厚生労働省は10日、サラリーマンが加入する厚生年金の10年度決算を発表した。時価ベースでは2682億円の赤字と、前年度(7兆8474億円の黒字)から、大幅に悪化した。長引く円高や東日本大震災後の株安で積立金の運用損が3069億円に達したため。
市場での運用分を除いた簿価ベースでの収支は、保険料率引き上げ効果などで2905億円のプラス。黒字は2年ぶりで、高齢化による給付増を賄うため、積立金から当初、前年度比2兆5881億円増の6兆3431億円を取り崩す予定だったが、6兆526億円で済んだ。10年度末の積立金残高は、時価ベースで114兆1532億円(前年度末120兆7568億円)となった。
同時に発表した自営業者らの加入する国民年金の決算は、積み立て規模が小さく運用の影響を受けにくいため、時価ベースで2195億円の黒字だった。【鈴木直】
毎日新聞 2011年8月11日 東京朝刊