紫の貴婦人、ヘリオトロープ |
各種イベント会場や農園を訪れるお客さんにこの花の香りを嗅いでもらうと、誰もが「わぁーいい香り」とその香りにうっとりしてしまいます。濃い紫色の美しい花で、バニラ似た甘い芳香を放つヘリオトロープは容姿も香りも正に紫の貴婦人のようです。この花はペルー原産の香料植物で、ロマンチックな花として有名です。葉脈がはっきりとして、うぶ毛に覆われた肉厚で濃い緑色の葉、花は春から秋にかけて開き、濃い紫色の小さい花が集まった散房花序です。ビニールハウスの中でたくさんのヘリオトロープが咲きみだれると、甘い香りが立ち込め幸せな気分になります。 ペルー生まれのヘリオトロープは、フランスの園芸家が1757年にペルーからパリの王室の庭園に種子を送り、ヨーロッパに伝えました。その後アメリカや他の国に伝えられ、日本には明治時代に伝わり、栽培されています。夏目漱石の小説にヒロインがヘリオトロープの香りをしみこませたハンカチを使うシーンが描写されています。明治の貴婦人たちは花の香りを懐に忍ばせていたようです。また、ヘリオトロープは香水の名前でも有名で、明治30年に日本に初めて入ってきた香水でもあります。 栽培は、種まきは春に。鉢植えを購入したら日に充分当て、水も切らさないように育てます。花が咲き終わったらカットします。秋までは花芽がどんどん伸びて花が咲き続けます。肥料も忘れなく施しましょう。冬は耐寒性がないためお部屋の中で越冬させます。挿し木もできますので増やしてお友達にプレゼントすれば喜ばれます。 お客さんがお出でになる時は、ガラスの花器にきれいに咲いた花を浮かべテーブルに。香りのおもてなしになります。自分で育てた花で花束を作るときは、ヘリオトロープも添えると色も香りもアクセントになり楽しめます。 |
(02.7.3) |