくことになりました。専門調査会の座長で関西大学の河田惠昭教授は、「高齢化が進み、徒歩での避難が難しい人が増えている。地域ごとの交通の実態に合わせたルールを考える必要がある」と話しています。16日の専門調査会の会合では、車で避難したことで津波から逃れた事例と、かえって危険にさらされた事例が、それぞれ報告されました。各地の警察による聞き取り調査などによりますと、宮城県の南部では、小学校の校庭で児童を保護者に引き渡していたところに津波が押し寄せ、全員が保護者や教職員の車で避難し、助かったケースがあったということです。一方、岩手県釜石市では、沿岸部を通る幹線道路で300メートル余りの渋滞が発生し、停止していた車両が津波に流されたほか、宮城県名取市では、高台となっている「仙台東部道路」を目指す車などで渋滞が発生し、一部の人は車を乗り捨てて道路脇の斜面を駆け上り、津波から逃れていました。これまでに内閣府や専門家が行った調査では、車で避難した人の割合は、沿岸部に高台が少ない宮城県や福島県でより高い傾向が見られるということです。