丸太ををナタで削って、送り火の薪の完成です。



京都大文字の送り火

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HOME > 4、ナタで薪にする

ナタで7cm角にします。

割るだけでは、送り火の薪になりません。

最初に割ります。大きなナタで、40cmほどの丸太を、半分、そのまた半分と割っていきある程度の大きさになったら、今度は斧から「ナタ」とよばれる片手で持てる刃物で、丸太から出来た腕ほどの薪を削って、新たな美しい面を作り上げます。
最初、あまりに大きく割ったものを持ち込んでいたので、ナタではなかなか割れずに苦労しました。そこで、安全な場所に2つの丸太を置き、一方に座って、もう一方に割り木を置いて力を入れて割ります。とても単純な作業です。この実験作業は、6月14,15日と2日間続き、何度かの見本を作り、実際に墨で書いてみたりしました。

最後に、削るという作業があります。

薪をナタで削ります。
ナタで割った「送り火マツ」は、これで完成というわけには行きません。私は6月15日の朝に大文字保存会の会長にお電話して、大文字の送り火の薪の大きさだけを聞いてみた。すると、「長さが50cmで、厚みは7〜8cm程度の膨らみを持った、表面がなめらかなもの」と言う事だったので、息子と私も割木の表面を、木目に沿って丁寧に削り出しました。こうして単なる松の木から、「切られ」「割られ」「削られ」て真新しいなめらかな「送り火マツ」に生まれ変わります。

子供の頃の記憶がよみがえってきました。

私の生まれた所は、阿蘇山がある熊本県の北部になります。当時は戦後間もない時期でしたから、たいした遊び道具もなく「肥後の神」という小刀や、この「ナタ」を使って「刀」「紙鉄砲」「竹馬」をこれて作っていました。
そのナタを持って、こうして東北の津波の現場に座って作業をしていると、子供の頃の「刀作り」を思い起こさせます。