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潮、婦人公論、文藝春秋、ダイヤモンド、新潮、ウェッジ…原発広告漬けのダメ雑誌ランキング
03:20 08/10 2011
 
画像1:ワースト1位「潮」の原発広告。卑劣にも原発立地周辺の名産を原発広告に利用している

 

 

 


 発行部数10万部以上の総合誌、ビジネス誌を中心に20誌の年間「原発全面広告」ページ数を集計してランキングしたところ、ワースト1位は『潮』で年24ページもあった。2位『婦人公論』、3位『文藝春秋』、4位『週刊ダイヤモンド』『週刊新潮』『WEDGE』…と続く。原発広告を掲載した雑誌は、誌面での原発問題の監視や追及を軒並み放棄しており、原発事故という悲劇を招く一因となった。“毒まんじゅう”を喰らって沈黙を続けた恥ずかしい雑誌ジャーナリズムと、それを支えている愚かな購読者たちの責任は大きい。(調査対象の原発広告全134ページ分は記事末尾よりPDFダウンロード可)

【Digest】
◇「原発広告」雑誌別ランキング
◇名産をダシに使う「潮」の卑劣な手口
◇「脳と原発は切っても切れない」婦人公論
◇原発漬け国家を礼讃「文藝春秋」
◇「外部電源を失っても万全」ダイヤモンド

 原発のPRに加担してきたプレイヤーたちを徹底分析した4月の原発テレビCM著名人5月の雑誌タレント文化人6月の新聞別新聞文化人。今回は第5弾として、週刊誌や月刊誌といった「雑誌」別の原発広告本数を調べた。

 調査方法は、まず「社団法人 日本雑誌協会」が公表している「加盟383誌の最新の『印刷部数』(2010年10月~同年12月)」のうち、10万部以上の総合誌、ビジネス誌、ライフデザイン生き方誌をピックアップ。(それ以外のファッション、コミック、趣味専門誌などは報道性が少ないと判断して対象から除いた)

 次に、5月同様、「原発広告」が載っているかどうかを、東京都立中央図書館へ行って調べた。 雑誌名は部数の多い順に、週刊文春、週刊新潮、文藝春秋、週刊現代、週刊ポスト、女性セブン、女性自身、潮、FRIDAY、週刊女性、PRESIDENT、週刊朝日、婦人公論、週刊ダイヤモンド、AERA(アエラ)、WEDGE(ウェッジ)、SPA!、週刊東洋経済、BIG tomorrow、サンデー毎日の20誌。(同図書館に所蔵していない週刊大衆、週刊プレイボーイ、FLASH、週刊アサヒ芸能、FRIDAYダイナマイトは、調査対象から除いた)

 調査対象の広告は、電力会社など原発業界による原発PRの全面広告とし、雑誌の発行期間は2010年4月1日付~2011年3月31日付までの1年間とした。

 その結果、原発全面広告の多い順に集計したものが、以下の「原発広告『雑誌別』ワーストランキング」の表である。

順位 雑誌名 原発広告数(ページ数)
1位 24
2位 婦人公論 20
3位 文藝春秋 12
4位 WEDGE(ウェッジ) 11
4位 週刊新潮 11
4位 週刊ダイヤモンド 11
7位 週刊東洋経済 9
7位 プレジデント 9
9位 週刊現代 8
10位 週刊朝日 6
10位 週刊ポスト 6
12位 週刊文春 4
13位 AERA(アエラ) 2
14位 サンデー毎日 1
15位 女性セブン 0
15位 女性自身 0
15位 週刊女性 0
15位 SPA! 0
15位 BIG tomorrow 0
15位 FRIDAY 0

 以下、順に見ていこう。(原発広告全134ページは記事末尾PDFダウンロード可)

◇名産をダシに使う「潮」の卑劣な手口
 ワースト1位は「潮」(うしお)。創価学会系の雑誌である同誌は、毎月必ず見開きカラーページで原発PR広告を掲載。広告主は電力10社による業界団体「電気事業連合会」(以下、電事連)である。

 この広告はエッセイ風なのが特徴で、例えば、福島第一・第二原発の広告は、1年間で2回も掲載している。一つは画像トップの、「明日へ手渡すもの 三〇〇年を駆け抜ける土と人の、エネルギー」と題する広告。一見してわかりずらいが、実はこれ、福島県双葉郡浪江町の青ひびの陶芸品「大堀相馬焼」と絡めた「原発広告」である。

 この広告は、陶芸品の説明が続いた後、いきなり、「伝統を未来に受け継いでゆく。エネルギーもまた、次の世代へ送りとどけるべき大切な財産です。ここ東京電力福島第一原子力発電所3号機では」…と続き、原発の位置を記した福島県の地図が載っている。

 もう一つは「おらが町の味自慢 春を告げる小さな使者。福島名産、小女子です。」という記事広告。冒頭から、小女子(こうなご)の調理法や名前の由来の解説が続き、「小女子のお話をここ福島から産地直送でお届けしました」とし、そこから突如、「電気も作りたてを『産直』でお届けしています」と話が転換し、福島原発を宣伝し始める。

