なお収集している情報は主に食品中化学物質に関するもので、食の安全にとって最も問題である微生物関連情報は扱っておりません。
参考食品安全情報ナビbyましゅうさん
2011-08-15
■[ProMED]キノコ中毒 フランス
Mushroom poisoning – France
14-AUG-2011
[1]Connexion France 9 Aug 2011より
フランス南西部の病院から、食用でないキノコを食べたことによる中毒症例が増加しているとの報告があった。
最近タルンエガロンヌでは約30例、ロトでは21例報告されている。最も多いのはbolet de Satan (Satan's mushroom)キノコ中毒で、食用のcepe de Bordeauxと間違えている。
[2] Cerise Club.com 9 Aug 2011より
ここ数ヶ月の気候条件から、キノコが大量に発生している。保健当局によると2011年7月1日以降388例のキノコ中毒が報告されている。
サタンのキノコを食べたときの症状は吐き気、下痢、嘔吐で、脱水予防のために数時間治療を要することがある。森には他にタマゴテングタケのような致死的キノコも存在するため、キノコは専門家によりチェックすることを強く薦める。
キノコを採るときには専門家が簡単に識別可能なように丸ごと採取することを薦める。ポリ袋の使用は薦めない。キノコ採取にはバスケットか箱2つを使い、1つは確信が持てるキノコ、もう一つはよくわからないキノコを入れるのに使う。冷蔵庫に入れたら2日以内に食べること。
■[NZ]食糧不足−問題と解決法
SMC
Food insecurity – the issues and the solutions
August 12th, 2011.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2011/08/12/food-insecurity-the-issues-and-the-solutions/
ニュージーランドの記録的インフレ、ミルクの価格不安、世界的食糧価格の上昇などから栄養専門家は社会の最も影響を受けやすい階層の食糧不足を心配している
オークランド大学Nikki Turner博士
貧困層が問題であることは明確。ニュージーランドでは子どものいる家庭で貧困になりやすいが食糧不足の影響を最も受けるのは子どもである。現在恥ずべきことにニュージーランドの子どもの5人に1人が貧困である。
公衆衛生栄養士で最近発表された「家族のための食糧コスト」報告書の著者Vicki Robinson
ニュージーランドでは食糧不足は重要な問題で2002年全国栄養調査では20-22%が食糧不足を経験していた。太平洋諸島やマオリ部族ではさらに多い。最近の景気後退と失業率増加でさらに増えているだろう。
■[NHS]特別レポート:ニュースの中のアルツハイマー病
Behind the Headlines
Special Report: Alzheimer's in the news
Friday August 12 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/08August/Pages/alzheimers-dementia-press-coverage.aspx
アルツハイマー病は健康関連ニュースにおける主要トピックである。2007年以降Behind the Headlinesチームが数十のアルツハイマー病関連ユースを調査してきた報告書を発表する。
PDF 5Mb
ニュースの中のアルツハイマー病 恐怖と熱狂
Alzheimer's in the news fear and fascination
http://www.nhs.uk/news/2011/08August/Documents/Alzheimer%27s%20in%20the%20press.pdf
NICEによれば認知症のリスク要因として確認されているのは修飾不可能なものとしては高齢、遺伝要因、女性、学習障害。修飾可能なリスク要因である可能性があるものとしては高血圧、過剰飲酒、糖尿病、鬱、頭部傷害。しかし実際に認知症リスクを下げる方法は確立されていない。
しかしニュースにはいろいろな予防法やリスク要因、治療、診断法が取り上げられてきた。
■[NHS]喫煙による心臓へのリスクは女性の方が大きい
Smoking heart risk greater for women
Friday August 12 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/08August/Pages/female-heart-disease-risk-smoking.aspx
BBCニュースが「喫煙は男性より女性の心臓リスクを大きく増加させる」と報道した。30年にわたる240万人を対象にした試験をカバーした研究から、女性の喫煙者のリスクは男性より25%高いことがわかったという。この研究は質の高い系統的レビューである。メカニズムは不明であるが、女性の方がリスクが高い理由についてはさらなる研究に値するだろう。これとは関係なく、男女どちらにとっても喫煙が多くの健康リスクになるのは明白であり、禁煙は男女両方に利益がある。
■[FDA]FDA研究センターの歴史的誕生日
Landmark Birthday for FDA Research Center
August 12, 2011
