大文字と松

すごく妙な話なので、あまり深入りはしないようにしますが、京都で大文字の火の一部に陸前高田で津波に被災した松の薪を使うという話について、少しだけ。
誰がなぜ発案したかとか、地元の保存会内部でどういう議論だったかとか、そういう経緯についても本当は検証する必要がありますが、それはここでの主題ではないので、問題にしません。

ここで考えたいのは、報道でおもてにでている以下の経緯です
(1)放射能の影響を心配する声があった(数十件の電話などがあったようです)ので、いったんは中止にした。松は陸前高田で燃やされた
(2)中止への抗議が1000件近くあり、別の松を陸前高田から取り寄せて、燃やすこととした
(3)松からセシウムが検出され、再度中止に

新聞を見る限り、松は津波で倒れたものらしいので、その後のフォールアウトをある程度かぶっているでしょうが、セシウムを根から吸い上げている危険は低いのではないかと思います。それでなくても、木の場合は枝や葉などの付着が主でしょう。
だから、切って表面を捨てれば、まず放射性物質の心配は無用でしょう。実際、最初の松は検査で放射性物質が検出されなかったようです。

だから、少なくとも最初の松を燃やすことにはなんの問題もなかったはずです。ところが、不安の声が上がったために中止としてしまい、不安の声よりも桁違いに多い抗議を受けてしまったわけです。この場合は明らかに「その不安には根拠がない」と言えたはずですが、それをきちんと説明をする代わりに「中止」にしてしまったために、却って問題を大きくしました。

もちろん、不安を感じるのは個人の勝手です。しかし、根拠のない不安を際限なく承認してしまっていいのかという問題があります。少なくとも、公的な立場からそうするわけにはいきません。なぜなら、これは結局は被災地差別だからです。本当にセシウムが検出されていたのならともかく、そうでないのですから、よく説明をして予定通りに行う以外の選択肢はなかったのではないかと思います。
結果的に、被災地のものは問題がなくても持ち込ませないという意思表示になってしまったのは、不幸でした。それは被災地差別にほかならないという気がします。

で、今が(3)の段階で、ニュースによれば「松の表皮」からセシウムが検出されたそうです。本当に表皮なら、検出されても不思議ではないですが、そうだとすると、どうして表皮を剥いで使わなかったのか、理解に苦しみます。何やってるんでしょう。さらに無用などたばたを重ねているように思えます。謎です。

少し難しいのは、大文字の火は「公的」なのかという点で、そこで地元とそれ以外の意識に差があったことは想像できます。
送り火には地元行事という側面と日本を代表する一大イベントで京都の重要な観光資源という側面があります。地元行事なのだから地元が自由に決めるというのは建前としてあり、それに文句を言う筋合いではないのかもしれません。最初に中止にいたるまでの経緯を考えるというのは、要するに地元でどのような話し合いが行われたかを考えることです。いっぽうで、それが大問題に発展したのは、やはり地元の行事という枠を超えた存在だからで、そのふたつの側面が必ずしも両立しない場面はあるということです。

誰がどのように提案して、どうして受け入れることになったのか。断れるタイミングはどこにあったのか、などを地元と京都市は検証したほうがいいかなと思います。
もうひとつは、表皮を剥いでも本当にセシウムが検出されるかどうかくらいは調べるべきじゃないかな。出ないでしょうけど。

いずれにしても、被災者と関係のないところでこういうどたばたを起こすというのは、不幸というか感心しないというか、悲しい話です。

もしかすると、ニュースに出ない真相があるのかもしれませんが
(経緯について、いろいろな話があるのは知っていますし、それは念頭において書いています)

[追記]
一部に、最初に燃やそうとしていた木からストロンチウムが検出されていたという説が流れているようですが、放射性じゃないストロンチウムが検出されてもなんら問題はないので。

[追記]
表皮以外の部分も検査して、セシウムは出ていないそうです。まあ、当然です。
じゃあ、なぜ中止にしたのか、ますますわかりません

― posted by きくち at 06:32 pm commentComment [33] pingTrackBack [0]

この記事に対するコメント[33件]

1. たっつん — August 12, 2011 @20:59:58

確かに「表皮くらいはげばいいのに」ですが、二回目の判断は仕方がない所もあると思います。放射能(あえてこう書きます)に対するアレルギーが尋常じゃないですから。
ただ心配なのは最初に反対した人が「それ見たことか!」と自分の差別を正当化する可能性が高いことです。
やはり、一回目の松をすぐに燃やさず、取って置き、ギリギリまで交渉すべきだったのではないかな、と思います。