 ほかにも、佐賀県にある、日本の棚田百選の一つ「浜野浦の棚田」と絡めて玄海原発を紹介したり、静岡県にある世界最長の木造歩道橋「蓬莱橋」と絡めて浜岡原発をPRしたりしている。その土地土地の名物を原発広告のダシにしているところが、悪質で卑劣な手口と言わざるを得ない。

 ちなみに公明党の機関紙「公明新聞」によると、公明党は原発に積極的な政策をとり続けている。例えば、2010年11月17日付の同機関紙によると、都内の原発立地の市町村議会の集会に来賓として出席した公明党参院議員の谷合正明氏は、「原発の安全審査と原子力の平和利用に関する公明党の姿勢をマニフェスト(政策綱領)を通じて紹介し、『(原発は)安全の確保を大前提にした上で、地球温暖化対策や電力の安定供給の確保の観点から重要性が再認識されている』と強調」するなど、電力会社と見紛う主張・政策を繰り返している。

 そもそも福島第一原発が悲劇を招いた責任の第一は、「安全神話」という詐欺的な虚構の裏で、原発の安全管理を怠り続けた自公政権下の政治のせいである。この政党にしてこの雑誌あり、といえそうだ。

◇「脳と原発は切っても切れない」婦人公論
画像2:「婦人公論」に掲載した茂木健一郎の「脳と原子力、じつは切っても切れない関係です」という珍妙なタイトルの対談広告

 

 ワースト2位は「婦人公論」。同誌は5月に紹介した婚活ジャーナリストの白河桃子や、お笑い芸人の清水圭以外にも、こんな原発広告を掲載していた。

 それは画像2の広告。実はこれ、脳科学者の茂木健一郎氏と京大の山名元教授との対談である。そこで茂木氏は「人間の『脳』は、ある事象に関して知識がないと、恐怖が生まれる構造になっています。(略)原子力のしくみもリスクもわかっていれば怖くない。我々のような研究者の使命は、その論理や根拠を示していくことだと思います」といい、あたかも本当は原発は危険ではないかのように述べていた。

 さらに茂木氏は2011年1月22日号の電事連による新春特別座談会でも、こう発言している。

 「自分たちがおかれている状況を客観的に見れば、原子力発電の果たす役割が大きいこともわかると思います。確かに原子力にはリスクもありますが、リスクがゼロの暮らしなんてありえないでしょう。交通事故や飛行機事故、地震などの災害もあるし、小惑星がぶつかってくる可能性も…。僕たちはそういう世の中に生きているんですね」

 再三にわたり原発事故のリスクを軽視するかのような発言を繰り返してきた茂木氏は、福島第一原発の事故について、一体どう思っているのか? その点を茂木氏に質問したのだが、残念なことに、返事は返ってこなかった。

画像3:「婦人公論」に掲載した「青森で体感 見えないけれどつながっている、私たちの暮らしと放射線」という原発広告
 さらに同誌は、エッセイストの岸本葉子氏の「青森で体感 見えないけれどつながっている、私たちの暮らしと放射線」と題する広告を掲載。岸本氏は、放射線測定器を持参して、縄文時代の「三内丸山遺跡」の竪穴住居や、テレビで紹介されている人気スポット「しじみラーメン」の店、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設などを回った後、こういう言葉で締めくくっている。

 「今回の旅では、放射線がどこにでもあることや、放射性物質を扱っている原子力施設が、周辺環境に放射線の影響を及ぼしていないことを確認することができました。(略)今度はぜひ、リサイクル燃料で発電している原子力発電所に行ってみたいと思いました。放射線測定器を片手に、ご当地グルメも楽しみながら(笑)」

画像4:「文藝春秋」の「ふぐ刺し」広告。原発汚染とふぐの毒をかけている
◇原発漬け国家を礼讃「文藝春秋」
 ワースト3位は月刊誌「文藝春秋」。同誌は「世界の電力マン ある日の自分史」という広告を連載し、韓国やロシアなどの〝原発漬け国家〟の原発従事者を紹介。

 また、5月に掲載したように、「藤沢久美のギモンの視点」という原発広告もある。

 ほかに「ふぐ刺し」の写真に「処理の仕方が確立されていれば、安心です」と銘打ち、その下に細かい字で、「ふぐの毒はしっかりとした技術で取り除かれています。原子力発電でも.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



画像5:「週刊新潮」の新潟県柏崎出身の映画監督・杉田愉氏の原発広告
画像6:「週刊ダイヤモンド」の広告。福島原発は「大地震や突発的なトラブルにより外部電源を失った場合でも非常用電源がある」と吹聴

 

+++ 記者コメント +++
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hk  12:11 08/10 2011
雑誌等を買うときは、一般に見出しなどを検討して買うと
思うのですが、鵜呑み買いが多いようですね‥。原発無批判雑誌に注意‥‥!!!