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陸前高田の松、使用中止に=京都・送り火の薪−放射能懸念の声で

陸前高田の松、使用中止に=京都・送り火の薪−放射能懸念の声で

 東日本大震災で津波に流された岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」の松を、「大文字」で知られる京都の伝統行事「五山送り火」で燃やす薪として使用する計画が、福島原発事故による放射能汚染を懸念する声が寄せられたため中止になったことが7日、分かった。
 送り火を主催する「大文字保存会」(京都市左京区)の松原公太郎理事長によると、計画が報道された後、「放射性物質は大丈夫か」「燃やした灰が琵琶湖に落ちて水が飲めなくなるのでは」などと心配する電話が保存会に複数寄せられた。
 検査の結果、薪から放射性物質は検出されていないものの、保存会は「食品の放射能汚染問題もある中、地元の心配を払拭(ふっしょく)できない」(松原理事長)として中止を決断した。
 薪は200〜300本あり、「津波で死なせてゴメン」「みんなで力を合わせてがんばろう」など、被災者がそれぞれ亡くなった家族への思いや復興に向けたメッセージを書き込んでいた。
 松原理事長らは陸前高田市に赴き、8日に薪を盆の迎え火として燃やす予定。被災者が書いた思いやメッセージは京都で別の薪に書き写され、16日に五山送り火で燃やされる。
 「高田松原を守る会」の鈴木義久会長は「風評被害は恐ろしい。亡くなった方の冥福を祈る気持ちに水を差されたようで残念だ」と話した。
 計画は、ボランティアで陸前高田市を訪れた大分市の藤原了児さんが「被災者に思いを書き込んでもらい、気持ちの整理を付けてもらえれば」と発案。保存会と交渉して準備を進めていた。(2011/08/08-00:08)

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