2. yamaguchi — August 12, 2011 @21:08:54

表皮以外からは検出されなかったようです。
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011081200668Link

護摩木は表皮を剥いで使用するそうですが、今回は急な再送のために表皮が付いたままの発送だったようです。

だから、剥いだ表皮の処分だけが問題になります。
# 使用を中止しても同じ事ですが・・・送り返すなんて事できないよね。

此処に経緯が書かれています(内容が正確か否か判りませんが参考まで)。
http://sakunary.blog134.fc2.com/blog-entry-75.htmlLink

Owner Comment きくち  August 12, 2011 @21:17:55

ひでえなあ
表皮から出るのは想定の範囲内ですからね
実際に焼く部分からは、まあ出ないだろうと思ったけど、実際出てないのなら、まったく問題ない

4. Katase Website — August 12, 2011 @21:05:06

中止への抗議により、大文字焼きの火の一部に別の松を陸前高田から再度取り寄せるて燃やすのに、表皮の付いた薪を使うのではなく、元々燃やす予定だった表皮を剥いである状態の白木を使用してやり直せば放射性セシウムの問題は無かったろうにと思います。

なぜ、わざわざ今度は薪を使おうとしたのでしょう?
費用の問題なのでしょうか。
でも、また中止となってしまい、もやもやが残されてしまいました。
やり方をもっと考えたら良かったのにと思うと、とても残念です。

Up5. lucifer406 Website — August 12, 2011 @20:51:23

kikumaco様
いつもツイッターでのコメントを拝見しています。

今回の件、私が不思議なのは、
逆に、なぜ送ってきた側(福井のNPO法人)が表皮を剥いでなかったか、ということです。薪として燃やすのだから、そもそもそういう加工をするはずですよね。もともと、このNPO法人は、薪を販売してそれを被災地の支援に充てるという活動をしてきたはず。
また、送る前に、放射性物質の検査をする、というのも、必要だったのではないでしょうか?(事前に検査されていれば、京都市の検査はあったでしょうか?そこまで信用しないことはないと思います)

それにしても、優柔不断な対応が招いた結果なのですが、大文字保存会や五山の各保存会は、青天の霹靂と捉えていると思います。対応のまずさは置いて、気の毒にも思います。

以下の、昨日の、再度受け入れを決めたときの
大文字保存会の松原公太郎理事長のコメントを読むと、
「巻き込まれてしまった」、「対応はまずかったけど、元の原因までこちらに押しつけないで」、という悲痛な思いが、私には感じられました。

(記事は分かれていますが、おそらく同じ時のコメント)

「陸前高田市の皆さんや京都市民など、多くの皆様に迷惑と心配をかけ、心よりおわびします」
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20110811000137Link
「(陸前高田をはじめ被災地を)われわれの都合で振り回したことを心よりおわび申し上げます」
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20110811000133Link

以上です。

6. おふとん — August 12, 2011 @20:53:23

最初に根拠なく訴えられた不安を「承認」してしまった地元の保存会さんの不勉強と押し切られ弱さ(?)が不幸の始まりだったように思う一人です。
(大分の誰やらさんはまあ今は置いといて)

陸前高田の人・・・「まあそれでもね、地元で燃やしてもらえたんだし」
京都市民・府民・・・「私ら知らないうちに勝手に決まったのにウチらが悪く言われて」

どちらの顔にも「わめいたところでいったん広がった誤解を解く努力はむなしい」という表情をしています。

まったくやりきれない、後味の悪い悲しい出来事です。

NHKさんとかで、そのうち検証番組やらないかな。

7. ki — August 12, 2011 @21:24:31

結局、京都の人の判断で、陸前高田の人を振り回した結果は残るのが残念です、特にその判断の根拠が大雑把に言えばアレルギーと言う非論理的なものであるのも、、、
何のための送り火かという原点に戻れば、こんなゴタゴタもなかったのかもしれませんが

8. yamaguchi — August 12, 2011 @21:47:34

これって、護摩木ですよね?

