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  2008/9/10  No.449   週刊メールジャーナル  読者数11645(前回)
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●アーバンを潰したBNPパリバの「偽装調達」
(会員制経済情報誌『現代産業情報』9月1日号より転載)

今年最大となる2558億円の負債を抱えて、アーバンコーポレイション(東
証1部)が倒産した。

その最大の戦犯は、カネの蛇口をいきなり閉め、貸し剥がしに走った、みずほ
銀行なのだが、それは置くとしよう。

また、金融機関が横並びで新興不動産への融資をストップ、空前の不動産不況
に追い込んでいる状況を見ながら、手をこまぬいている金融庁の責任も別の機
会に譲りたい。

追求したいのは、フランスの金融大手・BNPパリバが行なった、「背信の資
金調達」についてである。

都内の一等地を中心に優良資産を持ち、昨年、一昨年と600億円内外の経常
利益をあげ、右肩上がりの業績を誇ったアーバンだが、融資をストップ、新興
不動産潰しに走ったみずほ銀行によって、今年4月以降、「資金繰り倒産」の
危機を迎えていた。

間接金融がダメなら、直接金融に頼るしかない。そこに名乗りを上げたのが、
BNPパリバだった。

アーバンは、6月26日、300億円の転換社債をBNPパリバの引き受けで
発行すると発表した。

2年満期の社債で利率は2.5%、行使価格は発行決議時の344円で固定され
ていた。

証券市場には、驚きの声が広がった。

アーバンの資産内容がいいことは知られていたが、同社にはもう一つ「反社会
的勢力」との関係があり、それが問題とされていた。

広島出身の房園博行社長の広島人脈と、東京に進出してから顧問(3年前まで)
として迎え入れていた橘田幸俊氏の先の人脈に、「反社」があるというのであ
る。

「反社」と認定された企業は厳しい。

アーバンの前に倒産したスルガコーポレーションがいい例だが、使っている地
上げ屋が「反社」であるとして、暴力団の使用者責任のように、スルガまで
「反社」とみなされた。

そうなると、メインバンクのみずほ銀行を筆頭に、金融機関は糧道を断ち、ス
ルガは万事休した。

アーバンもその流れで「反社」と認定されている疑いは濃厚で、「資金繰り倒
産」が現実味を帯びていた。

つまり業績や資産内容ではなく、アーバンは金融界の「反社と認定した新興不
動産には融資しないよう」という“総意”に基づき、潰される可能性があった。

倒産を含むそんなリスクを、「比較的固い銀行」と見られていたBNPパリバ
が取るのはなぜなのか――アーバンにとって有利な調達となっている6月26
日の発表を、金融界は等しくそう受け止め、7月11日に300億円の払い込
みがあるまで、「このスキームは信用できない」(米国系外資の幹部)という
ムードがあった。

ところが、転換社債の発表以降も株価は下落を続け、払い込み前日の7月10
日には、転換価格より100円近く安い248円となったのに、翌日、BNP
パリバは300億円を払い込んだ。

投資家の間に安堵感が広がり、「BNPパリバは、いずれ価格を344円以上
に上げてくるだろうし、それだけの材料を掴んでいるはず」いう思惑で、買い
を入れた投資家は少なくなかった。

ところが、この間、BNPパリバが、国内外の投資家からアーバン株を借りて、
猛烈な空売りをしていたことが、7月18日以降に開示された大量保有報告書
で明らかになった。

「売り」は5月中旬から始まって、BNPパリバ東京支店やBNPパリバアー
ビトラージなどが売り立て、7月11日に権利行使株を手に入れると、さらに
猛烈な「売り」をかけ、アーバン株を暴落させている。

この裏が明らかになるのは、8月13日、アーバンが民事再生法を申請、倒産
した日である。

アーバンは同時に、BNPパリバとの間に「スワップ契約」結び、払い込まれ
た300億円は、同日、BNPパリバにいったん戻され、その後、BNPパリ
バが転換株を売却して得た資金の一部を、株価に応じてアーバンに支払うスキ
ームになっていた。

「エクイティコメットライン」と呼ばれる資金調達法の一種だが、許されない
のは、「売り」を伴う下方修正条項つきのスキームであることを、両社が破た
んの日までオープンにしなかったことである。

これなら、BNPパリバは株を自在に操って利益を確保できるわけで、事実、
アーバンが得たのは90億円に過ぎなかった。

これほど投資家を愚弄した資金調達はない。

アーバンに300億円が入るとしたIR(投資家向け広報)、通常の転換社債
であるかのごときIRは、すべてウソだった。

それを信じて「買い」に入った投資家は、BNPパリバの「売り」の前に沈ん
でしまい、最後には倒産で株券を紙屑にされてしまった。

このスキームを考案、アーバンに勧めたのは、BNPパリバのEとJという二
人の金融マンである。

両名とも外資を渡り歩く「金融渡世人」で、モラルなど持ち合わせてはいない
のだろうが、堂々と「偽装」を行なったのはなぜなのか。

明らかな開示義務違反であり、民事刑事の追及が始まることは必至である。

金融資本主義の限界は、サブプライムショックを機に、あらゆるところで噴出
しているが、今回の問題は、金融テクニックやマネーゲームのレベルではない。

証券市場を欺く行為であり、多くの投資家が被害を受けた。

捜査・監督当局は徹底解明、この種のハイエナ商法を根絶すべきだろう。

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