大阪府和泉市を流れる松尾川の河川敷で、地元住民が2頭の羊を育てている。羊の持ち主は大阪府。伸び放題の草むらの陰に捨てられるごみを減らそうと「草刈り役」として飼育され、今夏で10年目を迎えた。除草費用の節約に加え、今では地域住民の交流にも一役かう貴重な存在だ。
羊の名はウッチーとタッチー。世話をする内田町の町内会にちなんだ名前で、それぞれ2代目と3代目になる。2頭は柵に囲われた約1500平方メートルの河川敷で、毎日午前7時〜午後5時、ゆったりと草をはむ。
羊の飼育は2002年8月から。住民参加で河川敷の清掃や花の栽培などをする「アドプト・リバー」事業の一環だが、羊を活用するのは全国的にも珍しいという。府が羊を「備品」として購入し、健康管理にかかる年間30万円を負担。協力する町内会がヒツジの世話をする。
2頭が食べる草の量は年11トン。放牧前は人の背丈ほどあった河川敷の雑草は、羊たちの活躍でくるぶしが隠れるほどに保たれている。家庭ごみや電化製品の不法投棄もなくなったといい、府が負担していた除草代(年125万円)やごみの撤去費(同30万円)が節約できたという。
「生涯被曝」という衝撃的な言葉に、私たち日本人はさらされるようになった。私たちは、どのような考え方に立って一生に浴びる放射線量を抑え込んでいったらよいのか。