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最終更新:2011年8月16日(火) 22時40分

ソマリア飢饉の裏に食糧価格の高騰

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 ガリガリにやせ細った9歳の少女。深刻な飢饉に見舞われ故郷を脱出してきましたが、その途中、栄養失調などで8人兄弟のうち5人を亡くしました。60年に一度の干ばつと20年に及ぶ内戦によって370万人もの人が食糧不足にあえいでいるのは、「アフリカの角」と呼ばれるソマリアです。今年だけで10万人もの難民が、食糧を求めて隣の国のケニアに流出する事態となっています。

 国境沿いにある難民キャンプにJNNのカメラが入りました。取材で見えてきたのは、食糧不足の裏のある事情でした。

 60年に一度の干ばつに見舞われているソマリア。今年に入り、隣国ケニアのダダーブ難民キャンプへと大量のソマリア難民が流入し、今年だけで、その数は10万人を超えました。

 ソマリアの飢饉(ききん)が深刻化する背景には、干ばつのほか弱い政府、やまない紛争といったことが挙げられますが、もう1つ、別の要素もあります。

 「今年の初めはトウモロコシ粉は1パック85シリング(約70円)だった。(Q.今は?)今は150シリングです。(Q!%G\6a$$$G$9$M!K$O$$G\6a$$$G$9$h!W!J>&E9
 ソマリアを含む東アフリカ、そして世界的規模で食糧価格が高騰しています。370万人が食糧不足にあえぐソマリア。その裏には、世界的な食糧価格の高騰もあると言います。ソマリアの隣国ケニア。主食の1つである「ウガリ」をつくるトウモロコシ粉の価格がここ数か月ではね上がりました。

 「みんなウガリを減らして小麦粉や豆の料理を増やしています。トウモロコシの粉が高くて・・・」(買い物客)

 「お客さんたちは、商店主を信用しなくなりました。この機に乗じて、もうけようとしているんじゃないかと」(商店主のサミュエル・ガドさん)

 ソマリアのみならず、東アフリカ一帯で食糧不足は深刻。干ばつの影響で、そもそもの供給が足りないことに加え、国際価格も高騰し、食糧があったとしても高くて手が出せないのです。

 では、なぜ食糧の国際価格が高騰しているのでしょうか。
 「食糧価格高騰の主な原因は、バイオ燃料と投機的取引です」(国際支援団体「オックスファム」ローソン氏)

 トウモロコシは、今年、史上最高価格を記録しています。石油の代わりになると注目されるバイオ燃料の原料として穀物の需要が高まっていること、さらに、穀物市場自体が投機の対象になっていることが国際価格を押し上げているといいます。

 ソマリア難民のキャンプでも、こんな声が・・・
 「市場に食糧はあります。でも買うお金がないんです。とても高い。昔の半分も買えません」(ソマリアからの難民)

 ソマリア国内では、国産の食糧の価格が3倍近くに暴騰しているものもあるといいます。その上、輸入された食糧も高いとなれば、庶民は飢えるしかない――。さらに、国際社会からの支援にも大きな影響が出ます。

 「WFPなどは支援食糧を国際価格で調達するので、調達コストが上がればその分救える人数に影響が出る」(国際支援団体「オックスファム」 ローソン氏)

 食糧危機にあえぐ東アフリカ。60年に1度の干ばつだけでなく、遠く離れた場所で行われる国際取引にも翻弄されています。(16日18:07)

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