【ソウル神屋由紀子】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は15日、ソウル市で開催された日本の植民地支配からの解放記念日「光復節」の記念式典で演説し、日韓関係では、過去の歴史について「日本は未来を担うこれからの世代に正しい歴史を教える責任がある」と述べた。
ただ、日本との領有権をめぐる対立で韓国で反発が根強い竹島(韓国名・独島)問題には直接言及せず、未来志向の関係構築の必要性を強調した。
李大統領は「韓国政府はこれまで成熟した韓日関係のため努力してきた。われわれは未来のために不幸だった過去に縛られないようにするつもりだ」と述べる一方で、日本側に「韓国国民は過去の歴史を決して忘れない」とくぎを刺すことも忘れなかった。
竹島問題をめぐっては、竹島に近い鬱陵島(ウルルンド)を視察予定だった自民党議員を1日に入国禁止にするなど韓国で反発が強まっているが、大統領自ら直接、言及すれば両国の対立が深刻になると判断し、あえて踏み込んだ発言を避けたとみられる。
北朝鮮問題では、「過去60年間の南北対決時代を超えて平和と協力の時代を開かないといけない」と強調。核開発問題や昨年から続く軍事挑発などを念頭に「責任ある行動と誠意ある姿勢で、相互信頼を構築することが最も重要だ」と述べ、北朝鮮に具体的な態度で示すよう要求。栄養失調にあえぐ子どもたちや、水害への支援を継続する方針も表明した。
=2011/08/15付 西日本新聞夕刊=