中東シリアのアサド政権が、反政府デモへの弾圧を続けるなか、アメリカ政府は、シリア国営の商業銀行の資産を凍結する追加制裁を発動し、シリアと貿易取引のあるほかの国々にも制裁の強化を呼びかけました。
シリアでは、アサド政権が国際社会からの批判が強まるなかでも、反政府デモを武力で抑え込む姿勢を変えていません。こうしたなか、アメリカ財務省は10日、シリア国営の「シリア商業銀行」やアサド政権に近い実業家が率いる携帯電話会社「シリアテル」がアメリカ国内に持つ資産を凍結する、追加の経済制裁を発動しました。今回の制裁は、5月にアサド大統領本人と家族の資産を凍結し、先週、大統領の周辺者をその対象に加えたのに続くものです。これについて、国務省のヌーランド報道官は記者会見で、「今回の措置にはヨーロッパや中東の国々にもアサド政権への圧力を強めるよう促す意味がある」と述べ、シリアと貿易取引のあるほかの国々にも制裁の強化で同調するよう呼びかけました。また、ヌーランド報道官は、クリントン国務長官が、先に現地を訪れたトルコのダウトオール外相と電話で会談し、アサド政権への圧力を強める方針で一致したことを明らかにしました。