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[29265] 【ネタ】ルイズさんが黄色いアンチキショウを召還しました。(水曜どうでしょう×ゼロ魔)
Name: あぶさん◆5d9fd2e7 ID:9f632b24
Date: 2011/08/13 10:01

こんな一発ネタで、他の作家さんの投稿を阻害するのもどうかとおもったので、
「どうでしょう班がハンター試験の試験官をするそうです」の記事に追加投稿しました。
(新規記事を上げると、一時間他の方が新規で投稿できなくなるので)



この一発ネタは、ハンター試験にONちゃんいないじゃないか!というレスがあったので、書いてみました。

ONちゃんは別件に巻き込まれていたので、ハンター世界にいませんでした。ということにしておいてください。


また、この記事のタイトルは、数日たったら、「どうでしょう班がハンター試験の試験官をするそうです」

に戻す予定です。

それでは、記事番号の2と3番へどうぞ。




[29265] 【一発ネタ】どうでしょう班がハンター試験で試験官をするそうです。 【HxH × 水曜どうでしょう】
Name: あぶさん◆5d9fd2e7 ID:9f632b24
Date: 2011/08/10 21:59



「ステーキ定食弱火でじっくり」


ナビゲーターのキリコ(凶狸狐)が、店員に人差し指をたててこういった。

頷き、自然な流れで私達3人を奥の扉へと誘う店員。

キリコが振る手に、ゴンも大きくその手を振り返していた、私も軽く会釈を返すことにした。


ゴン、レオリオ、そして私ことクラピカのハンター試験は今始まった。





・・しかし、そのときはまだ、このハンター試験があんなにも恐ろしいものになるとは、私達の誰も、予想だにしていなかった・・。





奥の扉をぬけ、エレベーターで、地下に向かった私達が辿り着いたのは、酷く暗くて、大きな駐車場であった。



そこには・・・化け物がいた。




二つの光る目、低い唸るような不気味な音、巨大な胴体、頑丈な足回り。そう、それは・・・












長距離バスだった。








どうでしょう班がハンター試験で試験官をするそうです。

【ハンター×ハンター×水曜どうでしょう】





「オ・・、オイ・・、こ、このバスは・・・、まさか・・、今回の試験官はアイツラなのか!!?
冗談じゃねえ!新人潰しなんぞやってられるかよ!!俺は帰る、帰るぞ!!」


背丈の低い太った中年の男が、わめきながら、元来たエレベーターで地上へと戻っていった、彼の後を数人の男達が続いていった。


「ここにたどり着くだけでも大変な苦労だったろうに・・、惜しい事をするものだ。」


そう私は呟いたものの、あの男の残した言葉が気になっていた。


あの男は、「今回の試験官はアイツラなのか」確かにそういった。


彼はこの駐車場に停車している数台のバスをみて、試験官が何者であるかを悟った。そして恐らくは、ある程度の試験内容も・・、

その上で、自身ではこの試験に絶対に受かる見込みがない、あるいは試験を受ける上でのリスクが高すぎる。そう判断したからこそリタイアしたのだ。未だ試験が始まっていないにも関わらず。


もちろん、私は尻尾を巻いて逃げ出すつもりなど毛頭なかった。自分の全てを失ってでも、仲間の復讐を、蜘蛛への復讐を果たすと誓ったのだから・・・。



「へーえ、ハンター試験って、割とおもしろそうじゃん♪」


気がついたら銀髪で癖毛の少年が側に立っていた、まるで、テレビゲームでも始めるかのような軽い口調だ。


「うん・・。なんだかオレ、どきどきしてきた」


怖気などとは無縁のゴン、その目は期待に輝いている。


「・・ま、どんな試験だろうが、やるっきゃねえぜ!」


パンッと、拳で手のひらを打つレオリオ、


銀髪の少年、名前はキルアと言うそうだが、ゴンとは歳も同じこともあり、すぐに意気投合していた。・・それにしてもこのキルアという少年、喋りだすまで気配など全く感じなかった。相当な力量であることは間違いない。試験内容によっては、手を組んだほうがいいかもしれない・・・。


