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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】民主党 何のための大連立なのか
民主、自民、公明の3党による大連立政権構想が、月内にも行われる民主党代表選の争点として浮上してきた。
次期首相候補とされる野田佳彦財務相は「衆参がねじれている状況では、連立でなければ政治は前進しない」などと、「救国内閣」の必要性に言及している。だが、問われているのは、何のための大連立なのかということだ。
「ねじれ国会」での政権運営が厳しいという理由だけでは、あまりにも安易に過ぎる。
東日本大震災の復旧・復興は遅れており、国会の合意形成の迅速化が求められているのは確かだ。しかし、野党による政権チェック機能が著しく損なわれる大連立は議会政治を否定しかねない。
大連立構想は震災直後や、菅直人首相が退陣の意向を表明した6月にも浮上した。しかし、震災から5カ月以上が経過した今、「復興のための大連立」という大義名分はもはや立たない。なぜ再び大連立なのか。野田氏は目的を明確にする必要がある。
政党同士が政権を共有する以上、外交や安全保障などの基本政策で合意しておくことは不可欠だ。そこでの一致を見ないままの連立で、どうして日本丸のかじ取りを担えるというのか。
問題は、民主党がいまだに基本政策を曖昧にしていることだ。党内意見を積み上げていくシステムも、最終的に集約する意思決定機関もない。主要政策が迷走を繰り返してきたのもこのためだ。
大連立を模索する前に、まずこうした致命的な欠陥を改めることを最優先すべきだ。基本政策の策定やマニフェスト(政権公約)の見直しをどう進めていくのか、代表選できちんと結論を出すべきであろう。
一方、自民党執行部にも、谷垣禎一総裁の首相就任を条件に大連立を検討する動きがあるようだ。政権党のメリットを共有したいとの思惑があるのだろう。だが、大連立への参加は、民主党政権の延命に手を貸すことでもある。
子ども手当などの主要政策を降ろした民主党は、政権党の正当性を失ったともいえる。多くの国民が政権維持能力に疑念を抱いていることを忘れてはならない。
求められているのは、震災復興のための第3次補正予算を早期に成立させ、すみやかに解散・総選挙を行う布陣である。
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