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm267496.htm
国立毒性学研究センターNational Center for Toxicological Research(NCTR)が40周年。
1971年にニクソン大統領が設立した。
■[ASA]ホメオパシーウェブサイトについての苦情への対処
ASA(広告基準庁)
Dealing with complaints about homeopathy websites
http://www.asa.org.uk/Resource-Centre/Hot-Topics/Homeopathy-complaints.aspx
3月1日以降、ASAにはホメオパシーウェブサイトの主張について大量の苦情が寄せられている。多くはホメオパシーがある種の病気の診断や治療などを宣伝していることについてである。苦情の多さと対処すべき販売業者の数の多さから、通常のASAの対処法とは異なるアプローチが必要となっている。我々は現在より広範な調査プロジェクトの一環として苦情に対処している。我々は数の多さには興味をもたない−同じものは全て1つの苦情として処理する。従って対応を促すためのホメオパシーウェブサイトについてのさらなる苦情は必要ない。
我々はホメオパシーの宣伝業者に対して、特定の健康状態の治療に効果があるという宣伝文句を削除するよう要請している。これはASAがそのような主張を支持するしっかりした科学的根拠は不十分だと考えているからである。ここにホメオパシーウェブサイトのオーナーに発想した文書を提示する。
一つ目は一般論、二つ目はホメオパスからの疑義申し立てへの回答、三つ目は業者の宣伝文句削除確認である。(いずれもリンク有り)
我々は現在これらのウェブサイトが必要な対応をしたかどうか監視中である。その結果によりさらなる対応をするかどうか決める。
我々は報告された苦情については重大に受け止めており、ウェブサイトのオーナーが宣伝内容を変えたことを歓迎する。これは良い徴候である。
さらにホメオパシー宣伝業者には規則を守るためのガイダンスを提供している。
最後に、関係業者の数が多いため、全てのプロセスにはしばらく時間がかかる。
(「○○が治る」というような直接的表現ではなくとも、病名を出してほのめかすのもダメという見解)
■[EPA]EPAは飲料水の過塩素酸規制を作るにあたって意見募集
EPA Seeks Input on the Development of Drinking Water Perchlorate Regulation
08/12/2011
過塩素酸の規制案作成にあたり、中小企業擁護レビュー委員会への参加団体を募集する。過塩素酸の規制が中小企業に与える影響を評価する。
Upcoming SBAR Panel: Drinking Water Regulatory Actions for Perchlorate
■[EPA]EPAはカルバメート廃棄物についての規則を発表
EPA Issues Rule on Carbamate Wastes
08/12/2011
農薬製造時に生じる廃棄物の処理法について。詳細は以下
LDR Rules and Regulations 2011
■[FAO]アフリカの角での具体的な活動に焦点
Focus on concrete action on Horn of Africa
11 August 2011, Rome
http://www.fao.org/news/story/en/item/86555/icode/
2011年8月18日にローマで開催されるハイレベル行動会議ではアフリカの角での悪化する事態への国際対応を高める緊急かつ具体的対策が議題になる。
■[論文]The Lancetより
エディトリアル
- アフリカの角の健康:共同対応が必要
Health in the Horn of Africa: a collective response needed
ソマリアの5つの地域で飢饉が発生していることについて。「飢饉」の定義はその地域の家庭の少なくとも20%が極めて厳しい食糧難;急性栄養不良が30%以上;死亡率が1万人あたり1日2人以上の場合である。原因は複数有り、過去60年間で最悪の干ばつが引き金となった。さらにソマリアの無政府状態と国際社会の対応の遅さがある。進んだ農業と交通網がある現代において飢饉が発生することは許容できない。
Humanitarian response inadequate in Horn of Africa crisis
Pages 555-558
Samuel Loewenberg
- 葉酸と心血管系疾患:万能の処方はない
Folate and cardiovascular disease: one size does not fit all
Eric B Rimm, and Meir J Stampfer
Volume 378, Issue 9791, 13 August 2011-19 August 2011, Pages 544-546
