東日本大震災の津波でなぎ倒された岩手県陸前高田市の松でできた薪(まき)を、京都の大文字送り火で燃やす計画が中止になった問題で、五山送り火の各保存会で組織する「京都五山送り火連合会」(京都市)は9日、現地から別の薪を受け入れることを決めた。京都市が500本を取り寄せ、送り火で燃やされるという。
市によると、被災者がメッセージを書いた薪333本は8日夜に現地で燃やされ、市には9日も約500件の苦情が相次いだ。そこで市は、陸前高田市で薪を管理するボランティア団体から薪を送ってもらう約束を取り付け、10日に500本の薪が京都市に届くことになった。終戦記念日の15日に市役所前である平和イベントで一部を燃やす。
一方、連合会は市の要請を受けて協議した結果、16日の送り火で燃やすことに決めた。送り火は「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の五つあり、どこで燃やすかは今後決めるという。
今回の薪には被災者のメッセージは書かれていないが、連合会の田中博至(ひろし)会長(74)は「松には被災者の思いが詰まっている。心静かに犠牲者の霊を送る協力をしたい」と話している。(岡見理沙、岡田匠、井上未雪)