フルレンジサウンドの魅力を追求し、様々なテクノロジーを投入したプレミアムな逸品、ウッドコーン特別試聴イベントに潜入



ウッドコーン生みの親が語る開発秘話

 レコーディングエンジニアの厳しいリクエストに応えるウッドコーンオーディオシステム「EX-AR9」は、どのようにして生まれたのか?当然にして湧き上がる疑問には、前述のウッドコーン生みの親である開発グループ今村 智氏が丁寧に答えてくれた。

 今回ラインアップに登場した「EX-AR9」を知るためには、そのベースになった「EX-AR7」の開発背景と、そしてそもそものテーマ「木へのこだわり」という2点について学ばなければならないだろう。

スピーカーは楽器でありたい! 木製振動板にかけた思い
 言うまでもなくウッドコーンの「コーン」とは振動板のことである。これまでの振動板と言えば、“コーン紙”の名の通り紙製のものがほとんど、なかにはプラスチック製のものもあるが、無垢の木材を用いた振動板は成型の困難さからこれまで製品化されることはなかった。
 しかし木には、紙やプラスチック素材にはない利点が多い。音波の進行速度が高く、適度に振動を吸収する木材は残響音が重なることが少なく、振動板の素材として理想に近い。また不均等な繊維構造は、四方八方に自然な速度で音を響かせ、プラスチックや鉄にみられる“中音域で暴れる現象”を抑えもする。なにより名器と言われるバイオリンやギターなどの楽器は木から作られる。つまり木材こそがスピーカーの振動板にとって最適な素材と考えられるのだ。
 ネックであった成型工程においては、日本酒に含まれるブドウ糖やグリセリンの保湿効果を利用し、プレス成型時の“割れ”を解決。また、木の利点を残したままの形状固定には、木材専用の熱硬化樹脂を使用し、その濃度調整、プレス圧、プレス時間、プレス温度などの細かな調整をもってこれをクリアした。実に5年の歳月を費やし、試行錯誤の末の成功であったという。

会場にはウッドコーンの品質を支える様々なテクノロジーの結晶ともいえるパーツが展示さていた。

「EX-AR7」の血脈伝承、受け継がれたテクノロジー
 「EX-AR9」は、「EX-AR7」のプレミアムモデルであるから「EX-AR7」より受け継がれた技術も多い。振動を振動板へ伝えるためのコイルボビンも「EX-AR7」と同様に木製だ。職人によるウッドシートの削り出しにはじまり、一般的なボイスコイルの5倍以上の製造工程をかけ作り上げられる。その強度はクラフトボビンの約2倍を誇る(ビクター調べ)。またエンクロージャー(スピーカー筐体)内部には、チェリー無垢板、チェリー響棒、竹響板を用い、吸音材にはメイプルの木片チップを使うなど複数素材の組み合わせは「EX-AR7」からの踏襲テクノロジーでもある。

「EX-AR7」を超えるプレミアムの称号

写真は「EX-AR9」、アンプ部前面にはPremium(プレミアム)の刻字がある。

 アンプ部前面に刻字されたPremium(プレミアム)の称号が証明するように、「EX-AR9」は「EX-AR7」のテクノロジーを踏襲した上で、さらなる進化を遂げている。


写真はスピーカーユニット。
吸音材にメイプルの木片を使用している。
 スピーカーユニットポールピース上部に取り付けられたメイプルの木片により、音の純度と広がりがさらに向上した。また、これまで均一であったコルゲーションダンパーは、振幅方向追従性を向上させるために内側から外側に山谷の高さが大きくなる不均一な形状へと変更、これにより歪みの少ない低音再生を実現するに至った。





スピーカーユニットへの装着素材を
メイプル吸音材に変更。
  高音域の抜けの改善には、スピーカーのセンターキャップの形状に凸量を増やすことで対応、広がりのある音の再生を可能にした。
 さらに、スピーカーユニットへ装着していた木材をチェリー材からメイプル材に変更、形状や取付位置にも最適化を施し、重心の低い低音再生および解像度の向上に努めている。





写真はエンクロージャー(スピーカー筐体)の
カットモデル。スピーカーユニットの上部に
スプルース縦目響棒を設置。
 またエンクロージャー(スピーカー筐体)内部のさらなる工夫にも着目したい。バッフル上部に縦目のスプルース響棒を追加設置することで、見た目のスピーカーサイズを大きく超える音声空間を創りだすことに成功している。

 そのほか、追加されたテクノロジーのひとつひとつに言及すればキリがないが、全ては究極のプレミアムモデル完成のための創意工夫の結果、営業企画担当の安富 稔氏の言葉を借りれば「もはや商品ではなく“作品"」ということになるだろうか。参加者達のカメラは、こだわりの作品を写真におさめようと忙しなくフラッシュの光を放っていた。



参加者達からも大満足の声

 営業企画担当の安富 稔氏は「EX-AR9」にかける思いを次のように語った。「本機は、『音楽は高音質でなくても構わない』、『そもそも高音質を知らない』、という人たちもいるような現在の流れに一石を投じたいという思いから企画開発しました」
 企画開発には「原音探究」を続けるビクターとしての、また音作りのプロフェッショナルとしての熱い想いが込められているようだ。
 実際、参加者らも音に対しては熱いこだわりを持つ面々が多く「スタジオの大音量で聴いて音質が良いのは当たり前、自宅マンションのパーソナルスペースで聴くような小さい音量で聴いてみないと納得できない!」と自室での試聴を再現するような聴き方を求める一幕もあった。しかし実際に「EX-AR9」の前に座り、家庭サイズのボリュームで音を確かめた参加者は「小さい音量でも音の広がりを感じることができました。納得できました」と満足気な様子だった。


 イベント終了後、そんな参加者に感想を求めると「私も楽器を演奏するのですが、音の愉しみ方を変えてくれんじゃないかな、と感じました」、「まずそもそも自宅のオーディオとその環境の貧弱さについては、「EX-AR9」との違いに音から気づかされました(笑)心にズッシリと(音楽が)届くんだ、と感動しました。実家には旅行用のトランクケース大のスピーカーがあるんですが、それ以上というか、シングルコーンの小さなスピーカーでここまで豊かな音が出せるものかと驚きました」と皆一様に「原音探究」を標榜するビクターの思いに共感したようだった。
 ビクタースタジオと、レコーディングエンジニア、そして開発者らの「原音探究」にかける思いを感じることができたのではないだろうか。音楽は聴ければ何でも構わない、そんな昨今のこだわり無き風潮に一石を投じる本物志向のオーディオシステム、それがビクター「EX-AR9」だ。さらに詳細なテクノロジーについては、スペシャルサイトをチェックして欲しい。[詳しくはコチラ


■関連リンク
 ・ウッドコーンスペシャルサイト
 ・ビクター「ウッドコーンスピーカー」特集ページ livedoorニュース-音楽-


ウッドコーンオーディオシステムEX-AR9

ビクター ウッドコーンオーディオシステム「EX-AR9」

フルレンジサウンドの魅力を追求し、各ユニットへ様々な音質改良技術を投入したプレミアムモデル。
EX-AR9 製品情報

12
フルレンジサウンドの魅力を追求し、様々なテクノロジーを投入したプレミアムな逸品、ウッドコーン特別試聴イベントに潜入

   

写真一覧(1件)

WORD : 
楽器のようなスピーカー  

コメント / 簡単コメント | みんなのコメントを見る(7)

DIGITAL | LINK

category recommend