過去数十年に渡ってホモシステイン濃度と心血管系疾患の関連についてたくさんの研究が行われてきたが結果は矛盾するものでこの問題は解決されていない。MTHFRの677CがTに変化している多型がホモシステイン濃度を高くし、これが脳卒中リスクとの関連を示すことから因果関係が想定されていた。しかしながらこれらの研究も矛盾するものであることがHolmesらのメ論文で示された。葉酸サプリメントの臨床試験では、もともと葉酸摂取量の少ない地域でポジティブな結果が得られやすく、葉酸摂取量が高い場合には効果がない。これは対照群が投与量ゼロと見なせる医薬品の臨床試験との大きな違いを改めて描き出す。サプリメントの試験ではベースライン摂取量についての過小評価がある可能性がある。さらに同じトピックについてのメタ解析の結果が異なる問題についても指摘。
集団食事中葉酸とMTHFR遺伝子型、ホモシステイン、脳卒中リスクの関係の影響修飾:遺伝的研究と無作為試験のメタ解析
Effect modification by population dietary folate on the association between MTHFR genotype, homocysteine, and stroke risk: a meta-analysis of genetic studies and randomised trials
The Lancet, Volume 378, Issue 9791, 13 August 2011-19 August 2011, Pages 584-594,
Michael V Holmes
■[論文]EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より
Risk of autism among younger siblings of a child with autism much greater than previously reported
15-Aug-2011
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-08/as-roa081111.php
Pediatricsにオンライン発表された論文によれば、ASDの子どもの弟や妹のASDリスクは19%で、2人のASDの子どもがいるばあいには3人目のASDリスクは32%以上。さらにASDの子どもがいる場合の下の子のASDリスクは、その子が男の子の場合は26%で女の子の場合は9%と男女で3倍の違いがある。
米国とカナダの664人の乳児の参加した研究。
- 汚染レベルが高いと主張された作物の残留農薬への食事暴露
Dietary Exposure to Pesticide Residues from Commodities Alleged to Contain the Highest Contamination Levels
Carl K. Winter and Josh M. Katz
J Toxicol. 2011; 2011: 589674.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3135239/
米国の環境団体EWGが「ダーティダズン」と称して残留農薬レベルが高いので食べるなと主張していた12の作物の残留農薬の消費者暴露量を確率論的手法で推定した研究。推定暴露量がRfDの1%を超過したのは120の暴露推定中たった1つ、0.1%を超過したのはたった7であった。3/4はRfDの0.01%以下であった。従ってEWGが避けるようにと主張している12の作物に検出される農薬の消費者へのリスクは無視できるものであり、これらをオーガニックに変えることによるリスク削減ほとんど無く、EWGの作物ランキング方法(単純に検出されたかどうかしか問題にせず量には注意しない)には科学的信頼性はない。
■その他ニュース
- ミドルクラスの自宅出産ブーム
The Telegraph
Middle class boom in private home births
14 Aug 2011
Anna Walker は出産4時間後で自宅のベッドに横たわってシャンパンを飲んでいた。数は少ないながら最近ミドルクラスの専門職の女性の自宅出産が流行している。昨年は1000人以上が自宅で出産し、10年以内で3倍に増えている。
自分で雇う助産士の費用は1800-4000ポンド(225000円−50万円)で、ロンドンなどでは助産師不足になっている。お金が払える人達に人気の理由はどのようなケアをするかが自分でコントロールできることである。
一方NHSでの出産でも昨年は2000人の母親がドゥーラ(出産に関するアドバイザー。専門資格ではない)に最大500ポンドを支払っている。しかしドゥーラが医療に干渉することに批判的な医師もいる。
ベビーブームにより病院の出産スタッフが不足していることも原因で、5人に1人の妊婦が出産時に一人で放置されたという調査結果が出ている。
自宅出産の安全性については何十年も論争が行われてきた。40年前は1/3以上の女性が自宅で出産していたが現在は3%である。Royal College of Obstetricians and Gynaecologistsの報告書ではリスクの低い出産は医師無しでも医師が近くにいれば可としたが、Birth Trauma Associationは低リスクのように見える出産でも出産時にはたちまち命に関わる問題になることがあると警告している。
2009年にJKローリング(ハリーポッターの作者)の子ども2人の出産に関わった助産師(Deborah Purdue、「ホリスティック」を宣伝していた)が出産時の赤ちゃん死亡で職業上の違法行為で有罪判決を受けている。
(コメントがついてるけど、当然シャンパンに注目が集まる。イギリスの医療制度と緊縮財政はもともと悪評高い)