・・・と、考えるのはここまででいいだろう。なぜなら、そのバスがゆっくりとこちらへと旋回してきたからだ。


一体このバスになにがあるというのだろうか、私達受験生一同はそのバスを注意深く観察していた。一見なんの変哲もないバス。これからこのバスで試験会場へと移動するのであろうか、そんな事を考えていると、一台のバスの扉がゆっくりと開いた。


そして、そのバスから4人組の男達が降りてきた。


アフロのような髪型の男に、唇の大きいジャージ姿の男、髭面眼鏡の男に、カメラを持った細身の男。どこをどうみても、一般人でしかない4人の男達の登場に、私達は皆唖然とした。すると、その中の一人の男が前に進み出た。


「皆さん、こんばんはー!わたしたちは、ローカルハンターの「チーム水曜どうでしょう」でーす。私達はですね、いつもは、この広いハンター世界を、ぶらりぶらーりと旅をしている、ただの旅集団なんですが、今回、みなさんのハンター試験の審査を引き受けさせていただくことになりました。申し遅れましたが、私は司会の鈴井と申します、ミスターと呼んでいただいて結構です。」


鈴井と名乗った男が、場に似合わぬ軽い雰囲気で自己紹介する。ローカルハンターなどという言葉は初めて聞いたが、油断などできる筈はない、彼らはプロのハンターである。おちゃらけてはみえるが、このハンター試験の審査を任されている以上、只の一般人の筈はない。鈴井の説明はつづいていく。


「それではですね、さっそくですが、一次試験を始めさせていただきます。みなさん、いったいこれから何が始まるのか、ドキドキしていることだとおもいますが・・・、まずはこちらをみてください、ジャジャン!」


鈴井の芝居くさい語り口調が少々鼻につくが、それは気にしないほうがいいだろう。私は男が手荷物プラカードに注目した。

そこにはカラフルに色分けされた表と、1から6までのサイコロの絵、そして、意味不明の文言が書きこまれていた。



1)新鮮な魚介類が食べたい!くじら島


2)観光もいいな、ククルーマウンテン


3)一度は行きたい天空闘技場


4)遊ぶのなら命がけ、ヨークシンシティー


5)ええ?どうやっていくの?グリードアイランド


6)文明はどこだ?NGL自治国




「それでは!一次試験では、みなさん4人一組になっていただいて、ゴールのサッポロまで、向かっていただく事になります!各チームそれぞれワンセットずつ、このサイコロとプラカードを持っていただいて、サイコロの出た目通りの交通手段を使って無事ゴールへとたどり着いてください。ジャパンまでは少―し離れているので、制限時間はたっぷりの30日間。それでは、よーい、スタート!!」
















・・・30日後、




私たちは、制限時間ギリギリに、ギリギリの体と、ギリギリの容姿でようやくゴールへと辿りついた。

道中、ゴンが早すぎる里帰りすることになったり、キルアが兄に連れ戻されそうになったり、サイコロの出た目をごまかそうとしたレオリオに何故か雷が落ちたり・・・、と、他にもいろいろな事があったがここでは割愛しておこう。


とにかく今は、30日ぶりのベットで眠りたい・・、それだけが私達の今の望みだった。




・・・しかし、そんな私達の願いを嘲笑うかのように、司会の鈴井という男は二次試験の即時の開始をつげたのであった。



「それでは、二次試験はグルメ試験です。みなさんには、いまからシェフ大泉の作るフルコースを完食して頂きます。」




一次試験を無事終えた私達受験者の人数は17組68名とおよそ六分の1、二次試験では、その数をさらに半分以下へと減らすことになってしまうのであった。






【能力名】 
六分の一の夢旅人【ダイスジャーニー】 操作系

【能力者】 
鈴井貴之

【能力】

4人組の人間にサイコロを振らせ、そのサイコロが出た目の通りの行動をさせることができる、使用されるプラカードは、一度サイコロを振る度に自動的に更新される。

【制約】
4人一組でなければならない。
使用するサイコロはサイコロキャラメルを使わなければならない。




【能力名】
極光の飽食【オーロラクッキング】 具現化系

【能力者】
大泉洋

【能力】
微妙に不味く、異常に辛い料理を、異常な量作る能力。食べた者はみな「お見舞いされる」

【制約】
作るのに異常に時間がかかる。


***********************


祝・ハンター復活!!