送り火の本体じゃなくって、本体への着火材だから微々たる量です。
多分、あの大きな火文字そのものと思っている人が多いんじゃ無いでしょうか。

だから大騒ぎになってしまう。。。

9. オキナタケ — August 12, 2011 @21:55:48

相変わらず何がどれだけ危険なのか危険でないのかの説明がないまま、全員の心に嫌な思いを残して終結とは、もう少し何とかならないものでしょうか。

あ、それから大文字焼きとか言うたらあきまへんえ、ちゃんと五山の送り火と言うとくれやす。

UpOwner Comment きくち  August 12, 2011 @22:22:49

僕の母の実家は京都なので、子供の頃からよく京都に行ってたんですが、昔は「大文字焼き」って呼んでたんですよお。
「五山の送り火」なんていう名前は最近まで聞いたことがなかったんだけどなあ

11. 勝谷氏メルマガ読者 — August 12, 2011 @22:31:17

勝谷誠彦氏のメルマガ2011年8月9日号。によると、
京都の薪の利権問題のようです。

>>私の想像をひとつ書いておく。
>>「薪」こそ「利権」なんじゃないですかね。
>>ひとつひとつの「薪」の売り上げがどこに入っているのかぜひ
>>大マスコミは書いていただきたい。
>>普段ならばそんな「闇」はまあ見過ごしていい。
>>しかしこの国難に殉じた方々の魂がこもったものを
>>薄汚いそうした中に巻き込むことを私は許さない。

陸前高田にとっては迷惑。

Owner Comment きくち  August 12, 2011 @23:02:19

勝谷氏の想像じゃあ、どうしようもないっすよ
どうせ何も調べずに言ってるだけ

13. ナスの浅漬け — August 12, 2011 @22:27:42

以下は藤沢数希さんのページです。ここに書かれた個々の諸元値が正しいかを自ら検証したわけではないですが、論理的には納得させられるものがある気がしました。参考まで。

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51849049.htmlLink

14. ぱうぱうぱう — August 12, 2011 @22:38:55

あくまで個人的意見ですがこのニュースはじめから違和感持ってました。
なぜ京都で燃やしたがるのか?
そもそも宮城の人たちが京都の大文字焼きに憧れなんかがあったのか・・。
よそ者の思いつきで始まった今回の騒動ですが、初めから宮城で燃やせば
何の遺恨や騒動も起きなかったと思う。
京都の人の心意気がどうとか、被災者の気持ちを考えろとか外野が
うるさいですけど、そもそも「京都でそんなに燃やしたい気持ち」が
あるのか・・・?????と思います。
地元でみんなの前で燃やした方が(つまり今回の顛末のように)残った
人たちの気持ちも癒されると思う。
変によそ者が「京都で燃やしたらいいんじゃね?」みたいな
適当な思いつきで翻弄される地元の方々が不憫です。
放射能に過敏と言われる京都の人もとばっちりですね。
普通の感覚であぶねーもんは燃やすんじゃねえ!となるでしょう。
あぶねーかあぶなくねーか検査する機関が信用できないんだから
普通「あぶねーかもしれん」と見ておくのが妥当でしょうね。
京都に輸送してまで燃やす慣習もなかったし、必要性も
妥当性も見出せない。地元の人たちの手で燃やす以外ないと思いますね。
激甚災害と近親者の不幸で心が折れている人たちに余計なことを
吹き込んで盛り上げておいて頓挫させるなんて最低。
クライアントその気にさせておいて最後行政のNG出ました、みたいなインチキ広告代理店みたいで。

UpOwner Comment きくち  August 12, 2011 @23:04:04

まあ、なぜそうすることにしたのかという経緯は別途検証しておいたほうがいいでしょうね

とにかく「妙な話」ですよ

16. おつさま — August 13, 2011 @00:34:46

地元民は地元の伝統に詳しいのか?
っていうありがちな疑問はスルー?

京都人って京都観光なんてしないな
みたいな話のような感じ。

17. bamboo Website — August 13, 2011 @01:37:38

>なぜ京都で燃やしたがるのか?
>そもそも宮城の人たちが京都の大文字焼きに憧れなんかがあったのか・・。

陸前高田市の方から持ちかけたわけではありませんね。
部外者が発案し、保存会側が了承したという経緯を無視するのはいかがなものでしょう。

また、宮城県は全く関係ありません。
陸前高田市は岩手県です。

18. なべ — August 13, 2011 @07:09:31

表皮にセシウム134と137を合わせて1100Bq/kg程度であれば、表皮を剥ぐ必要すらないと思うんですよね。それを喰えと言っているわけではありませんし、木全体では二桁程度小さな値になるでしょう。まぁ、剥いだ方が文句は言いにくいでしょうが、「汚染された表皮がついていた木は剥いでも怖い」という人もいるでしょうね。

