自主避難者ら東電に賠償請求
K10048811211_1108121936_1108121938
NHKニューストップへ
※ すべての機能を利用するには、JavaScriptを有効にしてください。

自主避難者ら東電に賠償請求

8月12日 19時18分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、避難区域以外の地域から自主的に避難した住民らが「自主的な避難でも賠償すべきだ」と訴えて、東京電力に合わせておよそ12億円の賠償を求める請求書を提出しました。

福島第一原発の事故を巡っては、国が指定した避難区域以外からも自主的に避難する人が相次いでいますが、国の審査会が今月5日に公表した中間指針では、自主的な避難者は賠償の対象には盛り込まれず、議論を続けることになりました。12日は、福島県や茨城県などから自主的に避難した住民のほか、今後、避難を検討している住民411世帯が「自主的な避難でも賠償すべきだ」と訴えて、合わせておよそ12億円の賠償を求める請求書を東京電力に提出しました。請求書を受け取った東京電力の担当者は、「審査会の議論を踏まえて対応したい」と答えていました。住民たちを支援している市民団体によりますと、今回、請求書を提出した人の中には家の中でも放射線量が1時間当たり1マイクロシーベルトを超えているのに経済的な事情で避難できない人も多いということで、今後の避難にかかる費用を賠償するよう求めています。

福島市から妹とともに都内に避難している杉本渉さん(33)は、「自分は手持ちの資金もあり避難することができたが、福島に残っている人たちは、避難にかかる費用を用意できず不安の中で生活しています。東京電力は国の判断を待つのではなく、柔軟に判断してほしい」と話していました。また、妻を島根県に避難させた福島市の藤本典嗣さん(40)は、「国が避難区域外と言うと、安全だと思われがちだが、5年後、10年後のことは誰もわかりません。東京電力は自主避難者の問題をあいまいにせずに、きちんと対応してほしい」と話していました。

東京電力に請求書を提出した住民の支援団体によりますと、避難区域以外の地域から自主的に避難した住民の中には、幼い子どもを持つ人が多いということです。このうち、夫が福島県にとどまり、妻と4歳の子どもが京都に避難した家族は、▽京都まで避難するためのガソリン代や、▽引越しのためのトラックのレンタル料金、▽それに慰謝料の、合わせて186万円余りを請求しています。その一方で、避難したいと考えていても、避難先での生活設計の見通しが立たないことや、引越し代金が出せないといった経済的な理由から避難に二の足を踏む人は少なくないということです。避難区域以外の地域から自主的に避難した人への賠償を巡っては、8月、国の審査会が示した中間指針には盛り込まれず、引き続き協議されることになっています。しかし、どの範囲までが賠償の対象に含まれるかの見通しは立っていないことから、支援団体では、幅広い救済を求めて国などへの働きかけを続けていくことにしています。支援団体の阪上武代表は、「経済的な理由のために逃げたくても逃げられない方がいるのはよくないことだ。賠償の見通しが立てば避難することもできるので、早い段階で明確に賠償の方針を示してほしい」と話しています。