挨拶に立つ玄葉政調会長


 子ども・男女共同参画調査会・厚生労働部門合同会議が5日、国会内で開かれ、民主・自民・公明3党による子ども手当に関する合意を受けて、玄葉光一郎政調会長、城島光力政調会長代理から協議の経過等について報告があった。

 冒頭で玄葉政調会長は3党合意に関する誤った報道によって「国民の皆さんの間にはかつての児童手当に戻るような誤解があるように感じる」との認識を示し、しかし実態は現金給付の規模として、従来の児童手当は約1兆円であったところを今回の手当で2・2~2・3兆円に倍増し、支給額について3歳未満は1万5千円、3~12歳の第1子と第2子は1万円、第3子以降は1万5千円、中学生は1万円となったと説明した。

 「かつての児童手当は5000円だったし、中学生はなかったわけだから」と玄葉政調会長は語り、その意味で民主党政権は子どもに光を当てていくという基本理念は全く変わっていないと述べた。子どもに対する政策が手厚くなるなか、高校授業料無償化の実現によってか中途退学者が2・9%から1%台に減少した実態を説明した。

 子ども政策の拡充で子育て世代に安心が広がったことで、出生率も1・26から1・39まで上がったことも取り上げ、「この流れを変えてはいけないと考えている。それがこれからの日本の財政経済を考えるうえでも極めて大切」だと述べ、今後は政争の具にするのではなく、子ども手当を存続していくことの重要性に言及した。

城島政調会長代理

挨拶に立つ城島政調会長代理

 城島政調会長代理は、「今回の内容は民主党の子ども手当にかけた理念や思いは揺るぎないままのなかでの、ぎりぎりの妥協点であると自信をもって言い切れる」と発言。そのうえで報道のあり方を問題視したうえで、「子ども手当の廃止は全くない。来年の4月から児童手当の復活が決まったわけでは全くない」と強く否定し、ある意味で誤報だとした。「児童手当に戻らないために協議をしてきたわけだから、それに戻ってしまっては何のための協議かという話になる」とも指摘した。

 また所得制限の基準を年収960万円程度としたが、所得制限基準以上の世帯に対しても何らかの手当をあてることについては妥協できないと協議の場で強く主張した経緯を城島政調会長代理は明らかにし、ぎりぎりの交渉であったが、「税制上、財政上の措置を検討し、平成24年度から所要の措置を講じるものとする」との合意に至ったことを説明した。

 さらに児童手当は小学生が対象であったところを中学生までのすべての子どもに対して何らかの手当の支給を実現した意味は大きいと述べ、民主党が掲げる「控除から手当」への理念も引き継がれたとした。

 合同会議には約60人の国会議員が出席し、この度の3党間の合意については「与野党の理解と協力を得て子ども手当の廃止を回避した。恒久法として成立する見通しが立ったものと理解する」といった意見が相次いだ。

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