あとは怖がりな人間を尊重するために津波被災地の人間を振り回すべきなのかどうかで、「前者を尊重する方が無難」と考えるのは酷い話だと私は感じます。実際クレームが沢山入って無難じゃなかったわけです。

そもそも「陸前高田の木は危険」と感じる人間がいる事を予測してそんな企画をしなければ被災地の人間を振り回すことも無かったでしょう(振り回さなければ避けてもいいのかという問題はあります)が、岩手県の木が問題になるほど汚染されているとは考えなかった企画者の感覚こそ正常だとも思います。

ちなみに、福島第一原発と陸前高田の距離は、京都と倉敷、あるいは京都と浜松や浜岡原発と大体同じ程度です。事故時の風向風速にもよりますが、「浜岡原発で事故が起きたら京都の木は怖くて使えない」というのと大体同じ話。

今回の件は放射性物質は少しでも怖いという感覚と、広大な東北地方を一緒くたに捉えてしまう大ざっぱな地理感の合わせ技ではないかと思います。

19. NES — August 13, 2011 @08:03:36

ガレキの受け入れ問題にも関わってきていますが、「検出された」なら
「1gたりとも我が町に持ち込んでくれるな」という反応への対処は、
行政としても大変だろうなと思います。

「あんたもわたしも放射能、ちょっとぐらい気にすんな」
と言うだけで済むならどれだけ楽か。

Up20. Juno Website — August 13, 2011 @08:56:40

 毎日新聞の報道によると「市が専門家に問い合わせたところ、「国の基準がない以上、安全という見解は出せない」との回答だったという」とのことです。


http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110813ddm001040109000c.htmlLink

 どんな専門家に問いあわせたのかが気になるところです。

Owner Comment きくち  August 13, 2011 @09:54:18

その専門家の見識を問いたいところですが、本人発表ではないので、誤解されているだけかもしれません。
どんな木にもなんらかの放射性物質は含まれるので(K40とC14は確実)、それを言い出したら木は焼けないことになりかねません。

もちろん、問題は、表皮以外からは検出されていないのになぜだめなのか、ですね

22. なべ — August 13, 2011 @13:22:55

もし表皮を剥いで使ったら、表皮の処分をめぐってまたひと悶着発生しただろうな、などと想像すると気が滅入ってきます。剥いでから京都に送っていればそこはスルーだったんでしょうけれどね。

ところで、薪の表皮はどこで汚染されたんでしょうかね?陸前高田か?福井か?輸送中か?

23. なべ — August 13, 2011 @14:20:48

薪の樹皮へのフォールアウトの付着量が妥当な量かどうかをちょっと考えてみました。

松の樹皮の厚みは樹齢によるし比重は乾燥度によりますが、ざっくり厚さ1cmで比重0.5とすると1kgあたり0.2平方メートルとなります。(樹皮の凹凸で有効表面積が広い事は考慮していない)

一方、今回樹皮から検出されたのは樹皮1kgあたりCs134が542Bq, CS137が588Bqです。

これまたざっくり言うと、樹皮1平方メートル当りCs134が2700Bq, Cs137が3000Bq程度という事になります。

一方、以下のサイトを見ると、盛岡で今年の3月にCs134とCs137がそれぞれ1平方メートル当たり1100Bqずつ、4月にはCs134が330Bq, Cs137が320Bq降っています。

  http://www.scribd.com/doc/61537940/Reading-of-environmental-radioactivity-level-by-prefecture-FalloutLink

陸前高田のデータがありませんし、降下したセシウムがどの程度樹皮にくっつくものかも良くわかりませんが、陸前高田が盛岡よりも南にある事を考えれば、ありうる量かなという感じではあります。東京では盛岡の8倍弱ほど降っていますね。

