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汚染土保管施設を計画 候補地区の住民が反発 伊達市
 | 伊達市が開いた梁川町富野、山舟生両地区の住民向け説明会では、除染後の土などの保管施設構想に反対意見が出された=11日夜、伊達市富野小 |
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福島県伊達市が放射能除染のため削り取る表土などを保管する専用施設を計画し、施設の候補地となった地区の住民が猛反発している。市は市内全域を対象に放射性物質除去計画を策定中で「計画を立てても、土などの保管場所が決まらなければ実行できない」と施設の必要性を訴える。住民は「放射能は大丈夫なのか」と懸念を深めている。 「大丈夫かどうか分からないのに(放射性物質が含まれている表土などを)持ってくるなんて、あまりに無責任。地域に迷惑を掛けたらとんでもないことになる」 11日夜、伊達市梁川町の富野地区と山舟生地区の住民を対象に市が開いた放射線対策説明会で、住民から怒声が飛んだ。市職員が「富野地区にある砂利採掘場の跡地が、表土などを保管する場所の候補地になっている」と説明したためだ。 市は「施設を整備して適切に管理する方が安全」と、今月中にまとめる除染計画に保管施設の構想を盛り込む考え。合併前の旧町ごとに5カ所の建設を計画する。保管は「仮置き」の位置付けで、将来は別の場所に移すことを想定している。 表土などに含まれる放射性セシウム137などが漏れ出ないよう遮水シートを敷くなどの対策を施し、排水も処理するという。 福島第1原発事故による放射能汚染で、福島県内では被ばく線量を下げるための校庭の表土除去や建物の洗浄が進められており、土などの保管が問題になっている。専用の保管施設はまだ具体化しておらず、現在は校庭隅に穴を掘って埋めるなどしている。 伊達市の富野、山舟生両地区は、宮城県丸森町に隣接する山間地。保管施設の候補地になったとの話が7月中旬に地元で広がり、間もなく地区住民が反対を決めた。 山舟生地区自治会長の農業幕田忠一さん(61)は「(保管されれば)ますます若者がいなくなる。いったんできれば、次々に受け入れてほしいと言われるのではないか」と警戒する。 伊達市は除染計画に果樹園などの表土除去も入れる予定で、さらに膨大な量の土の排出が見込まれる。その保管をどうするかは切実な問題になっている。 市が7月下旬に行った民家3軒の除染実験で出た約35トンの土や草も、ブルーシートで覆われただけで付近の農地に置かれている。 市の除染プロジェクトチームリーダーの半沢隆宏市民生活部次長は「除染すれば必ず、廃棄物の問題に突き当たる。子どもたちのためには管理型施設の方が安全だ」と話し、引き続き地域の理解を求めていくという。
2011年08月13日土曜日
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