一発ネタです、続きません。正直、本当にすまんかった。

H×Hと水曜どうでしょう、次に再開するのはどちらなんでしょうかね・・・。


ちなみに最終試験の「甘いもの対決VS魔人」で合格者は0、ゴンやクラピカも魔人の前にあえなく沈みました。



【能力名】
魔人の胃袋(ホワイトベアー・リベンジャー) 強化系

【能力者】
魔人(藤村D)

【能力】
甘いものならいくらでも食べられる、というか飲む。

【制約】
酸っぱいものとフルーツは意外に苦手。




[29265] 【一発ネタ】ルイズさんが黄色いアンチキショウを召還しました。(前)【水曜どうでしょう×ゼロ魔】
Name: あぶさん◆5d9fd2e7 ID:9f632b24
Date: 2011/08/13 10:04




「それでは、ミスヴァリエール、召還の儀式を始めてください。」








サモンサーヴァントに何度も失敗してしまう私。その失敗が100を数えた頃には、私の心の大半を絶望が支配していた。


私に・・、魔法はつかえないの?


<爆音>


いや・・・!認めたくない!


<爆音>


お願いだから!


<爆音>


私が、


<爆音>


貴族で


<爆音>


ある為に!


<爆音>


あたりに舞いおこるのは土埃と砂礫のみ。


サモン・サーヴァントすら成功できない私、これじゃあ、本当にゼロのルイズじゃない・・。


自嘲する、口の端が吊り上る。


・・・まだ、大丈夫、自分を笑えるだけの余裕がある、諦めるには・・、まだ早すぎる!


もう、贅沢なんて言わない、ミミズでも、ムカデでもなんでもいい!神様・・・!お願い・・・!!


私は神にすがるような気持ちで呪文を唱えつづける。


この願いをかなえてくれるというのなら、プリミル様でなくともいい。


邪神だろうが、異世界の神だろうが・・・誰でもいいから、私の願いをきいて!!


私の心の叫びは、知らぬ間にだれも聞いた事のない呪文をとなえていた。


「宇宙の果ての何処かにいる私の使い魔よ! 神聖でなくとも、美しくなくとも、強力でなくてもいい!私は・・心より求め訴える、わが導きに答えて!!サモンサーヴァント」


爆音・・・・


・・・しかし、私の直感はこういっていた。「成功した」と・・。


爆煙が消え去った後、そこには、一人の男が立っていた。


プリミル様か、あるいは何処の世界の神かはわからないが、私の願いを聞き届けてくれた!


