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2003年11月28日(金) |
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和牛架空販売で多額詐欺 |
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士幌町内の畜産業者が和牛の架空販売などで現金約3250万円をだまし取った多額詐欺事件で、帯広署は28日、詐欺の疑いで逮捕した同町上音更252、家畜人工授精所「イー・ティー・ジャパン」代表の居森大嗣容疑者(56)を釧路地検帯広支部に送検した。これまでの調べで、同容疑者は大筋で容疑を認めているが、今回の事件以外に、家畜販売業の共同経営や株式公開を口実にした出資話を持ちかけられ、同容疑者に現金をだまし取られたとする証言が多数あり、今後、事件が広がりを見せる可能性もある。
居森容疑者 これまでの調べで、同容疑者は動機について、1996年に設立した「イー・ティー・ジャパン」が資金繰りに行き詰まったなどと供述し、架空の取り引きで現金をだまし取ることを計画。被害に遭った同町内の和牛販売業の男性(54)=現在、千葉県在住=に対しては、「いい黒毛和牛が入荷した。1頭35万円」などとだまして、牛の購入と預託を薦めていた。 販売した牛は実在せず、男性が同容疑者に購入・預託した牛の所在を確認した際は「旭川や江別など、ほかの牧場に預けてある」などと言葉巧みに言い逃れていたという。 また、帯広署が詐欺容疑で同容疑者を全国に指名手配していた間、同容疑者はタイに出国していたことが確認されているが、出国や帰国の経緯などについては、理由を明らかにしていない。 同容疑者は99年7月−2000年2月の間、男性に対し、牛の販売と販売牛の肥育業務を請け負ったと装い、販売・預託代金総額3250万円をだまし取った疑いで、26日夕、入国した関西国際空港で逮捕され、27日、帯広署に移送された。
羽振り良く大物の感/株や商売もちかけ 詐欺の疑いで逮捕された居森容疑者(56)にこれまで、投資話や商談を持ちかけられた被害者は、同容疑者について「羽振りがよく、大物といった感じだった」などと口をそろえる。もともと同容疑者とつきあいがあった人ばかりで、同容疑者が巧みに信用関係を築いていた一端が浮き彫りになった。 今回、架空の和牛販売と肥育預託で現金をだまし取られた男性(54)は、以前から同容疑者との間で和牛の購入と肥育預託の取り引きがあった。 今回の経緯について、「(同容疑者の会社が)種牛を購入して、米国に販売した実績があると聞いていた。会社の設備も整っていたので、信用できると思った」と振り返る。 同容疑者と18年前、知人を介して知り合った札幌市内在住の女性は、同容疑者が国際電話で英語を巧みに話したり、自分の会社が取り上げられた雑誌を持ち歩き、自慢げに見せて回っていた姿を目にし続けてきた。「経済界の著名人に知人が多いので、何かと面倒を見るといつも聞かされていた。大物に見えたので、信用できる人だと思っていた」という。 女性は2001年3月、同容疑者から「近々、大手食品メーカーと合併して株式公開する。今なら優先的に株を販売できる」などと誘われ、現金1200万円を同容疑者名義の口座に振り込んだ。その後、同容疑者との連絡は途絶え、全額が返ってきていないという。 また、同市内の男性は、同容疑者に「家畜の人工授精で大きな商売をやろうと思っている。一緒にやらないか」と共同経営の話を持ちかけられた。結局、100万円を手渡したが、「夢のある話をいつも熱心な口調で語られ、その気にさせられたのかもしれない」と言葉を詰まらせた。 同容疑者とかかわったいずれの被害者も知人を通じて出会い、同容疑者はどの人に対しても、まめに顔を見せ、プライベートなところまでかかわるなどしていたという。 しかし、18年前から知り合いだった女性は「いつの間にか打ち解ける関係になったが、本人についてはいつも話を聞かされるだけ。実際の暮らしぶりなどは何も知らなかったし、聞いてもはっきりと言わなかった」と言い、「そのあたりが実に巧妙だった。長年かけてだまされる土台が作り上げられていたのでは」と付け加える。 今回、同容疑者は牛の架空の販売・肥育預託をめぐる詐欺事件で逮捕されたが、周辺関係者との間で商談や投資をめぐる複数のトラブルがいくつも浮上している。 帯広署は同容疑者に動機や経緯のほか、余罪についても詳しく調べを進めていて、被害者は一連のトラブルについても全容解明を望んでいる。
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