海外

文字サイズ変更

北朝鮮:「強盛国家」に方針変更 「大国」から格下げ

 【北京・米村耕一】北朝鮮が故金日成(キム・イルソン)国家主席生誕100年の12年に「強盛大国の扉を開く」と掲げてきたスローガンのうち、最近になって「強盛大国」を「強盛国家」に格下げするよう方針を変更していたことが分かった。複数の朝鮮労働党関係者が明らかにした。公式報道では徐々に「強盛国家」への置き換えが進められている。背景には国際社会との関係改善も進まず経済難克服の道筋が見えないことから、国民の期待値を下げる狙いがあるようだ。

 ラヂオプレス(RP)によると金正日(キム・ジョンイル)総書記は4月下旬ごろから、現地指導などで「強盛大国」に加え「強盛国家」との表現を使い始めた。北朝鮮では「強盛大国」のスローガンとは裏腹に、経済難を克服できるめどが立っていない。関係者によると、これらの状況を受け、党指導部が6月の段階でスローガン用語の変更を決め、公式報道で置き換え始めたという。

 6月18日には平壌で開かれた中央報告大会で、宣伝担当の金己男(キム・ギナム)書記は「強盛大国」の表現を使わず「強盛国家」を繰り返している。金書記が統括する党宣伝扇動部は国内メディアを管轄するほか、国民に国家の方針を伝える講演資料も作成する。このため「強盛国家」への格下げは北朝鮮住民の間で広まりつつあるようだ。

 北朝鮮は中国向け石炭や鉄鉱石輸出の急拡大により当面の経済難を切り抜けようとしているが、中国側の貿易統計によると、今年上半期も約3億9000万ドル(約304億円)程度、北朝鮮側の赤字。中国から食料や生活必需品を大量に輸入し、生活改善を実感させられる状況ではない。

毎日新聞 2011年8月13日 2時34分(最終更新 8月13日 11時07分)

PR情報

スポンサーサイト検索

海外 最新記事

海外 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報