十二日付で経済産業省を退任した松永和夫前事務次官(59)をはじめ、福島第一原発事故後の対応をめぐり更迭された三幹部の退職金は、自己都合での退職と比べ一千万円以上も多く支払われる見込みだ。
更迭されたのはほかに、同日付で退任した寺坂信昭前原子力安全・保安院長(58)と、九月一日付で退任する細野哲弘資源エネルギー庁長官(58)。
官僚の退職金は「国家公務員退職手当法」で定められており、今回の退任は本人の希望ではなく「組織上の都合」にあたるため、定年前の「早期勧奨退職」を適用された。このため、算出する際に基本となる俸給にかける支給倍率が自己都合より高く、高額になる。
三幹部の場合、今回の退職金は自己都合と比べ約二割ほど高くなり、上積み額は勤続年数に応じて松永氏が約千百万円、寺坂、細野両氏が千三百万円弱となる計算。勧奨退職に伴う上積みとは別に、局長などの在任職位に応じて三人とも三百万〜四百万円が加算されるため、退職金の総額は松永氏が七千五百万円程度、寺坂、細野両氏が六千五百万円程度になるとみられる。
十二日の記者会見で松永氏は退職金について「関係の規定にのっとって処理されていく」と淡々と回答。更迭した側の海江田万里経産相は「いくらか承知しておりません」と述べるにとどめた。
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