がれきの中から、真新し木肌が現れてきました。
装備をしっかりとして、いよいよ高田松原の松にチェーンソーを入れます。
大分から持ってきたハスクバーナの45cmチェーンソーを起動し、足場を固めて最初の刃をを入れてゆきます。「バリバリーーッ」というチェーンソーの音が、乾ききった水田をこだましてゆきます。チェーンソーの一方から切りくずが吹き出ていって、しばらくすると刃の内側から人肌に似た美しい木肌が現れます。切り取られた丸太は、「ゴロン」っと転がって側面から美しい木目の小口が現れて、50年は遙かに超えた同心円の赤松が「生きているぞ」とばかりに私の前に新しい顔を見せてくれます。
死から生へと生まれ変わります。
私は、長さが50cmに切った赤松の木を、抱きかかえるようにして足場を気をつけながら、1つ1つ丸太の山から、息子のいる所まで持って降ります。すると、これまで土にまみれていた高田松原のマツが、小さな声でよみがえってくるのが私には感じられてきます。確かにこれは生きています。それも陸前高田の人々の思いを幹の中に含んだようにして、水がしたたってきます。
海から2kmほど上がった、田んぼの中にマツのがれきは集められていました。
この地図は、被災以前の航空写真です。
現在の原木置き場の航空写真です。
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