【宜野湾】沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落から満7年となった13日、墜落現場モニュメント前で開かれた大学主催の集会では、同大生や若者の姿はほとんど見られず、事故が語り継がれていない現実を浮き彫りにした。一方、会場を教室に移して行われた演芸集団FECによる「お笑い米軍基地」の特別公演には、500人超が参加。企画した照屋寛之副学長は「関心の入り口になってほしい」と望みを託した。
同日午後2時からの集会参加者は、大学発表で200人。実際にはスタッフの職員や報道関係者が大勢を占め、会場のモニュメント前に集まった一般参加者は数十人だった。
友人のあいさつを聞くため、集会に初めて参加した同大4年の広田南さん(21)は「学内でヘリ墜落が話題になることはほとんどない。普天間返還について、私たち若者の意識は相当低いと思う」と胸中を語った。
あいさつで7年前の様子を伝えた同大元職員の山根光正さん(67)は「在学生は、墜落と直接関わっていないが、今も変わらず普天間はある。参加が少なかったことは残念」と話した。
大学側の「伝える努力」を疑問視する声も出た。7年前、米兵に邪魔されながら墜落現場を撮影した卒業生の仲宗根正悟さん(26)=高校教諭=は「大学内で確実に風化が進んでいる。一番の原因は、あの黒い壁を撤去したことだ」と説明。「このままではまずい。当事者として、僕は高校で墜落を伝えていく。大学も、もう少し努力してほしい」と注文を付けた。
埼玉県出身で同大4年の霜越綾香さん(22)は、ヘリ墜落を知らないまま入学した。米軍機が飛び交う現実や講義などで学ぶうちに意識が変わったという。それでも、会場から離れて見守った。「報道陣が多くてプログラムも形式的。一般の人がもっと参加しやすい内容にしてほしい」と要望した。
一方、FECの小波津正光さんは「『お笑い米軍基地』は、ヘリ墜落に衝撃を受けて始めた。舞台が続く限り、僕らの中で墜落は風化しない」と強調。「公演を見て、基地問題に興味を持ってくれたら、うれしい」と、満員の観客に呼び掛けた。(磯野直、新垣綾子)