私は思わず泣き出しそうになってしまうのを必死に堪える。


「やーい、ルイズが平民を召還したぞ!」


「おい、ルイズ!いくらサモン・サーヴァントに成功する自身が無いからって、平民をつれてくるなよな。」


同級生達の野次が聞こえる、


「ミス・ヴァリエール、解っているとは思いますが、春の召還は神聖な儀式です、やり直すわけにはいきませんよ」


コルベールに釘をさされる。


しかし、私はやり直す気など毛頭無かった。同級生の野次も全く気にならなかった。


なぜ?もう一度やっても成功する自身がないから?・・・いや、違う、正直に言おう。


目の前の男の、とても・・・、とても悲しそうな、それでいてなにか辛い事を耐えているような深い瞳に、私は一目で惹かれてしまったのだ。


一目惚れとは・・、違うと思う。だってあの人は私の使い魔になる人なのだから。


でも、これからきっと、この目の前の男と長い人生を歩むであろう事に、不満や不快感などはまったく感じていなかった。


だから私は、いつもより少しだけ素直に、彼に語りかけることができた。


「初めまして、私はルイズ、ルイズ・ヴァリエール。突然召還してごめんなさいね。今日から私、あなたの主人になるのよ・・・。よろしくね・・。」


男の背がずいぶん高いせいで、どうしても見上げる形になってしまう。わたしは、かれの首に腕を回す、契約の口付けを交わす為に・・・。


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」


唇を近づける、ドキドキしているのはなぜだろう、これは使い間の儀式、只の儀式だと、自分に言い聞かせる。


心臓の鼓動が目の前の男に聞こえているような気がして、恥ずかしさに顔が熱くなる


そして・・・、唇と唇が触れ合おうとした、その瞬間・・・・













「シャーーーーッ」












まるで・・、蛇口をひねったような音と共に、使い魔になるはずの男の口から、ありえない量の白い液体が私の顔に降り注いだ。




・・・あ・・、これ、牛乳だわ・・・。






恐らく、このトリスタンの長い歴史の中でもワースト3に入るであろう間接キスをした私。


そしてその私を悲しそうに、とても申し訳なさそうに見つめる男。


これが私と、ONちゃんこと安田の、初めての出会いだった。



**************************************


ルイズの願いを聞き届けた異世界の神とは笑いの神でした。




黄色い物体が召還されると思っていたみなさん、ごめんなさい。召還されたのは、中身でした。対決列島収録中、岩手県は小岩井牧場から召還されてしまったようです。


後編は明日投稿。後半で、黄色いアンチキショウになります。


まあ・・、その・・いろいろ言いたい事もあるとは思うが、夏だからということで、許して欲しい。



[29265] 【一発ネタ】ルイズさんが黄色いアンチキショウを召還しました。(後)【水曜どうでしょう×ゼロ魔】
Name: あぶさん◆5d9fd2e7 ID:9f632b24
Date: 2011/08/13 10:07




【対ギーシュ戦)





「なんですって?安田がギーシュと決闘ですって?」


キュルケによってもたらされたその知らせは、私を驚かせるには十分だった。


バカで、グズで、不器用で、何もできなくて、本当に役立たずな使い魔だけど、使い魔は使い魔、死なれてしまっては目覚めが悪い、


私は、急ぎ、ヴェストリの広場へと向かうことにした。












・・・・・・・・・・・・・。




「・・・で、この大量の牛乳は一体何なのかしら?」


「あなたの使い魔が提案した。ギーシュが一杯牛乳を飲めば、あなたの使い魔は10杯飲む、つまり、10倍のハンデ戦。あなたの使い魔が勝ったらギーシュはメイドに謝る、まければ、ギーシュの頼みをなんでも一つ願いを聞くらしい。」


青髪の少女(・・タバサだったかしら)がわたしの疑問に答える。


「ちょっと安田!!なに勝手な約束してんのよ!あなたは私の使い魔なのよ!!負けたら、ギーシュの願いを何でも聞くって、あんたに一体何ができんのよ!!・・というか、なんで牛乳早飲み対決なのよ!もっとましな勝負しなさいよ!!」


私の声に安田は振り返り無言でグッと親指を立ててくる。


「・・って、なんでそんなに自信満々なの!?あんたのソレは不安しか煽らないのよ!!いいからとっとと謝りなさい!ついでに生まれてきたことにも謝りなさい!!」」















「それでは、牛乳早のみ対決、制限時間は3分。よーい、初め」



・・・なにはともあれ、ギーシュと安田の牛乳早飲み対決は始まった。

いつの間にかタバサが審判を引き受けていた。タバサの合図と共にギーシュと安田が牛乳へと手を伸ばす、牛乳を手に取るまでは、全く同じタイミングだったのだが・・・・


「・・・な!?早い!!」


周りのギャラリー達が一斉に驚く、私も安田が牛乳を飲むのは初めてみたが、そのスピードは異常だった。もはや人間業だとは思えない、なんで牛乳飲むときのときの音がゴクゴクではなく、「カポンッ」なのだろうか、それはもう飲むというよりも、安田というバケツに牛乳を入れているようにしかみえない。


