<東日本大震災>心に区切り 5カ月遅れの卒園式
毎日新聞 8月11日(木)21時29分配信
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卒園式で久しぶりに再会し、笑顔を見せる原町さくらい保育園の卒園児たち=福島県南相馬市で2011年8月11日、梅村直承撮影 |
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卒園式は「子供たちに心の区切りを付けさせたい」という保護者の要望を受け、保護者会が主催。放射線の影響を避けるため、30キロ圏外にある市の施設で開かれ、県内外に避難している卒園生23人のうち16人が出席した。
全員で黙とうした後、一人一人に卒園証書が手渡された。当時の園長、水谷(みずがい)さなえさんから届いた「悔しい思い出もあるでしょうが、今よりもっと強い人間になってください」とのメッセージも読み上げられた。慣れない雰囲気におとなしかった子供たちは、式が終わると笑顔になり、仲良しの友達と手をつないだり、会場内を走り回ったりして再会を喜んだ。
保護者会長で紳士服店経営の草野良太さん(34)の次女六花(りっか)ちゃん(6)も式に参加した。「先生に『ありがとう』、友達に『さよなら』も言えないまま、離れ離れになってしまった」と草野さんは娘を思いやる。
六花ちゃんは母、姉、弟と岩手県奥州市に避難し、南相馬に戻ったのは震災後初めて。「友達と会えて、学校のことを話せた」とはにかんだが、避難先では友達を心配し、南相馬のニュースを見ると「自分一人でも南相馬に行く。(家に残った)パパがかわいそう」と泣いていたという。
草野さんは「友達や先生と久しぶりに会って気持ちの区切りが付いたと思う。でも、放射線の不安が残る以上、家族を呼び戻せない。父子離れ離れの生活が続くが、負けないで前に進んでほしい」と話した。【福田隆】
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最終更新:8月11日(木)23時33分
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