東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事する作業員の被ばく問題で、厚生労働省は10日、事故直後に引き上げた被ばく線量限度(250ミリシーベルト)を当初の100ミリシーベルトに戻す方向で検討していることを明らかにした。
同省労働基準局計画課は「作業員の被ばく線量は3月以降着実に下がり、元に戻しても大きな支障はない」とし、原子力安全・保安院などと協議中という。
東電の報告を受け同省が10日公表した作業員の被ばく線量(内部被ばくと外部被ばくの合計)は、5月に新たに従事した作業員2721人では50~20ミリシーベルトが20人(最高41・6ミリシーベルト)、20~10ミリシーベルトが148人で、残りは10ミリシーベルト以下だった。
3月に従事した3715人では東電社員6人が限度を超え(最高670・4ミリシーベルト)、250~100ミリシーベルトも97人いた。4月の3463人では50ミリシーベルト超過は3人(最高69・3ミリシーベルト)で、5月はさらに改善した。
原発作業員の被ばく線量限度は労働安全衛生法に基づく規則で定められ、福島第1原発事故の収束作業に支障が出かねないとして同省が3月14日、急きょ引き上げた。【井上英介】
毎日新聞 2011年8月11日 東京朝刊