しかし・・・・、


「いくら早くともハンデ10倍は無理、ギーシュはもう一杯飲み終えた。」


タバサが冷静に戦況を分析する。そう、いくらなんでもハンデを与えすぎた。もしハンデが5倍だったら、いい勝負ができたのかもしれないけれど・・・。


7杯を越えたあたりで、目に見えてスピードが遅くなる安田、




・・・そして、10杯目を飲み終えたとき、あの、最高に悲しい目でこちらをみつめてきた。






あー・・、あれは、・・・やっちゃうわね・・・。





私にはもう、この後に起こる惨劇が理解できていた。


鼻から、ぴゅるっと牛乳が出たかと思うと、後ろを向いた安田。・・・そして、





「シャーーーーーッ」





やはり、水道の蛇口をひねったような音とともに、安田は、今飲んだばかりの牛乳を嘔吐する。


目の前でありえない勢いの嘔吐を見せられ、ドン引きのギーシュ。文字通り2,3歩後ずさっている。そりゃあ、靴が安田の吐いた牛乳で汚れてしまうのが嫌な気持ちはわかるが・・


「あんたはまだいいわよ!!わたしはあれを顔面にぶっかけられたのよ、わかってんの?」


私は召還の儀式のアレ以来牛乳が飲めなくなっていた。私の幾分控えめな胸を育てる最後の希望だったというのに・・・。





「・・・っう、・・な、なんというか、とりあえず、勝負はボクの勝ちということで・・・」



勝ち名乗りにも覇気がないギーシュ、そりゃそうね、あんな後味悪い勝ちはないわ。




だれもが、ギーシュの勝ちをなんともいえない表情で見ていたときに、嘔吐し終えた安田が動いた。そして・・、11杯目の牛乳をつかんだ。




「・・な!?君は負けたはずだろう!!」


「いいえ、ルールでは吐いたら負けとは決めていなかった、この勝負まだ終わりじゃないわ」


タバサが冷静にルールの穴を指摘する。


「そんなルール決めておくわけないでしょ!!!ここは貴族学院なのよ!!なんで牛乳吐いたり、それを頭からぶっかけられなきゃなんないのよ!!!」


私の言葉に、クラスメートの皆がうんうんと頷くが、安田の手はとまらない。既に15杯目の牛乳にその手を伸ばしていた。


「・・・な、くそっ!・・わかった、飲めばいいんだろう!飲めば!!」


ギーシュも2杯目のコップに手を伸ばす。しかし、その動作には明らかにためらいが見られる。・・まあ、飲みすぎてアレと同じ醜態をさらすことになったら、ガールフレンドどころか、一生嫁がこないかもしれないものね。


そして、安田が20杯目を、ギーシュが2杯目の牛乳を飲み終えたとき、再び




「シャーーーーッ」




牛乳が大地に還っていった・・。




「・・ま・・、まだまだ飲めます・・」




もはや、ドン引きという言葉する生易しい空気のなか、安田は21杯目の牛乳に手をのばす。



「アンタそれ牛乳飲んでないじゃない!牛乳がアンタを経てるだけよ!アンタを経て大地に還ってるだけじゃない!!謝りなさい、お百姓さんとか、乳牛とかに全力であやまりなさい!!」



周りの人間は、脅威の人間ポンプを、終わりのない永久機関をただただ、みつめていることしかできなかった。










・・・そして、結果は、




「ギーシュ4杯、ルイズの使い魔41杯、この勝負、ルイズの使い魔の勝ち」


タバサがやはり抑揚の無い声で判定を下す。他の全員はただ声を失うのみだった。体中のいろんな穴から牛乳を垂れ流している私の使い魔。その顔は哀れというか、惨めというか、とても悲しそうだった。


