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活気再び 会津若松市長選(下)

2011年08月05日

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会津若松駅前。駐車場になっている左手前の約4千平方メートルの土地が会津サティ跡=会津若松市

 ●市街地空洞化/中心街、迷走する再開発

 JR会津若松駅前で27年営業し、まちのにぎわい作りを担ってきた大型スーパー「会津サティ」。2009年6月に閉店した跡地はいま、135台収容の駐車場になっている。

 この跡地と周辺の商店街計約9500平方メートルを再開発し、新たな商業施設を作る構想があるが、順調に進んでいるとは言えない。

 地元の地権者20人が参加する「再開発協議会」。閉店後から会議を約20回重ね、商業施設の構想もまとめたが、出席者は毎回5、6人で同じ顔ぶれ。再開発に対し、慎重な地権者が多数を占めているのだ。

 跡地を管理する流通大手「イオンリテール」(千葉市)は、サティの撤退理由に建物の老朽化を挙げ、市も「売り上げは落ち込んでいたが、採算は取れていた」とみる。協議会の会長で、飲食店を営む鈴木平助さん(57)は「決してもうけられない土地ではない。時代にあった商業施設ならば集客できる」と見通す。

 協議会は来春までに再開発案をまとめたい意向で、鈴木さんは市に再開発の「旗振り役」を期待する。

 一方、地権者の過半数は60代以上で、後継者がいない店が多い。そんな地権者の一人は言う。「商売を大きくしたいとは思わない。時代も不透明だし静かに暮らしたい」。郊外店が増えた中、中心部ににぎわいが戻るとは思えないようだ。

 市中心部の神明通り。昨年2月、会津唯一の百貨店「中合会津店」が46年の歴史に幕を下ろし、9階建ての建物だけが残った。

 休日の人通りは10年前から半減。中合の撤退が空洞化に拍車をかける不安が高まった。昨年11月、市の第三セクター「まちづくり会津」が商業施設や会津若松商工会議所が入居する2階建て複合施設を計画した。市も後押ししたが、地元の神明通り商店街が「集客が期待できない」と反対。3月、計画は頓挫した。

 計画に反対した同商店街の菊地和義理事長は「定住者を増やす視点が欠けていた」と指摘。商業施設とマンションを組み合わせた施設の建設に向け、商店街として動きたいという。

 市は中心市街地の空洞化について「市のイメージを下げ、観光にも悪影響」との認識だが、再開発に直接関わることには慎重だ。松川和夫・観光商工部長は「市外の再開発の事例を見ても、市が関われば成功するとは限らない。市は道路などのインフラ整備や国とのパイプ作りなど側面から支援したい」と話す。

 では、市は中心市街地のにぎわい作りに、どんな形で役割が果たせるのか?

 市内の土地利用に詳しい第一不動産鑑定所会津支店長の小椋満幸さん(49)は、市街地で人口や雇用の場を増やし、消費に結びつける仕組みづくりを市が提案して欲しいという。「市営アパートを造って雪対策に悩む高齢者の入居を進めるのも一案だし、会津大を卒業した若いIT起業家を空き店舗に呼び込むこともできる。にぎわい作りに福祉や就業支援などの視点を取り込む柔軟さが、市街地を活気づけると思います」(池田拓哉)

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