24. QEnergyTeleport — August 15, 2011 @06:50:44

このイベント主催市民団体の1つの福井の代表の方から情報を頂きました。経緯は http://blogs.yahoo.co.jp/mmh330hmmLink にある程度書いたとのことです。2回目に京都市へ送った問題の薪は500本であり、一本の体積は、0.003立米 合計1.5立米。重さにして1本1.8圈合計で900堋度。表皮の部分は、1本当たり0.000015立米、0.0075立米重さにして1本0.009圈9膩廚4.5圓世修Δ任后従って、もし外皮の付いたままの薪を測定したならば、今回発表された1130Bq/kgの200分の1程度になる計算です。また薪が京都に与える影響の評価は、現時点で彼らは下記のブログを参考にしているとのことでした。
http://d.hatena.ne.jp/akatibarati/20110812/1313160548Link
彼らが現地で測っていた空間線量は低く問題ないと思っていたそうです。またセシウムの検出もありましたが人体には全くと言っていいほど少なく
問題ではないと認識していたとのこと。また今回の測定では、表皮を外した部分からは当然のごとく検出されなかったということを直接聞いたそうです。「臭いものにはふたをしろ」という事態を避け、「検出=危険」という判断をされないように、念には念を入れて現在再検査中とのことでした。

Up25. tadys — August 15, 2011 @07:49:24

陸前高田の松は成田山新勝寺でたかれる事になったようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110814/k10014902051000.htmlLink

この画像で気になったのは、京都でセシウムが検出された松との違いです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110811-OYT1T00947.htmLink
こちらの方はマキに加工されてからしばらく保管されていたように見えます。

マキに加工したのはいつで何処で行ったのでしょうか。
この状態でセシウムが付着したという事は無いのでしょうか。

26. QEnergyTeleport — August 15, 2011 @08:08:30

今回京都に送られた松からは外皮が4.5kg出るということで、測定結果の1130Bq/kgから全体で5100Bq程度。成人が体内に持っているK40の放射線レベルと同じ。だから薪全部を焼いても、京都の方の御遺体1体を焼くのと同じ程度です。今は焼却場の煙突にフィルターがついており、煙からの拡散は防ぐはずですが焼却灰にはきっちり残っているはずです。1日何体も火葬されるのだから、陸前高田の松の放射能を心配する市民団体は、火葬場からの焼却灰が京都のどこに埋められているのかを気にされたらどうでしょう。そんなレベルの話です、今回の騒動は。

27. 某大学放射線施設職員 — August 15, 2011 @08:49:05

しばらく仕事でこちらを見れてなかったのですが、この件が気になり久しぶりにお邪魔させていただきました。

陸前高田で空間線量を測ってい問題なかったとありますし、測定した機器は、おそらくハンディタイプのNaIシンチレーションサーベイメータでしょうけど、この量を測るのは無理がありますね・・・
京都で出たということについてもおそらくはGe半導体検出器を使ったんだろうなという検出量ですね。
汚染という意味合いで測定を行うのであれば、広口のGMサーベイメータをもっと使うべきですが、台数が圧倒的に足りてません・・・

今後はこういったことは増えてくると思います。
現状で、協力している我々に入ってくる情報でも、警戒区域内からの持ち出し物品に関して、このレベルなら問題は山のようにあるといった印象です。
被災した方々の財産ですし、簡単には諦められないものも多い、そういった気持ちの問題もありますので非常に難しい問題です。

今後は警戒区域内からの車の持ち出しもありますけど、その際にどのレベルが問題になってくるのか、そして我々のような放射線関連の仕事をしているものも、一般の人にどのような説明をしていけばいいのか、参考にしていかなければならない問題です。

28. QEnergyTeleport — August 15, 2011 @11:07:18

五山の送り火では決して外皮のついたままの薪を使用しないとのことでした。京都の薪もそうらしいです。製材して白木にしてから使用します。つまり外皮を燃やす予定など最初からなかったのです。京都の受け入れ側は、前回と異なる外皮の付いた形の薪が送られてくることを想定していなかったとのこと。外皮付きの薪が到着した映像がテレビに流れ、それを視た市民からその外皮を測れと市役所に電話が入ったという話。それで外皮を分離して測定し、その結果を発表。皮を外した薪本体がNDでも、中止としたのはやはり市役所の判断で、今回保存会はタッチしていない。放射能を漠然と怖がる一般市民の方々からも再度クレームがあったため、それも参考に判断したらしい。さらに市役所は地元の大学の某実験所のスタッフにも相談したが、NDでも測定限界の10Bq/kg以下であるという意味だけであり、本当に皮を外した薪を燃やしても安全であるとは言い切れないというアドバイスを受けた。行政は放射能を気にしない派にも、気にする派にも対応せざるを得ないため、科学的根拠がなくても嫌がる市民のために市役所は今回は中止を選択したということでした。

