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2011-08-12

スルガ銀−IBM裁判に関する雑感

“スルガ銀−IBM裁判”を振り返る - 週末スペシャル:ITpro

スルガ銀行IBMを訴えたのは債務不履行とのこと。つまり、債権者であるスルガ銀行が「IBMの責任で」自分たちが望むシステムを作り上げることが出来なかったと言っております。債務者(IBM)の責任である場合は、スルガは契約の解除や、不履行により生じた損害を請求することが民法で認められているそうです。スルガから契約解除&損害賠償という強烈なワンツーパンチが飛んでいます。

要件定義を3度もやり直すという記述がありましたが、恐らく要件と要求が入り交じった「こーゆーことができるようになりたいです!」という夢と現実の区別が付かない仕様書があって、結局そいつの着地点がスルガもIBMも決められず「そのうちどうにかなるやろ」と宙ぶらりんのまま続けていき、現行業務とのギャップが後から後からザックザク出てきて、そのギャップに+αされた機能が特盛りになって、追加見積もり出すしかない的なアレになったんでしょう。

IBM側は要件定義をやり直すたびに別の個別契約を締結して進めていたのかもしれません。請負でやらないようリスク回避していたのかもしれない。追加見積もりを出すのは正しい。契約外なんだから。個別契約の中で請け負ってない以上ウチの責任じゃない、という理屈なのかもしれない。

でも、スルガからすれば基本合意書で2008年1月にカットオーバーするって合意しており、個別契約の締結にしか法的拘束力が無くても合意には違いないだろ、という話になっているんじゃないでしょうか。ま、ユーザーさんはみなさんそうおっしゃいます。

現場レベルでは何度も何度もIBM側は「こんなの無理です!話が違うじゃないですか!」と言っているが「無理ってなんだよ、そこで止まるなよ。出来る方法考えろよ!」という話になってしまったんでしょう。その要求が、ホントに必要なのかどうか、誰にも分からないままに。要求漏れが怖いからひたすらRTし続けるユーザー側の担当者なんか要らないんだけどって言えたら・・・!

何にせよ、契約の話で争っても和解できそうにないのでどうしようもなくなったので、進行上の問題で接点を見つけようとしている感があります。IBMの責任者の方が証人喚問にやってきて、その点を主張し始めました。

「改変を強要された」、スルガ銀−IBM裁判で日本IBM副会長 - 日経コンピュータReport:ITpro

上記のIBM側の証言を踏まえると、とどのつまり、

スルガ「当行の要求を飲んだのに出来なかった、IBMのプロジェクト進行に問題がある。」

IBMスルガ銀行の準備不足及び要求がそもそも異常なものであり、履行することは困難だ。」

という戦いになっているようですな!

が、この軸でもIBMのほうが立場は弱いように思います。

まぁどこで接点を見いだすのかは分かりませんが、和解するにせよ訴状を取り下げることは考えられないので、逸失利益云々は除外されるけど、20〜30億ぐらいの賠償をIBM側が払って終わるんじゃないでしょうか。

僕は出入りの業者の立場なので、IBMにはシンパシーを感じています。出入りの業者ではホントにお客様が必要なモノなんてわからないもの。出された料理が理由もなく不味いと言われ下げ続けられる辛さ。レシピをユーザーが書けないというのが実は大本の問題なのかもしれない。現行との整合性を保つのはベンダーだけでは困難。「牛肉のステーキ」って完成図だけ用意してひたすら料理作らせて「口に合わないから下げろ」という世界を脱却しないと、こんな争いがずっと続くのかなってセンチな気分です。

web屋web屋 2011/08/13 13:24 >出入りの業者ではホントにお客様が必要なモノなんてわからないもの。

こういう業者は存在価値ありませんね。
言われたものを言われた通りに作ってる奴らは3流以下。

testtest 2011/08/13 13:28 はてなのトップになってたから飛んできたSEです。
この問題の判決が今後の金融ITに関する分岐点になりそうなので私も注目してます。

これでIBMが全面敗訴したら、個別契約も請負契約と同様に契約内容責任ではなく、結果責任を開発側が負い開発リスクが数段高まるのでますますやりづらくなりますね。

あと当時、別の場所で金融ITやっていた現場の人間の感想なんですけど、現場に業務の全体像と詳細を理解できる顧客側ユーザが不在のため苦悶したって記憶が濃く残ってます。

「バブル後の失われた10年」で金融業界は新規採用をほとんど行わなかった結果か?、私の担当顧客の会社では30代の人間が少なくその少数も海外支店に配属されているため、
開発現場にはシステムアレルギーがある上、時間制約もある40代・50代と不良債券処理後に団塊世代と入れ替わりで大量採用した20代前半しかいず、その結果業務の全体像を理解し詳細に落とし込めるユーザ側の人間がいず私も丸投げされましたし、他のチームでも同様の事態がかなり目立ちました。

当時20代前半だった子たちがもうすぐ30代になり今後少しはマシになるだろうことを希望してます。

gothedistancegothedistance 2011/08/13 22:19 >web屋さん
自分が3流以下のバカなコメントしてることに気づいてね・・・。あなたの意見には全く存在価値が無いです。
>testさん
ご指摘の通りで、日本の企業はここ最近ミドル層がすっぽり抜けてしまい、ラインマネジメント層と現場で仕事に追われている若手の断絶が激しく、あるべき業務を誰も立案・設計できないケースがとても多いです。

ただ、それを問題だと認識しているユーザー企業も増えています。今までは問題にすらなりませんでしたので、良いことだと思っています。

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