「五山の送り火で天に届けたかった。断腸の思いだ。被災者に申し訳ない」
門川大作・京都市長は12日、検査結果を聞いた約2時間後の午後4時から記者会見を開いた。厳しい表情のまま、約1時間の会見中に何度も頭を下げた。
報道陣からは中止を決めた理由への質問が相次いだ。市長は「微量かどうかが問題ではなく、とにかく検出されないことが前提だった」と強調。食品には放射能で国の基準があることを挙げ、「燃やすことへの国の基準がない。早急に要望したい」と述べた。
今回の薪は、福島第一原発から200キロ近く離れた国の名勝・高田松原の松。京都市は放射性物質が検出されるとは想定しておらず、市長も「念のためという意識で、安心してもらうための検査だった」。
一方で、被災者に対しては「すぐにでも陸前高田におわびに行きたい」。陸前高田市側から断られたことは「担当者が連絡した。返事はまだ聞いていない」と述べるにとどまった。
一連の問題で、市には11日までに約2千件の苦情や批判の声が殺到。今回の決定を受け、12日夜までに130件の声が寄せられた。「断念して安心した」という声が多く、中止を批判する声は少なかったという。(岡田匠)
「生涯被曝」という衝撃的な言葉に、私たち日本人はさらされるようになった。私たちは、どのような考え方に立って一生に浴びる放射線量を抑え込んでいったらよいのか。
中曽根康弘・元首相は原発推進で絶大な影響力を振るった。技術も制度も当初は米国からの借り物だったが、「自立した国家」を掲げるには原発を主体的に導入したとみせる必要があった。