福島の放射性セシウム汚染は広島原爆の1万倍以上ひどい
- 2011/07/18(月) 15:00:07
広島原爆は直後に10万人以上の犠牲者がでた。その後も犠牲者は続いたが初期の被害との相対的比較では小さく、その後広島市の人口も増え、今日の繁栄に至った。
福島原発も徐々に小康状態に思える状態になってきたので、収束に向かうと思うヒトが増えてきた。
しかし、多くのヒトは原爆投下時のセシウム濃度がいくらであったかの実態も知らず、根拠なしに漠然とした希望的観測で福島が同じように回復できると思っている方が多いと思う。従って、ここでは広島原爆がどういうものであるかを説明し、福島原発による放射性セシウムが如何にすさまじいものかについて説明したい。
以前、日記にチェルノブイリも入れ、三者比較を書いたこともあるが、今回は焦点を絞るという意味で二者間で考察する。
広島原爆の場合、殺傷が目的なので高度も600mくらいのところで核分裂を一瞬に起こし、ものすごい高熱、爆風、放射線と出し、爆心地では数日以内に10万人ほどの犠牲者が出た。しかし、非常な高温に熱せられた放射性物質を含む空気は成層圏近くまで舞い上がり、四国を超え太平洋側に飛んだ。一部、広島市北西部などの一部地域で黒い雨が降り、これが死の灰といわれたものであるが地表面(最大値はセシウム137が493 Bq/m2)での汚染度はわずかであった。
原爆のウラン50kgのうちウラン235の1kgが一瞬に核分裂を起し、質量損失が0.68gと報告されている。
アインシュタインの有名なe=mc^2の式でそのエネルギーを計算すると630億ジュールとなる。このエネルギー(TNT火薬換算で1万5千トン)の分配は爆風と熱線に85%で放射線には15%とのことだった。よって、急性致死の原因には直接被ばく(爆心地点500mで28Sv)とともに火傷を伴うことが多かった。
一方、福島原発では低濃度ウラン235による緩徐な核分裂によって発生した熱で水が分解し、できた水素の爆発により炉心内容物を外にまき散らした。従って、低空飛散(3号機は別)したもので放射線を直接被ばくして死亡した人は一人もいなかった。従って、放出された放射線粒子が体の中に取り込まれる内部被ばくが問題になる。
ヨウ素は半減期が短く現在はほとんど影響がないので省く。
セシウム137の濃度について、3月20日文部科学省は飯館村で163000Bq/kgと報告している。アメリカのアルゴン国立研究所の核研究者の Chen氏は日本でセシウムのキログラム当たりの数値を、世界で一般に行われている平方メータへ換算(降ったばかりのこの時期ではセシウムが2cmより深くないと仮定)すると概算50倍になるとみなした。
すると810万Bq/平方メータとなる。その後日米共同の色マップ地図が発行されたが300万Bq/平方メータ以上は同じ色で塗られているので最高値がいくらかはわからない。よって中間的な500万/493=1万倍と計算した。
これだけの違いがあるから、広島は早く人が住める地になったともいえよう。
また、このことが、私が肥料や瓦礫でセシウムの拡散防止を繰り返し叫ぶ理由でもある。
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