秋の夜長、星が美しい季節である。
今夜は、職場からの帰りしな、仰ぎ見れば、上弦の月。
すばる
漢字で「昴」。 プレアデス散開星団。M45星雲である。ウルトラマンは、M78星雲。
さて、谷村新司の「昴」を思いつくひとは少なからず。
カタカナのスバルだと、富士重の自動車ブランド。「アルシオーネ」は昴の中の星の名前だそうだ。
ところで、ひらがなの「すばる」。
昭和38年から39年の新幹線開通まで、東京・大阪間の寝台急行。
当時、東京発大阪行きの夜行急行は、20:40発の銀河から、すばる、明星、彗星、あかつき、月光、そして22:20発の金星の7本が走っていた。
「東海道寝台急行7人衆」と、いささか男気あふれ、詩情のないまとめ方をされたらしい。
「東海道寝台急行北斗七星」とでもいえなかったのかな?
全て、天体関係の名称。夜汽車、夜行列車、ブルートレインと呼称は変わっても、列車の愛称は、天体ものが旅情をそそるのだ。
結局、この「すばる」は、1年間の短命に終わるという「不幸な星」のもとに生まれた。
「すばる」よりも、天空を占める「銀河」
東京・大阪間の名門寝台急行として、昭和24年に設定。
昭和61年には、並の寝台特急に比肩する二段寝台(24系25形)で運転、今年3月の廃止まで、急行として異彩を放ちながら、終焉をむかえた。
ほかの7人衆も、新幹線の西進とともに、特急化され、区間を変え、あるいは電車寝台化(781系:いわゆる月光形)となったが、昭和50年以降、徐々に天空の星に帰っていった。
風の中のすばる 砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく
「地上の星」は、鉄路から消えていったのだった。
781系:いわゆる月光形は、地上の星として、プロジェクトXに取り上げてもいい名車である。昼間は、座席特急、夜は寝台特急。そんな車両を開発しなければならないほど、昼夜とも鉄道需要があった昭和40年代であった。
ところで、天空には、秋の大四角形の「ペガサス座」が輝く頃です。そうこうするうちに、冬の大三角形もお目見えします。
すこし、地上の生活に疲れたら、空を見上げてみましょう。
見上げてごらん 夜の星を
小さな星の 小さな光りが
ささやかな幸せを うたってる
昭和38年、坂本九さんのヒット曲である。