BLOGOS編集部
被災地で多くの人々が善意のボランティアとして活動しているが、その中には怪しげな人物も混ざっているようだ。朝日新聞は8月12日付けの朝刊でお詫び記事を掲載した。2日前に掲載した“医師”の経歴に事実誤認があったというのだ。彼は宮城県石巻市を訪れるボランティアの人々への治療活動をしており、本人は「医師免許を持っており、海外の病院に所属している」と述べていた。しかし、同社の確認作業の結果、虚偽の疑いが強いことが判明したのだという。(BLOGOS編集部・安藤)
10日付け紙面の「ひと」欄で紹介された際の記事を引こう。ハンチング帽にマスク姿の男性の写真とともに、以下のように書かれている。
ところが、この記事が掲載した後、読者から「米田氏は医師ではない」と朝日新聞社に情報が寄せられたという。実際に、米田氏の名刺にあったカナダの病院に電話取材したところ、「この名前の医師は一度も働いたことはない」との回答を得た。
しかし、なぜモグリの医者が、報酬も出ないはずの被災地に紛れ込んだのか。実は米田氏は自身を代表とするボランティア団体を立ち上げており、財団からの百万円の助成金を得ていたのだ。朝日新聞では以下のように伝えている。
猫の手でも借りたい被災地の現場では、ボランティアの身元確認が十分にできないことも多いが、今回のケースは新聞沙汰になるまで事実が確認できなかったという意味で、重大な問題だろう。この他にも、ボランティアをめぐる問題は多発している。フジテレビの「27時間テレビ」の収録の際に、宮城県南三陸町の特設会場に多くの一般ボランティアが動員されていた問題が発覚している。週刊朝日の記事には、以下のように書かれている。
無資格だった“専属医”
10日付け紙面の「ひと」欄で紹介された際の記事を引こう。ハンチング帽にマスク姿の男性の写真とともに、以下のように書かれている。
被災地で「ボランティアの専属医」を務める 米田きよしさん(42)この記事では、米田氏のことを「カナダにある大学病院に所属する小児救命救急医」と紹介していた。海外から駆けつけた善意の医師にしか見えない。
宮城県最大のボランティア拠点・石巻市。震災後、のべ約8万7千人が訪れた。ここで「ボランティアの専属医」を務めている。
泥出し作業中に釘やガラスを踏む人、家財道具の運搬中に手足を挟む人、ぎっくり腰になる人、持病の薬を飲み忘れて重体になる人もいる。「ボランティアの基本は自己責任」が口癖だが、善意で集う人を放っておけず、彼らが生活する石巻専修大学のテント村に3月半ばから住みついた。
「ボランティアのボランティアや」。救護所では、破傷風の予防や熱中症の患者をはじめ、250人余りを診察してきた。
ところが、この記事が掲載した後、読者から「米田氏は医師ではない」と朝日新聞社に情報が寄せられたという。実際に、米田氏の名刺にあったカナダの病院に電話取材したところ、「この名前の医師は一度も働いたことはない」との回答を得た。
しかし、なぜモグリの医者が、報酬も出ないはずの被災地に紛れ込んだのか。実は米田氏は自身を代表とするボランティア団体を立ち上げており、財団からの百万円の助成金を得ていたのだ。朝日新聞では以下のように伝えている。
この代表の団体は、日本財団が被災地支援のためにNPO法人やボランティア団体に支給している助成金を申請していた。団体側には7月に100万円が助成された。どうやら、この助成金を目当てに医師を名乗って活動をしていたようだ。福地献一・報道局長は「掲載後、社外からの指摘で再取材した結果、日本の医師資格を持たず、経歴についても虚偽の疑いが強いことがわかりました。謝った内容を掲載したことを読者の皆様に深くおわびいたします」と、談話を発表している。
混乱するボランティアの現場
猫の手でも借りたい被災地の現場では、ボランティアの身元確認が十分にできないことも多いが、今回のケースは新聞沙汰になるまで事実が確認できなかったという意味で、重大な問題だろう。この他にも、ボランティアをめぐる問題は多発している。フジテレビの「27時間テレビ」の収録の際に、宮城県南三陸町の特設会場に多くの一般ボランティアが動員されていた問題が発覚している。週刊朝日の記事には、以下のように書かれている。
7月23日午前7時、ある旅行会社が参加費3500円で募った個人ボランティアを乗せたバスがJR仙台駅を出発した。42人の定員いっぱいで、地元ボランティアセンターからの指示を受けて南三陸町の志津川中学校へ直行。そこで待ち受けていた「ボランティア作業」が、27時間テレビの会場設営だった。参加者からは「これってフジテレビへのボランティアじゃない?」という声も漏れたという。マスメディアがボランティアに混ざったモグリ医師に振り回される一方で、ボランティアを体よく利用してしまうケースもあるようだ。震災から5カ月目を迎え、人々の「善意」が支えるボランティアの重要性は高まっている。でも「善意」という言葉を、無防備に信用してしまうのは禁物になっているようだ。
42人の男女に配られたのは、首から下げる「スタッフ」パス。番組スタッフらしき女性に指示されながら、男性はテントや土嚢の設営を、女性は飲み物の仕分け作業などを手伝わされた。
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