賞与にかかる保険料は給付にどう反映されるの?
賞与を支給すると、それに対して通常の賃金と同じように労働保険料(労災保険料・雇用保険料)や厚生年金保険料・健康保険料がかかります。
ところで、賞与にかかる保険料は、年金や手当金などの保険給付にはどのように反映されているのでしょうか。
☆保険料がかかる賞与とは・・・
保険料の対象となる「賞与」とは、各制度によってその意味がやや異なっています。労働保険では、「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」(労働保険徴収法第2条第2項)とあるように、通常支払う賃金と区別されていません。
一方、厚生年金保険や健康保険では「(賞与とは)賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるもの」(厚生年金保険法第3条第1項第4号、健康保険法第3条第6項)とあるように、賞与は通常支払う賃金(報酬)とは区別されています。「3月を超える期間ごとに受けるもの」とは、言いかえれば「年に3回まで」支給されるものです。また、保険料は実際の支給額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を乗じて算出され、この標準賞与額には一定の上限もあります。
☆「賞与」が反映さ・れる保険給付は・・・
このように、どの制度においても賞与は保険料の対象となりますが、対象となった賞与はどの保険給付にも反映されるわけではありません。
(労災保険)
労災保険の主な給付額を決める基礎となる「給付基礎日額」は、労働基準法で定める平均賃金に相当する額とされ、「臨時に支払われた賃金および3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は算入されません。つまり、年3回までの賞与は給付額には反映されないことになっています。ただし労働福祉事業の一環として行われる次の特別支給金は、災害発生日、または診断によって病気にかかったことが確定した日以前1年間に支給された賞与などの「特別給与」を算定基礎とします。
・障害特別年金、障害特別一時金(差額一時金を含む)
・遺族特別年金、遺族特別一時金
・傷病特別年金
(雇用保険)
基本手当などの雇用保険の各給付額を決める基礎となる「賃金日額」には、「臨時に支払われる賃金および3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は含まれません。つまり、これも年3回までの賞与は給付額には反映されないことになっています。
(健康保険)
傷病手当金や出産手当金など、健康保険のいわゆる現金給付の基礎となる「標準報酬日額」には標準賞与額は反映されません。
(厚生年金保険)
老齢厚生年金、障害厚生年金および遺族厚生年金の額を計算するときに算入される「平均標準報酬額」には、平成15年4月以降の被保険者期間の標準賞与額が反映されます。(「平均標準報酬額」とは、総報酬額が開始された平成15年4月以降の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、その間の被保険者期間の月数で除して得た額をいいます)
また、在職老齢年金制度の年金支給停止額を決める「総報酬月額相当額」には、直前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額が加算されていますので、賞与額と支給停止額が連動します。
以上をまとめると、年金など長期的な給付には賞与は反映されますが、短期的な給付には反映されないしくみとなっていると言えるでしょう。
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