今、安田の足元にはまっしろな巨大な水溜りができていた。



「あ・・・、あの・・・、たすけてくれて・・?・・ありがとうございます・・、これで、顔でも拭いてください」



安田から5メートル以上離れたところからタオルを投げるメイド、しかしタオルは安田の元まで届かず、ぽちゃんとミルクの水溜りの中に落ちてしまう。


そのタオルを、やはり最高に悲しそうな目で見つめる安田。


メイドは「あ・・、その・・、新しいタオル、もってきますね」といって、どこかに走っていった。


ギーシュは、「あ・・、え・・、えーと、そうだ!彼女に謝れって言ってたよね、それじゃあ!」と言って、メイドが走っていった方へと同じく消えていった。


ギャラリー達は、「そ・・、そういえば、授業始まるね・・」


といいながら、やはりそそくさと帰っていった。





静寂の中、一人水溜りに佇む安田に私は声をかける。




「ねえ、安田」


「・・なんでしょうか、ルイズさん」


「ちゃんと後片付けしときなさいよ」


「・・・はい・・・」


そのまま振り返り去っていく私、後ろからくぐもった嗚咽のようなものが聞こえた気がした。













【フーケ戦】






「あ・・、あなたは、秘書のミス・ロングビル!まさかあなたが!!」


「そう、学園の宝物庫から、『黄色い悪魔』を盗み出したのはこの私、土くれのフーケよ!!」


ゴーレムに気を取られ完全に油断していた私は、フーケに人質にとられてしまった。タバサもキュルケも動けない、安田にはハナから期待していない


「それで、なぜあなたは正体を明かしたの?」


タバサがフーケに尋ねる、・・・確かに、ここまで正体を隠しておいて、今明かすのはおかしい。あるいは、ここにいる全員を殺す気なのか・・。


死が迫っている現実に冷や汗がながれる。いや、それよりも足手まといでしかない自分が歯がゆい、唇をかみ締める私。キュルケもタバサも杖を握り締める。


「・・フンッ、そんなに警戒しなくてもいいじゃないか、わたしが正体を現したのはね・・・、
使い魔さん。あなた、この黄色い悪魔を復活させる方法、しっているんでしょう?」


「な・・!?」


安田のことは最近視界から無意識に外そうとしていたので、まったく気づいていなかったが、どうやらこの「黄色い悪魔」を知っているそぶりを見せていたらしい。


あの安田が「黄色い悪魔の抜け殻」とよばれているこれを復活させることができるというの!?


ただの、グズで、ノロマで、不器用な、役立たずの人間ポンプじゃなかったの!?



「・・・はい、知っています」



私の驚愕をよそに、安田はうなずいた。



「ふふっ、素直な人は好きよ。それじゃあ、復活させてもらおうかしら、黄色い悪魔をね。・・あ、もちろん、私の命令には従うようにするのよ。」



安田はもう一度うなずき、黄色い悪魔の抜け殻へと向かう、そして






ジーーーーッ






確かにチャックをあけるような、音がした。そのあと、






ジーーーーッ






またチャックのしまる音、
それから、





シューーーーッ






という音がし始めたかとおもうと、その体がゆっくりとふくらんでいった。


程なくして、それがまん丸に膨らんだとき、その黄色い悪魔、もとい黄色い物体は、






くるくるくる、ビシッ






三回廻って、ポーズをきめた。


あっけにとられる私たちをよそに、黄色い悪魔は、パタパタと手をうごかす。可愛いらしい仕草ではあるのだが、なぜか猛烈に腹立たしい。





・・・あー、そういえば・・、





私はふと思い当たる事があり、安田(in黄色い物体)に尋ねる、


「・・・それ、ひょっとして、Onちゃん?」


召還の儀式のあと、安田のことをいろいろ訪ねたときに聞いた事があった。なんでも、安田の本職(?)は黄色いマスコットの中身だと。


Onちゃんは声を出さず、ぐむっと頷く(?)ことで正解だと答えた。



「あれが・・・Onちゃん!!」



タバサは目をキラキラ輝かせてOnちゃんを見ている、さすがマスコットキャラ、子供には受けがいい。


キュルケが控えめな足取りでこちらにやってくる。



「・・・ねえルイズ、正直聞きたくないんだけど、あれは・・」


「ええ、ただの着ぐるみよ。」


私たちのやりとりを聞いてがっくりとうな垂れる土くれのフーケ、わたしの拘束はいつの間にかとけていた。





安田・・・もといOnちゃんは、両足をひらきながら、ピロピロピローっと、手を振っている。タバサは先ほどから体育座りでOnちゃんの一挙一動に視線が釘付けだ。



「ねえ、フーケ」


「なんだい、ヴァリエール」


「ヤッちゃって」


「あいよ」


「パンッ」という音とともに、安田in Onちゃんはゴーレムの拳に潰された。



「お・・Onちゃーーーん!!!」



タバサの悲鳴をよそに、私たち3人は、学園への帰路へとつくのであった。


*******************************

終わりです。もう続きません。

Onちゃん in ハルケギニア、稼働時間はまさかの3分。




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