29. しがないSE — August 15, 2011 @14:40:38

個人的推測ですが、当初の「放射能怖いから嫌」というのは口実のつもりだったんじゃないでしょうかねぇ。
微量汚染のセシウム牛へのメディア含めたヒステリックな反応などから見て、世間一般に理解してもらえる、むしろその方が安全だと踏んだところが、猛反発されてしまった。
なので、一転焚くことを決めたものの、今度は表皮から放射性物質検出となってまた中止、と、なんだかドタバタしてしまった、という程度の話ではないかと思うのですが。

本音のところは、京都とも岩手とも関係ない、大分と福井の市民活動家(?)が宗教行事の意味もわきまえず、勝手に企画して押し売りまがいにねじ込んでくるのを、体よくお断りしたかっただけではないかと思います。
ただ「放射能怖い」が最初の理由だったのが筋が悪いというか、よろしくなかったですね。

しかし、企画側は護摩木と薪の区別もついていなければ、明らかに送り火の何たるかを全く理解しておらず、幼稚園の七夕で笹に短冊をつるす感覚で「何か書いてある木を京都で燃やす」ぐらいの杜撰な話で、被災地と保存会、両者を愚弄した行為だと思います。

今回の問題は、本来は放射性物質の汚染問題ではなく、単に企画側の杜撰さの問題です。それをマスコミが「放射能問題」として食いついてきて京都バッシングにうつつを抜かしているだけで、風評被害がどうたらとワイドショーで取り上げるくらいなら、きちんと企画側の失態を伝えるべきだと思います。

身勝手な企画に振り回されて、頭丸めて陸前高田に迎え火にまで行った保存会の皆さんがお気の毒です。

PS: きくちさん
わたしも学生時代、「大文字焼き」といったら、「それは土産物の饅頭の名前や。あれは送り火ていうんやで。」と京女にきつく叱られました。
かつては「大文字焼き」と呼んでいたこともあるようですが、最近の京都の人はその呼び名を京都タワーのように嫌う傾向があるようです。

Up30. QEnergyTeleport — August 15, 2011 @15:03:35

最初外部の市民団体が京都側に持ちかけたのは、市内に5つある保存会のうちの1つだけ。市役所も関係していなかったということでした。残り4つの保存会は問題がメディアに出てから、陸前高田の松の件を知ったということらしいです。しかし再び松を焼くことが決まったとき、市役所が表に出てきます。5つの保存会の間を結ぶ事務局を市役所がしており、事態が大きくなったために、市役所そのものが出てくる決意をしたそうです。届いた薪に外皮が付いていたため、市役所の担当者が全ての薪の外皮を剥がして送り火用に整える準備をしながら測定に依頼したとのこと。(本来五山の送り火の薪は1年をかけて準備する特別なもの)測定の依頼先は京都市内の某製作所の子会社でした。テレビで薪に皮が付いていることを知った市民からの電話により、外皮だけと、外皮を外した薪本体の2つの測定をここに依頼し、公表されている結果が出たとのこと。そして中止決定は保存会を入れずに市役所単独で行ったという内容でした。

31. さんちゃん — August 15, 2011 @17:42:03

最初に放射能の影響を心配する声があって中止したのが問題だし、2回目に松の表皮にセシウムが検出されて中止したのも問題(健康被害が出るのなら違いますが)。
誰の企画かなんて関係ないし、その企画者に知識不足があたっとしてもそれは別の問題。
風評被害や差別の言い訳にはなりません。

32. disraff — August 15, 2011 @18:13:49

>微量汚染のセシウム牛へのメディア含めたヒステリックな反応などから見て、世間一般に理解してもらえる、むしろその方が安全だと踏んだところが、猛反発されてしまった。

仮に「体のよい言い訳」のつもりでそんなことを考えて実行したのだとすれば非常識・非良識きわまりなく、なおのこと断じて許されざる行為だと思います。

33. かぱ — August 15, 2011 @18:28:52

放射能は出ておらず全く安全なのですが、不安視する声が大きいため止めます

とアナウンスした場合に、それは風評「被害」を齎す行為なのだろうか?

不安視する声が実は小さなものだったという場合は、もちろん間違った(または誇張された)アナウンスであり、この点が風評「被害」になる、ということでしょうか?

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