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【放送芸能】

歌う僧侶 奈良・光明寺住職 三浦明利、CDデビュー

 「美人すぎる尼さん」などとしてテレビなどにも登場している奈良県の光明寺住職、三浦明利(あかり)(28)が今夏、CDデビューした。もともとはガールズバンドで活動していたものの、家業の寺を継ぐため断念したという異色の経歴の持ち主。探してみると、歌うお坊さんは結構いる。もうすぐお盆。猛暑の浮世をひととき忘れ、その歌声に耳を傾けるのも、いいかも…。 (早川由紀美)

 三浦がバンド活動を始めたのは高校生のとき。大学時代、ギターとボーカルを担当していたガールズバンドMogaHoopは、CD店・新星堂の全国オーディションCHANCE!でグランプリを獲得。ジャズをベースにファンクやラテンなどの要素も取り入れた本格派の音楽は「技術が高く、斬新」などと評価された。

 「かっこいいものを作って驚かせてやろうという気持ちが強かった。音を複雑にすることで安心していた」。インディーズ(独立系)でCDを出すなど音楽活動が軌道に乗りかけていたときに、父が寺を離れることになり、跡を継いだ。週に四日は住職としての“お勤め”がある。

 バンドは辞めざるを得なかった。メンバーは「今の役割を全うすればいい」と送り出してくれたという。三年前のことだ。

 エレキギターをいったんはケースにしまいこんだ。しかし、音楽活動をしていたことを知る人などから、お寺のイベントなどで演奏の依頼が舞い込むように。美人住職として注目を集め、今年三月にフジテレビ「笑っていいとも!」で袈裟(けさ)姿でギターを弾いて歌ったことで、インターネット上でも話題となった。

 七月に発売されたデビューシングルは「ありがとう」「花束レクイエム」の二曲を収録。生ギターの音色を生かした、語りかけるような作品だ。

 「これ以上できないほどシンプルにした。住職になったことで、バンド時代の、難しいことをして魅せる演奏から、一緒に歌ってくれたらいいなあというふうに、音楽との向き合い方が変わった」

 「花束レクイエム」は十代のときに友人が亡くなったときに作った曲だ。その時、歌詞の最後の言葉は「ありがとうさえ言えない」だった。「お寺に身を置いて、多くの人々を送っていく中で(死者への言葉は)『ありがとうしか言えない』が正しいんじゃないかと気がついた」。「さえ」を「しか」に変えた“二〇一一年版”を、震災を経た多くの人に届けたいという。

◆かかわり深い音楽と宗教

 僧侶で活躍する女性シンガー・ソングライターには、二階堂和美や、子宮がんを克服しお寺などでコンサート活動を展開する、やなせなながいる。ファンキーモンキーベイビーズのDJケミカルも寺が実家のお坊さんだ。

 バンドもある。知的障害のある僧侶や、彼らがいた寺の元住職、ミュージシャンらでつくるギャーテーズは、ドキュメンタリー映画「FREAK OUT」になり、今春公開された。ライブ映像を加えたDVDが秋ごろ出る予定だ。

 若手僧侶らで作るインターネット寺院「彼岸寺」の代表、青江覚峰さんは「言葉が通じないところ、文字の読めない人に音楽で信仰を伝えるという手法がとられたため、宗教と音楽のかかわりは深い。親鸞聖人は当時まだ都会化されていない関東で、農民を教化するために音楽を用いたとされています」と説明する。

 親鸞の作ったとされる田植え歌は、滋賀県の錦織寺で農民に伝わり、いまも歌い継がれているという。親鸞は鎌倉時代のシンガー・ソングライターだったというわけだ。

 

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