2011年6月20日 21時32分 更新:6月21日 0時33分
理化学研究所は20日、神戸市中央区のポートアイランドにある次世代スーパーコンピューター(スパコン)「京(けい)」が、ドイツで開催中のスパコンに関する国際会議で、演算速度世界1位を獲得したと発表した。日本のスパコンが1位になるのは、海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」(02年~04年6月)以来7年ぶり。「京」は政府の事業仕分けで蓮舫参院議員が「世界一でないといけないのか。2番ではだめなのか」などと問題視し、話題になった。
京は理研と富士通が約1120億円をかけて開発中で、高性能の処理装置(CPU)約8万個を効率よくつないだのが特徴。8割方完成し、4月から一部稼働している。
ランキングは世界の上位500位を選び、年2回、発表される。ランキング締め切りの5月時点で、指標となるプログラムの演算回数で1秒間に8162兆回を達成。前回1位の中国の「天河1A号」の2566兆回を大きく上回った。
今後12年6月までに完成を目指し、名称の由来でもある1秒間に1京(1兆の1万倍)回の達成を目指す。
会見で野依(のより)良治・理研理事長は「我が国の産業技術が健在な証しでうれしい。やはりトップを目指さなきゃいけない」と話した。【野田武】
蓮舫行政刷新相は20日、富士通が開発したスーパーコンピューターの計算速度が世界一となったことに関し「極めて明るいニュースで、関係者の努力に心から敬意を表したい。国民の税金を活用しているので、ナンバーワンになることだけが自己目的化するのでなく、どうやって将来の明るい夢につなげるか期待したい」と評価した。首相官邸で記者団に語った。【中井正裕】