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被災地で治療 資格ない偽医者か

8月12日 12時53分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市で、けがをしたボランティアの治療に当たってきた団体の代表が、医師の資格がないのに医療行為をしていた疑いがあるとして、警察は関係者から事情を聞き、事実関係を詳しく調べています。

石巻市では、4月ごろからボランティア団体の代表の「米田きよし」と名乗る男性が、キャンピングカーなどでけがをしたボランティアの手当てをしたり、薬を処方したりする活動に当たってきました。ところが、ことし6月、この男性に不審な点があるとの情報が石巻市の社会福祉協議会に寄せられたということです。社会福祉協議会が医師の資格を示すよう求めたところ、男性は「医師国家資格認定証」などと書かれた顔写真入りのカードのコピーを提示して、医師だと主張したということです。厚生労働省によりますと、医師であることを証明するのは「医師免許証」だけで、男性の提示した「認定証」は存在しないということです。警察は、医師の資格がないのに医療行為をした医師法違反の疑いもあるとして、関係者から事情を聞くなどして事実関係を調べていて、今後、本人からも事情を聞く方針です。この男性は、朝日新聞が10日の朝刊で「救護所で250人余りを診察してきた医師」として紹介しましたが、12日の朝刊で「経歴について虚偽の疑いがあり、日本の医師資格は持っていないと判断しました」などとするおわびを掲載しました。男性はNHKの取材に対して「現在は石巻にはいない。電話では話はできない」としています。

この男性は「リカバリー・フォー・ジャパン」という実在するボランティア団体の名前を使って活動していました。この団体の代表を務める富永滋也さんは、NHKの取材に対し「男性は『リカバリー・フォー・ジャパン』の名前を勝手に使って活動していたもので、団体と男性は全く関係がない」と話しています。

日本で医師の国家試験に合格すると、厚生労働大臣から医師免許証が交付され、医師の戸籍に当たる「医籍」に登録されます。さらに、医師として医療機関で働くには2年間、医療現場で研修を受けなければなりません。医師は2年ごとに居住している都道府県の知事を通じて、働いている医療機関などを厚生労働省に届け出ることが義務づけられています。平成19年には医師の資格を確認するデータベースが作られ、名前で検索すると資格の有無や、業務停止などの処分を受けているかどうかを確認できるようになりました。しかし、このデータベースは医師の届け出を基に作られているため、届け出ていない医師についての情報を確認することはできません。このため、厚生労働省は、「データベースに登録されていない場合は、その医師の医師免許証を確認するしかない」としてます。