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日航機事故:26年 朝から遺族の登山続く 群馬県上野村

昇魂之碑の前でシャボン玉を飛ばす子供たち=群馬県上野村で2011年8月12日午前10時35分、西本勝撮影
昇魂之碑の前でシャボン玉を飛ばす子供たち=群馬県上野村で2011年8月12日午前10時35分、西本勝撮影

 航空事故として国内最多の犠牲者520人を出した日航ジャンボ機墜落事故から26年を迎えた12日、群馬県上野村の墜落現場「御巣鷹の尾根」を目指し、遺族らは朝から入山した。「体力が衰えたので今年が最後」「気力が続く限り登りたい」。老いた遺族を、あの夏と同じ強い日差しが襲い、猛暑が体力を奪う。大粒の汗を流しながら尾根に建つ墓標へ一歩一歩、かみしめるように前に進んだ。

 事故で長女尋文(ひろみ)さん(当時24歳)を亡くした河瀬周治郎さん(77)=大阪府貝塚市=は、昨年に続き前夜発の夜行バスで駆けつけた。

 尋文さんの面影を重ねた山を貝塚市内に持つ。関西国際空港を見下ろす標高857メートル、約9000坪。「山なら必ず残る。山を娘と思って育てたい」。日航から受け取った数千万円の補償金をすべて投じ89年に購入した。

 その山に2年前から数輪のユリの花が咲く。離着陸する飛行機を見守るように咲き「娘の化身のように思えた」。今年は、イノシシなどの動物に山が荒らされたためか、花が見えないという。

 事故から長い歳月が流れた。4年前まで一緒に登っていた妻(77)は認知症が悪化して特別養護老人ホームに入所しており、一人で慰霊登山に臨んだ。「足は年々重くなっているが、気力が続く限り、必ず墓標に足を運ぶ」と話した。

 滋賀県栗東市から訪れた猪飼健司さん(70)は事故で、弟の善彦さん(当時37歳)と善彦さんの長女小夜ちゃん(同9歳)、長男潤君(同7歳)を失った。毎年尾根に登り続けてきたが、昨夏の慰霊登山で限界を感じたという。「墓標まであと100メートルの所で息が上がり、つらい」。今年が最後と心に決めた。

 午前9時、尾根の登山口に立った猪飼さんは「26年間、弟たちのことを忘れたことはない。一歩一歩を胸に刻んで登りたい」。つえを手に、せみしぐれが響く山道をたどって尾根に立ち、3人の墓標の前で手を合わせた。

 上野村の追悼施設を管理する財団法人「慰霊の園」によると、今年慰霊登山を予定する遺族は約250人。前年(308人)を大きく下回る見通しで、05年の405人を最多に減少傾向が続いている。【喜屋武真之介、塩田彩】

毎日新聞 2011年8月12日 11時50分(最終更新 8月12日 12時12分)

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